【虹色装飾】横浜市交通局ブルーライン新型4000形が落成!4621編成甲種輸送

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横浜市営地下鉄ブルーラインでは、これまで運用していた3000形各区分のうち、最初期の3000A形の置き換えを開始します。

以前に新区分の3000V形投入が示されていましたが、このたび落成した車両は新たな形式となる4000形となりました。

量産されるはずだった3000V形

横浜市営地下鉄ブルーラインは、湘南台〜関内〜あざみを結ぶ横浜市交通局が運行する地下鉄路線の愛称です。

従来は3000A・3000N・3000R・3000Sの4形式が運用されていましたが、このうち最初期に導入した3000A形の経年が25年〜30年を迎えるにあたり、改修工事の予備車として計画された3000V形が2017年に1編成投入されました。

3000A形8編成の車両改修を1編成あたり半年の工期で行うことが盛り込まれており、この半年×8編成=4年間の休車分を賄うために開発された車両ですが、3000A形は更新せずに新造車による代替に計画を修正、3000V形を2022年〜2023年に7編成増備して合計8編成で直接代替する計画となりました。

2018年10月1日には川崎重工が3000V形7編成42両を受注したことが発表されていました。

参考:横浜市営地下鉄3000形従来車の違い

・3000A形(8編成48両) 第24〜31編成 東急車輛製造

1992年から93年に投入。新横浜〜あざみの延伸の運用増のため。

・3000N形(6編成36両) 第32〜38編成 東急車輛製造

1999年に投入。戸塚〜湘南台間の延伸の運用増のため。

・3000R形 第39〜52編成 日本車輌製造

2004年から2005年に投入。開業時から使用していた1000形を代替。

・3000S形(7編成42両) 第53〜60編成 日本車輌製造

2005年から2006年に投入。上永谷〜舞岡・横浜〜新横浜間延伸で投入された2000形を代替。

・3000V形(1編成6両) 第61編成 日本車輌製造

2017年に投入。3000A形の置き換え用として落成

翌2019年に2編成が相次いで事故を起こしており、両編成とも運用不能と判断されて(過去記事)おり、製造数の変化など今後が気になる展開でした。

そして、当初の発表では『横浜市交通局より地下鉄電車「3000V形」(車体)7編成42両を受注』とされていましたが、製造中の車体に「4000 DEBUT」と記された装飾が施されている上、車号も4621〜4626となっていることが目撃されており、形式変更が伺える状態でした。

2021年12月3日には、横浜市交通局公式Twitterにてメイキング映像が公開され、従来車とは異なる全面形状であることが伺えるようになり、12月13日には形式名「4000形」と車両仕様が発表されたほか、年内に納車予定であること・製造数も1編成追加の8編成となることが示されました

出場した4000形を見る

今回落成した車両は、横浜市交通局の上永谷車両基地を拠点に運用される新形式・4000形4621編成の6両です。

中途半端な番号にも見えますが、これは従来の横浜市交通局車両と同様の付番規則で、千の位が4000形を、百,十の位が1000形から通算の編成番号(3000V形の第61編成の次なので62)・一の位が号車番号となっています。

車号と号車番号は既存車両と合致していることから、4621号が湘南台側先頭車・4626号があざみ野側先頭車となります。

受注した川崎車両(旧:川崎重工業車両カンパニー)からの輸送は甲種鉄道車両輸送(貨物列車としての輸送)となっており、神戸貨物ターミナルまではDE10 1561号機が牽引しています。車両への特殊貨物検査票から、過去のブルーライン・グリーンライン向け新造車と同様に、輸送先は神奈川臨海鉄道の横浜本牧まで鉄路となり、同所からは陸送(トレーラーでの輸送)となるものとみられます。

分社化以前の川崎重工業による横浜市交通局向けの車両製造は、グリーンライン向け10000形全編成以来です。また、ブルーライン向けの車両製造は久しく行われておらず、1000形の第1期区間に投入された1972年以来、約半世紀ぶりとなります。

従来の3000形各区分では全面デザインが異なりますが、いずれも1000形・2000形から続く斜めくの字形状のものとされていました。

一方で、今回製造された4000形は従来車とは異なりやや丸みがありつつ、窓形状などでブルーライン伝統の尖りを取り入れています。従来車とは印象が大きく異なり、別形式を名乗るのに相応しい大きな変化です。

このほか、イメージ画像の水色ライン・斜めストライプに加え、虹色の装飾が施されており、「4000 DEBUT」の文字も確認できます。3000V形でもデビュー時に前面部に同様の装飾が施されていましたが、今回は甲種輸送段階からの装飾・側面各ドアにも貼り付けとかなり派手な仕上がりです。

甲種輸送では機関車連結部の前面窓が汚れ防止のため養生されることが多いですが、今回の4000形では前面装飾部分を避けるように養生されています。

甲種輸送をPRの場とする事業者はつくばエクスプレスの機関車へのヘッドマーク掲出が有名でしたが、輸送車両側に派手な装飾を施す事例もなかなか珍しい印象で、横浜市交通局の気合いの入れように驚かされます。

(輸送の様子は順次追加予定)

公営交通特有の落札都合……?

今回の形式変更の経緯については追々公式・商業誌取材等で明かされることとなりそうですが、大きなきっかけとしては受注した業者が変わったことが大きな要因として挙げられます。

これまでの3000R形・3000S形・3000V形については、いずれも日本車輌製造が受注していましたが、今回からの増備車については川崎重工業が受注(製造途上で川崎車両へ分社化)しています。

今回製造された4000形では、従来車のドア周りに日車式ブロック工法特有の接合が見られない一方で、事前に発表されていたメイキングムービーでは、川崎重工業〜川崎車両のブランド「efACE」のステンレス車両とみられ、前面形状だけでなく車体構造も一新されています。

同様に公営路線で落札業者の違いから車両の仕様が変更された近年の事例としては、東京都交通局の日暮里舎人ライナー・名古屋市交通局の鶴舞線が挙げられます。

舎人ライナーの事例では、開業前後に製造された300形16編成を新潟トランシスが受注しました。その後は2015年に三菱重工業が受注した330形1編成・2017年に新潟トランシスが受注した320形1編成となったのち、2019年以降の増備は三菱重工エンジニアリング(三菱重工業から分社化)が受注したため再び330形となりました。混雑緩和のために300形は置き換えが決定しており、引き続き三菱重工エンジニアリングが受注しており、新潟トランシス製の320形は1形式1編成に留まることとなりそうです。

名古屋市交通局の事例では、N3000形の1編成目を日立製作所が受注したため同社のA-trainブランドのアルミ車両となったものの、2編成目以降は日本車輌製造が受注したため日車式ブロック工法のステンレス車両となりました。

公共事業では会計法(国)・地方自治法(地方公共団体)の制限により入札方式を原則としていることが背景の受注事例で、他のメーカーでは不可能といった特殊な事情がない限りは「特命随意契約」とすることが出来ません(過去記事:都営6500形のデジタル無線装置)。

このほか、4000形がデビューする2022年は横浜市営地下鉄にとって1972年12月の開業から50周年の節目の年となります。従来の3000形の6次車とせず4000形と新形式を採用したのも、記念事業的な色合いもありそうです。

画像元ツイート紹介

記事内掲載写真は、ひろでん2243様(@LEVOsti)より掲載許諾をいただいています。

参考:ブルーラインの事故と廃車/公式発表

参考:2021年度に登場した首都圏の新形式・新区分

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