【報道公開から小変化】九州地区向けEF510形300番台が落成!301号機甲種輸送

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JR貨物の九州地区向け新区分機関車、EF510形300番台が2021年12月16日に川崎車両を出場しました。

先週報道公開が実施されて全貌が明らかになったばかりですが、甲種輸送では早くもヘッドライトが改装されている変化が確認されています。

“国鉄釜”の楽園〜九州エリアの貨物列車

九州では、山陽本線から関門海峡を越えて福岡貨物ターミナルまで高速・長大編成のコンテナ貨物列車が運行されているほか、福岡から更に鹿児島本線(三セク化後の肥薩おれんじ鉄道)を南下して熊本・鹿児島方面、日豊本線で大分・延岡方面などでコンテナ貨物列車が運行されています。

このほか、かつて運転されていた専用貨車を使用した列車は廃止・コンテナ輸送化されて姿を消したものの、北九州の日本製鐵八幡製鉄所からJR九州・西日本・東海・東日本に向けたレール輸送も行われています。特に近年行われている150mのロングレール輸送は、各社の工事列車(いわゆる工臨)で使用される“ロンチキ”編成に近い9両編成でファンから人気の存在です。

牽引機についてもファン人気が高く、かつての九州ブルトレで人気を集めたED76形交流電気機関車や、本州でも活躍が多く見られたEF81形交直流電気機関車が多く運用されています。

ED76形は多くが九州向けに製造された形式で、貨客両用の0番台・貨物特化の1000番台が並行製造されており、現在も両区分とも残存しています。

EF81形は関門トンネルの塩害対策でステンレスボティの300番台・0番台に塩害対策と重連総括制御(2機を先頭運転士1名で制御する方式)の改造を加えた400番台・民営化後に新造された九州向け450番台,日本海向け500番台・日本海で活躍していた更新機で、省令対応都合で生まれた600番台とバリエーションが非常に豊かです。

2007年から東北向けに投入されていたEH500形“金太郎”の投入が進められましたが、当初は北九州貨物ターミナルまで・現在も福岡貨物ターミナルまでの運用とされています。EH500形の高出力により東海道・山陽本線の1300t列車(コンテナ貨車26両編成)がそのまま九州に乗り入れることが可能となったものの、それ以外ではオーバースペックな同形式はそれ以外の区間に進出していません。

これまでED76形・EF81形のうち、国鉄時代に製造された機関車は更新機を中心に残存させていましたが、2021年の事業計画でEF510形を九州地区へ導入する計画であることが明らかに(PDF 8頁)なりました。

この際の記述は「九州地区については取替後にEF510形式機関車を導入することから、九州用に仕様変更したEF510形式の走行試験を行う。」とされており、量産先行機が登場するとも既存のEF510形の改造で試験を行うとも受け取れる内容で、動向が注目されていました。

10月15日には『九州向けEF510形式交直流電気機関車「ECO-POWER レッドサンダー」の製作について』(外部リンク)として、外観のイメージ画像が示されており、「従来のEF81形式(303号機等)で親しまれている銀色をベース」としたデザインが発表されました。

設備面では、新たに交流回生ブレーキを装備していることが記されているほか、イメージ画像からヘッドライト(前照灯)がLED化されていることが判明しています。

12月9日には川崎車両構内で報道公開が実施され、イメージ画像では不明だった裾部のダークグレー塗装など、完成に近い状態の301号機の詳細が明らかになりました。今後の投入計画なども報じられており、ファンの期待が高まっていました。

出場したEF510形300番台

今回落成した車両は、JR貨物のEF510形300番台 EF510-301号機です。

製造は日本海縦貫線向けの0番台・JR東日本向けに製造されてJR貨物に譲渡された500番台と同様に、川崎重工業が受注しています。ただし、川崎重工の鉄道車両製造部門は2021年10月1日に川崎車両として子会社化されており、EF510形では初めての川崎車両製となりました。

甲種輸送(貨物列車としての輸送)は兵庫から北九州貨物ターミナル間で設定されており、神戸貨物ターミナルまではDE10 1561号機・同所から幡生操車場まではEF210-321号機が牽引しています。

北九州貨物ターミナルまでの輸送とされており、本州で広く使用されているATS-P形自動列車停止装置を搭載していないことから、試験運行も九州エリアで実施されるものとみられます。

車両の概要や今後の動向のほとんどが事前のプレスリリース・出場前週の9日に実施された報道公開で明らかになっていましたが、甲種輸送で新たに確認された点として、ヘッドライトの改装が挙げられます。

プレスリリースのイメージ画像・報道公開で姿を見せたEF510-301号機は両側・運転台上下全てのヘッドライトがいずれも白色LEDとされていましたが、今回の輸送では1エンド(東京側)の運転台下のヘッドライトが従来のEF510形と同様のハロゲンタイプに改装されています。

試験的な搭載と推測できますが、このままの姿で試験走行をするのか、構内で戻されるのかが今後の注目ポイントとなりそうです。

画像元ツイート紹介

記事内掲載写真は、フォロワーの街星 はやぶさ様(@JRA41_Hayabusa)より掲載許諾をいただいています。

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コメント

  1. 国安行和 より:

    漢字が違います。
    番台と漢字にすると 風呂屋の番台 です。
    車両の番号のは 番代

    台 ではなく 代 です。 

    機関車をカマというのは蒸気機関車のボイラーからで
    漢字は 罐 です。 
    汽車の罐炊き (きしゃのかまたき)という小説があります。
    罐は 缶の旧字で かん か かま で変換するとあります。
    釜は ご飯を炊くカマです。

    • 鉄道ファンの待合室 より:

      国安行和さま

      コメントありがとうございます。

      ご指摘の通り、弊サイトの記事では形式名表記・カマの表記ともに正確でない字を当てておりますが、これは検索エンジンの特性上の都合で意図的なものです。
      コメントで頂戴した点を正しく表記すると検索結果からのアクセスが期待できないため、やむなく誤用となる側の漢字を当てています。

      当サイト以外でも、大手の鉄道ニュースサイトから専門性の高いファンサイトまで、ネット媒体では「番台」「釜」などの誤表記となっているのも同様の背景で、意図的なものと推察できます。

      このような例外的な事例を除き、当サイトでは今後も正確性が高く分かりやすい表現に努めていく所存です。
      せっかく頂戴したご意見に背く格好となり大変恐縮ですが、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
       
      鉄道ファンの待合室