今日12月15日のJR北海道のプレスリリースで、来年2022年4月1日からの快速エアポートの指定席チケットレスサービスの導入に併せて、指定席料金を値上げする事が発表されました。
それによれば、現行の¥530から値上げ後は¥840になるとの事で、実に1.5倍以上の値上げ率となり、かなりの割高感は否めません。
小樽・札幌~新千歳空港を結ぶ快速エアポートの指定席『uシート』ですが、1992年7月の運転開始当初から存在した指定席の利用率向上を狙って、2000年11月頃から721系車両の4号車半室(後に全室に拡大)をリクライニングシートに改装した車両によるサービスの提供が始まり、従来通り¥300の指定席料金でスタート、その後消費税率の改定などによる幾度かの値上げを経て、現在は¥530の指定席料金となっています。
何せ、首都圏で運行される普通・快速列車でいえばグリーン車並みの設備を誇る車両に指定席料金だけで乗れるのですから、uシートの値ごろ感はありましたね。
当初721系でスタートした快速エアポートのuシートも、後に旭川~新千歳空港を直通する特急型車両(現在は旭川からの直通は廃止)にも拡大、そして混雑対策でロングシート化された733系3000番台にも4号車には従来通りuシートが設定され、2010年代以降のインバウンド需要で混雑度が顕著になった快速エアポートのuシートの優位はより増したかと思います。
ところが、事態は暗転。2020年初頭から世界中を震撼させた新型コロナウイルスの脅威によって国内外への航空需要は急減、あれだけ混雑を極めていた快速エアポートの利用客も激減し、インバウンド需要の増加を当て込んで同年3月のダイヤ改正で増便を図ったものの、その皮算用は狂ってしまい結局は2021年3月ダイヤ改正以降は一部の列車の土曜・休日運休という結果に陥っています。朝夕のラッシュ時を除いた時間帯は快速エアポートも空席が目立つ便も見受けられ、わざわざ指定席を取らなくても座れるためuシートの利用客も激減しています。
それでも、新型コロナウイルスの感染者が急減している事から、航空需要にも回復傾向が見られ、快速エアポートの利用客も再び増加傾向が見られます。しかし、新たな変異株オミクロンの脅威がどこまで影響するかは何とも言えませんが…。
私は道外遠征の際、札幌~新千歳空港の往復に快速エアポートのuシートを愛用してきました。実は、コロナ禍以降自粛していた道外遠征を先日久々に再開したのですが(その詳細は後日発表します)、快速エアポート利用の際、往復ともuシートは利用しませんでした。快速エアポートは札幌、新千歳空港のエスカレーターに近い車両から席が埋まっていく傾向にありますが、それに遠い両端部の車両まで行けば比較的空いているため、わざわざ指定席を取らなくても余裕で座れるからです(往復とも転換クロスの721系という事もあったのも理由の1つ)。
そんな事もあって、利用率が低迷しているuシートの料金値上げは愚策と言わざるを得ません。座席の保証はありませんが、札幌~南千歳の自由席特急料金は¥630。それから見れば、uシートの¥840はどうしても割高感は否めません。先述の首都圏の普通列車グリーン料金ですら50㎞まで¥780(平日)、¥580(ホリデー料金)(※いずれも事前購入の場合)なのですから…。
いくら経営が苦しいとはいえ、利用率が芳しくないuシート料金を値上げすればさらなる利用低迷を招くだけでしょう。コロナ禍の終息が見込まれるからといって需要が増えるからというのは早計では!?値上げしたからといって決して増収にはつながらず、むしろ利用低迷によるマイナスのほうが大きいと思うのですが!?それならば、チケットレス乗車の場合は料金値下げ、従来通り紙の指定券受け取りでの料金は据え置きのほうがまだマシでしょう…。
そして、uシート車は車両運用上の都合普通列車にも連結されています。コチラは特別料金の徴収はなく、あくまでも自由席扱い。まともにuシートの指定席料金を払って乗る立場から見れば面白くはないでしょうね。uシート車に着席の場合、せめてホームライナーのように¥100でも徴収すれば増収にもつながると思うのですが。もしくは、運用上や取り扱い上難しいのならば締切扱いにするとか…。まぁ、私も普通列車uシートの恩恵にかなりあずかってる立場なので、あまり大きな声では言えませんが(汗)。
指定席料金値上げといえば、2022年度以降運転される観光列車『ノロッコ号』も同様に¥840に改定されます。まぁコチラは列車の性格上仕方ない面もありますが、特に釧路湿原ノロッコ号の釧路~釧路湿原を利用する場合だと距離に比してやはり割高感は否めません。コチラの場合距離もしくは区間別に区切って料金を設定したほうがまだ良心的だとは思うのですが。
やはり、今回の値上げ発表はネット民からも非難が殺到しているようですね。アタマのカタい社長さんはJR利用者の立場に立って物事を考えられないとしか言いようがありません。
とにかく、増収を考えるなら値上げ一辺倒ではなく他の方法があるのでは?北斗星のヘッドマークのオークションでは¥2,710,000という超高額で落札されたのですから…。ハッキリ言って鉄道ファンはいいカモです。彼らにおカネをどれだけ使ってもらうか、鉄道部品や車両のパーツを使ったグッズ(例えば実際の車両の座席生地を使用したクッションなど)の販売強化、またファン向けのツアー列車をどんどん企画すべきです。あと、赤字垂れ流しの北海道新幹線の減便も検討すべきではないかと。
今回は批判一辺倒の記事ですみません。