瞠目すべき この威容。
激渋イニシエ度MAXの風格 Kings of king銭湯、梅ヶ枝湯。(「うめがえ」と読みます)
銭湯マニアのみならず、兵庫県の景観150選にも指定されていて、遠方よりこの銭湯を訪ねる客も少なからずいるようです。
珍しがって脱衣場で飴色の室内を撮影しようとする客がいるのか、カメラバッグを持っているだけで番台の老婦人に「写真撮ったらアカン。」と注意されることも…
※銭湯では、脱衣場で作動させていなくてもカメラやスマホを出すのは禁止。ヌーディストビーチでカメラをブラ提げているのに等しいかと。
播州によく見られた四角柱のレンガ煙突。高さ11m。
その煙突に貼りつくように建て増しされた木造の小屋。
木造3階建て。
3階の板塀は、かつて手前の広場は旧国鉄高砂線の操車場だったので、その時に機関車の煤煙で洗濯物が汚れないように物干し場を板塀で覆ったからだそうです。
板塀はやせて隙間が入り…錆びついたトタン屋根、それを支えている割り箸のような棒。
窓の不揃いな木枠の窓も人の手仕事の跡が窺えます。
ここまで生き延びてきた歴史が染み付いて…創業は不明で大正末期か昭和初期か?という時期だそうです。
高砂市に最後まで残った公衆浴場です。近年まで3軒ありましたが立て続けに2軒失われました。
ここが最末期まで残った奇跡と、もう残り時間はそう長くないという予感に…
おが屑を燃料にして湯を沸かしています。辺りに木材を燃やす良い匂いが漂う開店前の時間です。
薪沸かしは、お湯が柔らかいという表現がされますが、石鹸とその香りを感じながら湯に浸かると確かにそんなまろやかな感じがしてきます。
湯温は日によって、3分と浸かっておられない程の高温だったり、ちょうど良かったりします。自動サーモスタットが有るのか無いのか、故障しているのか…細かいことは言わなくていい、無くてもよい気もします。
※後に調べると、昔ながらの鉄製の釜で、温度計をにらみながら薪をくべているそうです。
釜爺と呼ぶに相応しい爺さんが釜焚きをしておられます。
つっけんどんな感じの爺さんですが、雨の日、狭い駐車場に車を停めようとしていたら、爺さんが寄って来て、何を言われるのかと身構えましたが「あそこに停めればええ」と傘も差さずに教えに来てくれました。まさに千と千尋の釜爺…
玄関です。
正面はモルタル看板建築です。
裏側の木造建屋の圧倒的存在感は隠されています。
開店は15時半…も、早まることがあります。
その頃になると地元の爺さん達が駄菓子屋に群がる童のようにやって来ます。
どうも一番駒で手柄を上げようとする鎌倉武士のように自転車を駆って一番風呂を狙っておられるようです。
紫外線か埃かで黄ばんで歪んだ蛍光灯カバーに記されたペンキ文字。雨の日に展開される塩ビのロール庇。欄間の亀甲組木にこだわりを感じます。