(前回記事の続き)
(祖谷渓と四国交通ボンネットバス)
★過去記事↓↓
日本最後の寝台列車サンライズEXで東海道本線・山陽本線を西へ【寝台特急とボンネットバスの旅②】
寝台特急サンライズ瀬戸、海を渡り四国へ。さよなら連絡船うどん【寝台特急とボンネットバスの旅③】
琴平から阿波池田へ
午前8時39分、寝台特急「サンライズ瀬戸」で終点・琴平駅(香川県)に到着
3番線には土讃線キハ1000形普通気動車が停車中
土讃線は、国鉄時代の名称は「土讃本線」だったが、JR四国では「本線」という呼称を使用せず「土讃線」になった。
キハ1000形気動車の奥に見える285系寝台特急電車
琴平駅 午前9時01分発の特急「しまんと5号」高知行きに乗車
2700系特急形気動車
山間部を俊足で通り抜ける。
吉野川橋梁(571m)を渡る。
四国一の大河・吉野川
午前9時23分、阿波池田駅(あわいけだ・徳島県)に到着。ここで下車。
土讃線と徳島線が発着する阿波池田駅
阿波池田駅発車時刻表
土讃線(左、中央)は、特急列車(赤数字)は大体毎時1本あるが、普通列車(黒数字)は極めて本数が少ない。一番右側は徳島線。
駅舎
阿波池田は山間部の小さな街
「阿波池田駅前通り商店街」のアーケード
アーケードの中を県道が通り、路線バスも走る珍しい光景が見られる。
三好市(みよしし)は、徳島県西部の三好郡三野町・池田町・山城町・井川町・東祖谷山村・西祖谷山村が合併し出来た市。四国の市町村の中で最も面積が広い。
アーケードの先に阿波池田駅舎が見える。
阿波池田バスターミナルの車庫から、阿波池田駅に定期観光用のボンネットバスがやってきた。
阿波池田(三好市)に本社を置く四国交通に今も残る現役のボンネットバス
1966年(昭和41年)製造のいすゞBXD30
2021年(令和3年)11月28日(日)をもって定期観光から引退するボンネットバスに最後の乗車
2021年(令和3年)11月28日(日)、四国交通で55年間活躍してきたボンネットバスが定期観光バスから引退。
このボンネットバスは、1966年(昭和41年)製造のいすゞBXD30(ボディは富士重工製)で、全長8.2m、幅2.4m、高さ3m。
当初は路線バスとして運行し、1982年(昭和57年)から観光用として運行。徳島県三好市の祖谷地方や大歩危峡等を巡る定期観光用のボンネットバス「秘境の小便小僧号」として現役で活躍してきた。
老朽化等により2020年(令和2年)で引退予定だったが、コロナ禍に伴う運休が重なり、引退が1年延長された。
定期観光バスとして最後の年となった2021年(令和3年)は、「ボンネットバスラストイヤー」として、4月〜11月の土日祝日(今年は平日運行なし)に、「大歩危・祖谷秘境の旅」定期観光バスとして最後の運行(冷房がないため7〜9月及び定期整備日等は他のマイクロバスで運行)。
また、このボンネットバスは、一般乗合登録されており、路線バスとしても走行可能なため、今年は定期観光バス以外にも、「プロジェクト598」と称し路線バスとして、「出合線」「井内線」等の路線で月1回ほど不定期で通常バスの代わりに路線を1往復する特別運行もあった。
定期観光バスから引退した2021年(令和3年)12月以降は、安全面を考慮しながら不定期で路線の特別運行を可能な限り続けるそう。なお、ボンネットバスには運賃や切符の自動設備(ワンマン設備)等がないため、運行時は車掌が乗り込んで対応。
定期観光バスポスター(四国交通HP)
定期観光バスのルート(四国交通HP)
阿波池田駅で発車街のボンネットバスの向こうに、バスが通り抜けるアーケードが見える。
停車中は後部タイヤに車止め
ボンネットバスに乗車
運転席の左横も客席
アナログな運転席
昭和時代のマニュアル車。足元左にはトランスミッション(変速器)のシフトレバー。
前面の幕式の行先表示器は、手動ハンドルを回転させ操作。
車体は富士重工製
四国交通定期観光ボンネットバス、午前10時30分、阿波池田駅を発車
ドア後ろの座席にバスガイドが同乗。路線バス運行時は車掌が乗務する。ドアは手動式。
レトロな車内
昭和30年代頃に流行した上段固定・下段開閉式の形状のいわゆる「バス窓」タイプの窓。
定期観光バスは阿波池田バスターミナルに到着
阿波池田駅から乗車した乗客は全員ここでいったん下車し、ターミナル内で料金精算を行う。
ここから乗車する乗客もいる。
阿波池田バスターミナルの路線バス発車時刻表
どの路線も本数は少なく、山里をローカル路線バスが走り抜ける。また、阿波池田バスターミナルからは大阪、神戸方面への高速バスも発着する。
定期観光「大歩危・祖谷 秘境の旅」へ。
手動式ドア
午前10時40分、阿波池田バスターミナルを発車
土讃線と並走
土讃線・小歩危駅(こぼけえき・徳島県)を通り過ぎる。
吉野川を渡る。
この辺りは、大歩危・小歩危峡
土讃線・大歩危駅(おおぼけえき・徳島県)を跨ぐ。
大歩危駅前からは、吉野川から離れ、県道45号線の山道を祖谷(いや)地方へ。
祖谷(いや)は、平家落人伝説が残る「日本三大秘境」の1つ。
かつて祖谷地方に行くには、JR土讃線・祖谷口駅付近からは道幅が狭く両側1車線の険しい山道が約15kmに渡り続く県道32号線がメインルートで、なかなか訪れにくい山奥の秘境の地だったが、
その後、土讃線・大歩危駅付近から県道45号線の祖谷トンネルができ、以前よりかなり便利になった。
1つ目の観光名所・平家屋敷(へいけやしき)に到着。午前11時25分〜11時50分まで観光。
平家屋敷へ。
平家屋敷民俗資料館(三好市重要有形文化財)は、平家の資料や遺品を展示。安徳帝の御典医、堀川内記の子孫代々の屋敷。堀川内記は、平家滅亡の折に一族とともに入山し、薬草の豊富な祖谷の地で、医業と神官を務めた人。
庭には、樹齢800年の老樹がそびえ、江戸時代の民家をそのまま保存した館内には、鎧・旗・古文書・生活用具などが展示されている。(三好市公式観光サイトより)
平家屋敷の駐車場で定期観光の乗客を待つボンネットバス
たまたま通りかかった他の観光客やドライブ客も、今では珍しいボンネットバスを写真におさめていく。
いすゞBXD30
全国の人気観光地に走っているレトロ調に仕立てたバスではなく、昭和時代から活躍してきた年季の入った本物のレトロバス
※2021年(令和3年)初夏
(続く)