花越前
 
 福井鉄道・福武線は家久-サンドーム西間で日野川を渡る。前後はS字状の急カーブになっており、電車はまるで模型鉄道のように、車輪音をきしませながら築堤を上り下りする。今、鉄橋から下ってきたのは、相互乗り入れしているえちぜん鉄道三国芦原線の2連接超低床電車
ki-bo(キーボ)だ。(以下クリックで画像拡大)

 手前は福井産の人気ブランド米・ハナエチゼンで、7月27日(2020年)というのに、早くも稲穂が垂れ下がり、風に揺れている。撮影していると、農家の人が「超早稲やからお盆の前には収穫するんや」と教えてくれた。


 両社が相互乗り入れを開始したのは、2016年のこと。いずれの鉄道も乗客減に苦しんでいたが、相互乗り入れにより利便性が増し、地元紙の報道によると、通勤客を中心に利用者は順調に伸びているという(2020年はコロナ禍で減少)。

日野川・ふくらむ (3)

 一方、福鉄側が用意したのがフクラムで、超低床車ながらこちらは3車体連接構造だ。全部で4編成あり、それぞれ色が異なる。上はその第3編成で、日野川を渡っているところ(同日撮影)。

アジサイ&ふくらむ

 こちらは青い編成。アジサイとともにねらってみたのだが、架線柱や民家が邪魔をしてうまく撮れなかった。2020年7月2日、神明-鳥羽中)

 福鉄はもともと福井、鯖江、武生(現越前市)の3都市をつなぐインターアーバン(都市間電気鉄道)として建設され、古くから急行運転も行っていたが、最近は乗用車やJRに押され気味だった。えち鉄との相互乗り入れにより、インターアーバン本来の実力を生かし、新たなLRT(次世代路面電車システム)として再生してくれることを期待したい。

鯖江・西山公園近くの架道橋 (3)

 福鉄には、これ以外にも名鉄の岐阜市内、美濃町線などで使われていた車両も走っており、こちらは車高が高いのでステップを使って乗り降りする(同日、西山公園-水落)。バックに映っているのは、鯖江を代表する寺院の一つ、中道院だ。