湘南新宿ライン二十年

 湘南新宿ラインが登場してちょうど二十年になるという。早いものだ。

 ちょうど十年前にも、湘南新宿ライン十周年という節目を感じていたのだが、恐ろしく思うのは、それまでの十年とそれからの十年を比べたとき、後者の方がはるかに時間の経過が短く感じられることである。自分が歳を取った所為か、世の中の動きがどんどん早くなっている所為なのかは知らないけれども、十年なんて本当にあっという間に経つようになった。

 その十年の間に、湘南新宿ラインにはE233系3000番台も投入されるようになり多少様変わりしたものの、十年前とほぼ変わりなく運行されている。

 ただ、その湘南新宿ラインを目にする機会は最近ぐっと減った。通院で山手線を利用する際に横目にするか、たまに多摩川の品鶴線橋梁へぶらぶらと出かけたときに見るくらいである。そしてもう、ずいぶん長いことこの列車には乗っていない。

 そもそも湘南新宿ラインの列車は、身近なところを走る中長距離列車として、旅の入口みたいな存在であった。グリーン車やボックスシートを備えた車両が連結されているからである。だから、この列車に乗って何処か旅に出たいといつもいつも想ってきた。

 それがこの二年近く、どこか遠くへ行くことに強い規制がかけられるようになって、そういう気持ちも強く抑え込むようになってしまった。もちろん、いつか落ち着いたらまたこの列車で旅に出ようという気持ちはずっとあったけれど、多少世の中の状況が落ち着いた今になっても、じゃあすぐにでも旅立とうという気持ちにはなかなかなれない。強い力で抑え込んだ気持ちは、そう簡単に解放できるものではない。

 それでも、どこか遠くへ行きたいと想うことを諦めたくない。少しずつでいいから、取り戻していきたい。そしていつか旅立てるときが来たなら、この湘南新宿ラインの列車が先頭に立って、私を旅へといざなってくれることだろう。
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by railwaylife | 2021-12-01 23:00 | 湘南新宿ライン | Comments(0)
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