こんばんは。お久しぶりです。
先日の話ではありますが、肥薩線の吉松から隼人経由で鹿児島中央まで運行する特急「はやとの風」の運転終了が発表されました。

はやとの風とはどんな列車?
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  ↑吉松駅で乗り換えの時に撮影したはやとの風

肥薩線のD&S列車の一つとして九州新幹線の新八代~鹿児島中央間の部分開通と合わせて登場しました。肥薩線の鹿児島県側の吉松~鹿児島中央間で運行する特急列車で、開業当時の木造駅舎が残る嘉例川と大隅横川では5分間停車し、散策出来る時間が設けられています。竜ヶ水から鹿児島間の有名な車窓の桜島が見える場所では徐行運転します。
基本的に人吉からの「いさぶろう・しんぺい」と接続するダイヤを取っており、熊本方面から「いさぶろう・しんぺい」で来た人たちが吉松で「はやとの風」に乗り換えて鹿児島に向かうのがスタンダートとなっています。現在は2020年の熊本県を襲った豪雨の影響で運行を休止しています。

「いさぶろう・しんぺい」は残存へ
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 ↑熊本駅に入線する「いさぶろう・しんぺい」

はやとの風と共に2004年に肥薩線の観光列車として誕生した「いさぶろう・しんぺい」。温泉地の人吉からスイッチバック、日本三大車窓など風光明媚な肥薩線の中腹部を担い、吉松で「はやとの風」に接続する列車です。こちらも「はやとの風」と共に昨年の豪雨の影響で運転を休止、現在は主に博多~門司港間などの臨時列車として「やませみ・かわせみ」と連結して運行されています。こちらは予備車の1両がふたつ星4047に転用されますが、基本の2両は「やませみ・かわせみ」と共に残存するようです。

肥薩線の今後はどうなる?
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 ↑人吉で並ぶ九州横断特急といさぶろう・しんぺい。人吉駅では駅弁の立ち売りがあった。

肥薩線は、皆さんもご存じの通り、昨年の豪雨による被害で球磨川の橋梁が流されたなどして特に八代~人吉間での被害が甚大となっています。その為に現在も不通となっています。これまで九州では、久大本線を始め、つい先日に復旧した豊肥本線、日田彦山線など自然災害によって鉄橋などが流れて長期不通となるケースが多々起きています。肥薩線もこれまでに何度か被害を受けており、その度に復旧してきましたが、今回は再開の兆しは見えない状況です。テレビでも報道されましたが、昨年の豪雨によって被害を受けたくま川鉄道に関しては、昨日か一昨日辺りに復旧しました。

肥薩線は復旧するのは困難?

↑鉄道の問題について取り上げる鐡坊主チャンネルさんの動画で詳しく紹介されています。

肥薩線の復旧状況に関しては、鉄道の問題について深く取り上げる鐵坊主チャンネルさんの動画にて詳しく紹介されています。被害を受けて現在も不通になっている八代~人吉間の現状や肥薩線の現状について詳しく紹介されていますので、この記事と合わせてご覧頂けたらと思います。
さて、この動画内でも取り上げられていますが、被害が少なかったor被害が全くなかった人吉~吉松経由の隼人までの区間だけを復旧してほしいとの声があるようですが、JR九州としては全線通しで復旧させたい気持ちがあるので否定的です。肥薩線は、球磨川の水流を見ながらの車窓、日本三大車窓、スイッチバック、真幸駅、嘉例川駅、大隅横川駅など風光明媚な風景、歴史と共に走る路線でありますが、観光列車でほぼ存続していると言っても過言ではありません。輸送密度(1キロあたりの1日平均旅客輸送人員)は、被害を受けた八代~人吉間が414人、スイッチバック、日本三大車窓のある人吉~吉松間が106人、「はやとの風」が走る吉松~隼人間が605人となかなか厳しい数値であります。それ以外の営業係数、営業損益ともに厳しい数値を叩き出しており、例え鹿児島側の区間が復旧しても赤字垂れ流しの状態が続くことが予想されます。(詳しい数値は、鐵坊主チャンネルさんの動画をご覧ください)

明治時代からの遺産もあり、復旧被害額は増大。廃線も検討?
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 ↑東日本大震災による被災で一部区間がBRT化した気仙沼線

こちらも鐵坊主チャンネルさんの動画で詳しく紹介されていますが、復旧費は前回に肥薩線が被災した熊本地震よりも増大する模様で、いずれは県や国との球磨川の治水対策をまとめた上での決定となりますが、現在の路線のまんまで復旧するのなら今回のような豪雨に再び見舞われた場合、同じ状況の繰り返しとなるので、仙石線のように内陸側に移設するなどほぼ新規規格の路線建設となるようです。熊本県と国が進める治水対策も5年から10年スパンとなっており、それに応じて肥薩線も復旧していくと思うので復旧するにしても長期になると思います。JR九州としては、赤字垂れ流しの路線の新規路線建設には難色を示しており、復旧試算を出すと言っていますが、どうなるかが不透明な状態であります。
九州では、同じく自然災害で被災し、復旧を断念、BRT化される区間があります。日田彦山線の漆田~夜明間です。こちらは現在、代替バスで運行されていますが、2020年よりBRTの工事が始まり、近い内にBRT化されるのではないでしょうか。しかし、肥薩線は球磨川に近く、浸水リスクもあり、BRTは不向きの路線のようです。一般路線バスに転換か、最悪廃線も検討事項に入ることでしょう。肥薩線は、全区間に渡って赤字、成績もJR九州の中でも非常に悪い、観光列車で賄っている部分もあることから鐵坊主さんも動画内で仰っていますが、JR九州単独での復旧はほぼ不可能のようです。

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 ↑再び列車からこの風景を見ることが出来るのか。

球磨川沿いの区間は、長期不通となる見込みなので、人吉~隼人までの区間を先行復旧しては?と思いますが、県と自治体がどう動くかで変わってくると思います。ただ、鹿児島側は「はやとの風」が無くなるので、「いさぶろう・しんぺい」を「はやとの風」の代替に仕立てない限りはわずかの地域輸送だけ、観光客ほぼ0の厳しい状況が続くと思います。肥薩線がどうなるのか、観光ルートとして残すのかが今後の注目ポイントになります。
それと「はやとの風」で使われる車両に関しては、ふたつ星4047に転用、来年の秋からは「いさぶろう・しんぺい」の予備用のキハ40と共に長崎新幹線のサポート役として回る予定です。更に予備用の車両に関しては、指宿枕崎線の観光列車「指宿のたまて箱」として余生を送っています。「はやとの風」は、吉松~鹿児島中央間にて12月25日から1月10日の毎日と1月15日以降は土休日運転で最後の特別運行をする予定です。3月21日にラストランとなるようです。復活、そして最後の活躍となる「はやとの風」をお楽しみください。