小田急小田原線の起点であり、1日の乗降人員の平均では圧倒的な1位を誇る新宿駅。
多数の乗客が行き交うため、ホームは乗車用と降車用に分かれています。

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それらのホームの中で、現在は使われていないのが、主にロマンスカーが発着している線路に面している1番ホームです。
式典時や業務用として人の出入りはありますが、乗降用として使われていた時代はあったのでしょうか。

昔は乗降用にも使われていた1番ホーム

現在乗客が立ち入ることはできない1番ホームですが、昔は乗降用にも使われていました。
時期によって運用方法は違うようですが、他のホームと同様に乗り降りをするために活用されていたのです。

昭和の終わり頃は、列車によって特急の乗車ホームが違ったようで、1番ホームから乗車する列車と、2番ホームから乗車する列車があったようです。
昔は乗車時に特急券の確認を行っていましたから、それを効率的に行うためだったのでしょうか。

いつからかは分からなかったものの、その後1番ホームは降車専用となり、特急には2番ホームから乗車するようになりました。
一般的に知られているのは、この頃の状態が多いのかもしれません。

1番ホームが使われなくなった時期は2000年代の半ば頃で、ホームはあるが乗客は入れない状態となりました。
現在は柵が設置されて入れなくなっており、小田原方にロマンスカーのイラストが描かれているほか、業務用の機器等が置かれています。

1番ホームはなぜ使われなくなったのか

せっかく立派なホームがあるのにもかかわらず、なぜ1番ホームは使われなくなってしまったのでしょうか。
多くの人が行き交う新宿という場所においては、単純に考えてしまうと少々もったいないようにも思われます。

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使われなくなった理由としては、使うメリットがあまりないからということだと思われます。
特急ロマンスカーの場合、乗降客が急行等と比べて少なく、出入り口の数の関係で一気に人が出入りするわけでもないため、あえて乗車と降車のホームを分ける必要がないのでしょう。
新宿に到着してそのまま折り返す列車では、到着後に車内清掃が行われるため、降車と乗車のタイミングもずれています。

そして、昔と違って乗車時に特急券を確認することもなくなっており、乗車は短時間で終わるようになりました。
3番ホームから乗降するロマンスカーもあるため、特急券の券売機を同じホームに設置したほうが効率も良く、あえて1番ホームを使わなければいけない理由がないことが分かります。
ホームを使わなければ、係員も配置する必要がなく、清掃等も基本的には不要となります。

少々もったいなくは感じるものの、時代の流れで使う必要がなくなってしまったというのが、幻の1番ホームとなってしまった理由なのでしょう。

おわりに

普段から見えている場所にあるのに、乗客は立ち入ることができなくなってしまった1番ホーム。
団体専用列車の乗降用に使えば面白そうにも思いますが、普段から使っていない場所だと、安全の確保をどうするか等、簡単ではないのでしょうね。