「山陽 鉄道フェスティバル2019」に参加 その① 令和元年10月26日(土) | ふなたんのブログ

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令和元年10月26日(土),山陽電気鉄道東二見車両基地(東二見車庫・東二見車両工場)で開催された「山陽 鉄道フェスティバル2019」に初めて参加しました。その様子を5回に分けてレポートします。

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▲東二見車両基地の出入口を入ると,「山陽 鉄道フェスティバル2019」と書かれたフラグを車体側窓間(車両番号の上)に掲出した3000系3000形3619が出迎えてくれました。

 

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▲東二見車両基地の出入り口付近で大勢の来場者を出迎えていた3000系3619以下3連(3619+3101-3100)。3000形3619は昭和58年に冷房改造(分散式),非運転台側へ電気連結栓付き密着連結器の装備,電動空気圧縮機(CP)取付,編成を編成を組む3050形アルミ車両と似たライトグレー(明灰色)に塗装変更が行われました。以降3050形3100-3101と編成を組んでいます。

 

▲3000系3100以下3連(3100-3101+3619)。3050形3100-3101は昭和58年に製造されました。当初増結用車両として計画され,3101の姫路駅寄り妻面に簡易運転台の準備工事,連結器は自動連結解放が可能な電気連結栓付き密着連結器が装備されていました。当面増解結の予定は無いため,3000系3000形3619(鋼製車)と組成しています。

3100には補助電源装置を電動発電機(MG)に代わる120kVAのGTO静止形インバータ(SIV)を初めて採用し,以降の新製・冷房改造車両に踏襲されました。 東二見駅より撮影

 

▲東二見車庫に留置中の3000系3050形3078編成(3078-3079-3644)。

3050形は新製当初から冷房装置を搭載し昭和47年から製造が開始されました。

 昭和55年3月に製造の2両は,大形型材を使用したアルミ合金製車体を採用しました。3000形1次車以来13年ぶりとなるアルミ車は,大形・薄肉中空のアルミ合金押出型材を自動溶接で組み立てる新工法を採用しコストを抑えた車両です。この2両は鋼製車と編成を組むため旧標準色に車体に塗装されました。「ニューアルミ試作車」と呼ばれています。

 同年6月製造の3068-3069-3539-3639が4両揃いアルミ車体で製造され,外板は無塗装のヘアライン加工仕上げとなり「ニューアルミ車」の誕生となりました。側面・前面の全ての扉は3000形1次車と異なりステンレス製で無塗装,アルミ・ステンレス車の赤色の飾帯は着色フィルムで施されました。昭和56年度以降は全てアルミ製車体となっています。

画像の3078編成は昭和60年製造で3000系の最終増備車2編成の内の1編成です。正面の貫通扉,乗務員室扉がステンレス無塗装からアルミ製に変更されています。平成5年に6連運用の予備として,3連+3連で6連組成を可能とするため6連対応化改造が施されました。主な内容は,5000系6連と同様に戸閉回路を変更し,2両ドアカット扱いが出来る様にしました。座席のセミクロスシート化がこの改造に際して同時に施工されました。クロスシートは5000系固定クロスシート車を転換クロスシートへ改造した際に発生したものを転用しています。平成13年3月ダイヤ改正まで,6連対応改造が施された3編成のうち2編成で3連+3連の6連を組成し,5000系6連の予備編成として常時用いられていました。

 

▲3000系3018編成(3018-3019-3609),「S特急 阪急神戸三宮」を表示して留置中。

4年に1回の定期検査を終えた直後で,車体や台車・機器(一部を除く)は塗装が行われ綺麗な姿となっています。平成18年12月にリフレッシュ工事が竣工しています。

3000系は昭和39年から昭和56年にかけて計133両が製造され,近年まで特急列車から普通列車までこなす山陽電鉄の主力車両です。

経年35年が経過する鋼製車で,今後長期間使用を継続する車両について従来の個別の補修ではなく,バリアフリー化も含めた一斉にかつ大規模な修繕を実施し,今後長期間使用しても見劣りしないものとしたリフレッシュ工事が平成16年度から開始されました。

主な工事内容は,「保安度の向上」として,鋼体および屋根の修繕・ドアおよび上下レールを更新・運転台床下部の空気配管を更新・車体高圧配線を更新・ATS装置を更新型に置換え,「バリアフリー工事」として,中間車両の山陽姫路駅寄りに車椅子スペースを新設・連結面間に転落防止外幌の設置・優先座席の吊手を5cm低く取付・車内の標記類をピクトグラム化,「客室リニューアル」として,乗降扉間の側窓を一体型の黒色のユニットサッシに交換・車端部の側窓を大形一枚の固定窓に取替・客室の化粧板を新柄に交換・床敷物をブラウンに変更・座席表地を一般席を赤系,優先席を青色に変更・カーテンを化粧板に合わせた新柄に交換・連結部分の扉(妻引戸)の窓を大形化などです。

平成27年までに44両に施工されました。

 

3000系3018編成3019が装備するKW-1台車。ウィングばね式台車。定期検査で,分解・整備が行われ塗装も実施されているので綺麗な状態でした。

 

▲5000系5002編成(5002-5003-5501-5601)は「特急 姫路」を表示して,休憩所に使用されていました。

5000系は昭和61年に登場した系列です。3000系以来22年ぶりのフルモデルチェンジ車となりました。3050形アルミ車を基本としながらも客室は扉間にバケットタイプの腰掛を集団離反式に配したセミクロスシート車です。設計上では落成後でも簡単にロングシートに改造できるように考慮されていました。

平成2年度増備の車両から座席は乗務員室からの操作で一斉転換できる自動転換クロスシートに変更されました。クロスシート部と扉部の仕切にはパネルクッションの付いた衝立が設けられています。平成5年増備の中間車両2両は,側窓が3連窓の中央部と2連窓の妻寄りは従来の2段窓,これ以外の窓は騒音防止および保守性に配慮し一枚式の固定窓に変更されました。外観上は側窓外枠の縦サンと下枠の一部がつや消し黒色に着色されました。客室では,山陽姫路駅寄り車端部に車椅子スペースが設けられました。

平成7年導入の中間車両6両は,3連窓は中央窓を固定窓,両端を2段窓に逆転し,視界の向上を図るため中央窓が幅1.5mに拡大されました。側窓外枠の黒色着色は中止されています。客室では側窓のカーテンがフリーストップ式カーテンが新たに導入されました。

昭和61年から平成7年にかけて60両が製造されました。

制御装置は,直流直巻電動機が使用出来る界磁添加励磁制御方式を採用しました。平成13年3月ダイヤ改正で直通特急大増発により6連編成増加に伴い4連編成4編成にVVVFインバータ制御方式の5030系中間電動車を併結するため,補助電装置,電動空気圧縮機などの置換え,その他併結に必要な機器の新設・移設・回路変更などの改造が平成12年度に実施されています。

平成5年増備の車両から台車はばね下重量軽減のため浪打車輪を初めて採用し,以後3000系を含む他車にも新造,交換の際に波及しています。

5002編成は5000編成(4連)とともに,検査や事故時の予備として6連編成と同様,阪神電鉄への乗り入れ対応工事(山陽と阪神で異なる連結器を連結するためのアダプタを車両床下に搭載,阪神線内で作動する線区切替スイッチに連動する列車種類選別装置(列選)とデッドマン解除機能の追加,運転台窓内への補助標識受の設置,戸閉回路に2車扉カット機能の付加等)が施工されています。

 

5000系5002編成の車内。座席はバケットタイプの固定クロスシート(4脚)で,集団離反式(中央の乗降扉で固定クロスシートの向きが異なる)です。画像では写っていませんが車端部はロングシートです。吊手は乗降扉,ロングシート部分に設置されています。固定クロスシートには手すりを取付。集団離反式固定クロスシートは,他社を含めても貴重な存在となっています。

 

▲5000系5014編成(5014-5015-5510-5208-5209-5607)は,令和元年11月23日(土)・24日(日)明石市で開催の「B-1グランプリ」をPRするヘッドマークを掲出していました。

5000系は60両が製造され,現在は6連編成10本(5030系車両を中間車4・5両目に連結した編成を含む),4連編成2本が使用されています。

阪神電鉄と相互直通運転を行っており,6連編成は主に「直通特急」として山陽姫路駅-阪神梅田駅間で運用されています。特に阪神線内ラッシュ時の混雑緩和と乗客の安全確保という観点から,特に混雑の激しくなる6連編成の大阪寄り先頭車(クモハ5000形)のクロスシートをロングシートに改造する工事が平成26年度に行われました。乗降扉間のクロスシートを撤去,新設計のロングシートを取付,ロングシート部に吊手を新設しました。ロングシートはバケットタイプの8人掛座席で,シートピッチは480㎜です。座席端部は大型袖仕切板を,ロングシート中央部に縦手すり(スタンションポール)を山陽電気鉄道で初めて採用しています。腰掛の詰物はウレタンで,試作品で座り心地のテストを重ねたうえで,クロスシートの座り心地に近付ける配慮が行われています。

シートモケットの柄は従来通りとしています。ロングシート座席下のヒーターは従来車で実績のあるものをもとに設計し,900Wと1100W各1台を1組として計4組を設置しました。新設の吊手の高さは,車内で統一感を出すため車端部と同様に床から1,660㎜としています。

工事に伴い床敷物の張り替え,戸袋部内装FRP材の更新,座席下暖房器および配管経路の変更も行っています。

先頭車の改造に合わせて中間車には吊手の増設工事を行っています。従来から設置している乗降扉部および車端部に加え,クロスシート部にも吊手を増設する事で乗客の安全確保を図るものです。クロスシート直上の設置となる事から車体中央寄りに設置し,天井に取付する吊手棒受は新設計のものとしています。吊手高さは車端部と同様の1,660mmです。工事は平成26年度から平成27年度にかけてロングシート化工事期間および定期検査中に行い,ロングシート改造車および4連編成を除く5000系の42両に施工されました。

 

▲昭和62年まで本線の舞子跨線橋に架設し使用されていた工部省鉄道局制式のPP-2形100フィート級単線ポニーワーレントラス橋の一部部材,戦後初の新型軸梁台車である川崎車輛OK-3(橋の部材の間),奥の車両は宇治川電気から独立した山陽電気鉄道が最初に制作した200形(昭和11年から登場した200形は,15m級と小形ながら当時流行の流線型を採り入れた車体が大きな特徴です。昭和44年まで活躍しました。)電車206号が保存展示されています。

 

▲東二見駅付近の金網には,「山陽 鉄道フェスティバル会場」(毎回使用)と「山陽 鉄道フェスティバル2019」のチラシが掲出されていました。

 

【参考文献】

・「鉄道ピクトリアル 2001年12月臨時増刊号 【特集】山陽電気鉄道/神戸電鉄」(電気車研究会)

・「鉄道ピクトリアル 2005年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑2005年版」(電気車研究会)

・「鉄道ピクトリアル 2015年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑2015年版」(電気車研究会)