本日は昭和31年(1956年)11月19日に国鉄東海道本線・米原~京都間が電化され、東海道本線の東京~神戸間の全線電化が完成した日。これに因んで鉄道電化協会が昭和39年(1964年)に「鉄道電化の日」と制定した日です。
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狭小トンネルが多い中央本線と篠ノ井線。
電化にあたって狭いトンネルではパンタグラフなどの屋上機器が多い電車の通行ができないため、山間部を通る路線では新たに線路を付け替えて断面の大きなトンネルを建設した路線も多いですが、中央本線と篠ノ井線は地形的なものや、トンネルがあまりにも多くて線路を付け替えると莫大な金額となることもあったのか(あくまで個人の推測です)狭小トンネルが多い電化路線となっています。
そのため、かつては狭小トンネルに対応するためカマボコ型の屋根をパンタグラフ部分では屋根を平たく削った形状の車両が走っていました。
これは他の地域を走る電車にも見られましたが、当時の国鉄特急型車両は車両の高さが急行型や近郊型に比べると低かったため特別な構造とはなっていませんでした。しかし、特急型電車は視認性向上のため運転席を屋上に取り付けたスタイルだったため運転台屋上のヘッドランプは中央本線の特急「あずさ」に使用される181系や183系、189系には取り付けられず、後に中央本線(塩尻以西の中央西線)と篠ノ井線電化完成によりデビューした381系も同様でした。
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485系のクハ481の屋上のヘッドランプ
151系(→181系)により特急列車の電車化が進み、高速で走るため遠くからでも列車の接近を認知できるよう屋上に取り付けられた砲弾型ヘッドランプはその後登場する581系・583系・485系・489系にも継承されましたが、中央本線を走ることが想定されていた183系・189系・381系では省略されました。
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189系のクハ189には屋上ヘッドランプ無し
その後、狭小トンネルに対応したパンタグラフが開発されて、パンタグラフ部分の屋根を低く削る必要はなくなりました。この狭小トンネルに対応したパンタグラフを搭載した車両の形式番号の頭の部分には◆マークが付けられており、現在の新しいでも引き継がれています。
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JR東日本E353系の◆マーク
いまではパンタグラフ部分を平たい低屋根構造とした電車も姿を消しましたが、狭小トンネル対応パンタグラフを搭載した車両の◆マークは現代の新型車両にも継承されています。中央本線の特急「あずさ」「かいじ」に使用されているE353系や東京地区の中央線快速電車で運用されているE233系、甲信地方のローカル列車で運用されている211系やE127系などに乗車する機会があったら屋根の上を見上げてみてパンタグラフが付いている車両であれな側面裾部に表記されている形式番号の頭の部分をご覧になってみてください。