今回は、10月31日を以て満60年の活躍に幕を閉じて引退した札幌市電M101号に乗ってきた事を紹介させて頂きます。
札幌市電の車両の中でも、330形のオリジナル塗色車が消滅後、唯一グリーン/ベージュ(デザートクリームと呼称)のツートンカラーで残ってたM101号。今から60年前、市電全盛期の1961年に日本車両製造(東京)で製造され、相棒のTc1号と連結されて使用される事から『親子電車』と呼ばれました。ラッシュ時には連結運転、日中の閑散時には切り離して『親』であるM101号単独での運転を目論んでいたようですが、切り離しに非常に手間が掛かるせいか、実際にはほとんど連結運転されていたようです。主に乗客の多い『2系統』(北24条~教育大学前※現中央図書館前)で運用されていましたが、1970年に連結運転を廃止、両車は切り離され、M101号のみワンマン化改造されて単独運転となり、残った『子』のTc1号は廃車、後に地下鉄南北線自衛隊前駅近くの高架下にある交通資料館(※現在休館中、2022年再オープン予定)に展示される事になりました。
その後、1981年には車体更新を実施。他の1958~60年に登場した210形~250形(全廃の230形を除く)がさらに大規模な更新修繕を行って姿形がガラッと変化していく中で、『札幌スタイル』を確立した傑作330形と同様、登場時から大きな変化のないまま経緯、330形が全車新製車体に載せ替えられた3300形に更新後、このM101も更新される予定でしたが、結局実現する事なくオリジナルに近い姿を維持する事となりました。
しかし寄る年波には勝てず、新型低床電車1100形の増備に伴ってまる60年の活躍に幕を下ろして引退する事が今年6月に公式発表されたのです。幸いにも、引退後は解体を免れ来年リニューアルオープン予定の交通資料館で保存される事となり、Tc1号と約50年振りとなる「親子再会」を果たす事になりました。尚、この車両の引退に伴い、北海道で活躍する日車製の現役鉄道車両(※機関車及び鉄道事業法適用を受けない保存鉄道を除く)はJR北海道のキハ281系のみとなりますが、同車もいつまで活躍が続くやら…。
そんなレア車だったM101号ですが、市電も数える程しか乗っていない私(市内北部在住につき)は一度も乗った事がありませんでした。たまに市電沿線での仕事の時に見かけた時は「いいなぁ…いつか乗ってみたいなぁ…」と思ったモノです。
引退が迫った10月以降、運転業務を担当する札幌交通事業振興公社からM101号による運転ダイヤが公表される事になり、コレを頼りに引退に先んじて10月10日(日)に外回り循環を中央区役所前から1周する形(13:21→14:17)で乗りに行ってきました(トップ画像と2枚目はその時の撮影)。乗り鉄というよりは『乗り電』ですね。
一度乗っておけばもう悔いはない…。そう思ってた私ですが、31日のラストラン、乗るかどうかギリギリまで迷ってました。しかし…『天の声』でラストランに乗りに行く事を決意、自宅からはマイカーで西線16条電停に近いコインパーキング(最大料金が安い処)まで出向き、そこから徒歩で同電停(外回り側)へ。勿論この電停を利用するのは初めてです。
お目当てのM101号(外回り循環)は、19:41着発予定。それよりも10分以上も早く来た私は、行き交う電車を撮り鉄しながら過ごします。
コチラは新型低床電車の嚆矢で、しかも40数年振りの連接車となったA1201号(愛称ポラリス)、内回り循環です。
コチラは外回り循環を先発する251号。アルバイト北海道情報社のラッピング広告車です。
さぁ…いよいよ時間が来たからお目当てのM101号が来るか…とドキドキしながら待っていたら、VVVF車の8512号でした…。ダイヤがちょっとだけ乱れているようです。
8512号をやり過ごし、後方から近付いてきたのが本命のM101号です!本来の時刻19:41より少し遅れて到着。待ってました!
尚、夜の撮影(私の腕の悪さも…)に付きこの日のM101号に関してはあまりいい写真が撮れず、お見苦しい画像になってしまった事をお赦しください。
他の電車が空いているのとは裏腹に、当然ながらM101号は鉄道ファンに加えて一般客も乗っており、車内は少々混雑気味で当然ながら着席する事はできず、立席乗車を余儀なくされます。
M101の料金箱の液晶表示。
ついにこの日付が表示されてしまいました…😢
M101号は外回りを順調に進み、途中多少の乗降を繰り返しながら西4丁目電停へ。ここで乗降に大きな変化があり、私はようやく席に有り付く事ができました。
そして出発。ループ化された区間である札幌駅前通に入り、札幌三越とパルコのある西4丁目交差点を曲がります。実は…ループ化されて以降初めて市電に乗ったのが、先述の10日に乗った時だったのでした…。
ループ化された区間で唯一設けられた狸小路電停に停車。その狸小路アーケードは、この日がハロウィン🎃という事で多くの仮装したイカレポンチな若者が繰り出してました…。ホント密な状態…。まぁ、ラストランに乗りに来る私も私ですが(尚、ワクチンは2回とも接種済み。勿論2枚マスク着用など感染予防対策を講じた上での乗車です)。
勿論沿道にはM101の最後の姿を撮影する方も多数いらっしゃいましたが。
そしてすすきの交差点を右折。ニッカウヰスキーのネオンの前を通るのもこの次で最後…。私も、コレをバックにM101を撮りたかったですが。交差点の角では撮り鉄らがズラリと並んでいました。電車はすすきの電停に入ります。
ここからは中略。山鼻線を南下して、中央図書館前電停からは、いよいよ最後の旅路…いよいよ正真正銘のラストランに入ります。特に西4丁目電停からはラストランに乗ろうと多くの鉄道ファンが乗り込み、車内の混雑はピークに達しました。あまりにも車内が密になってきたため、車内換気のため補助乗務員の方が開いていない窓を1つ1つ開けて回ります。
途中、パラパラと降っていた雨も次第に小雨模様となり、本来はこの日曇り空で終始するハズだったのが、まさに涙雨となってラストランの悲壮感を一層強いモノにfしました。
狸小路電停から先は、先に紹介した時刻表の最後のダイヤ(いちばん右側)となり、ニッカのおじさんとも最後のお別れとなります。
そして…最後の1駅、石山通電停…。
発車後、最後の降車ボタンが押されました…。
21:27頃(定時の場合)、終点の中央図書館前電停に到着!コレで名実共にM101号のまる60年に渡る営業運転にピリオドが打たれました。
到着するや、誰からともなく拍手が巻き起こり、前ドアが開いて続々と降車していきます。
もっと乗っていたかったので名残惜しいですが、私は記念も兼ねて1日乗車券(土日他の休日に割安で乗れる)『どサンこパス』(¥370。通常料金が¥200なので、2回乗れば元が取れる)を購入し、運転士にお礼と労いの言葉(勿論M101号にも向けて)を掛けて降車しました…。
まさに涙雨…車体も雨滴で濡れています…。
そういえばこのM101号、前日30日に起きた乗用車(トヨタ・アクア)との接触事故により、ラストランが無事行われるかどうか危ぶまれていましたが、損傷が比較的軽微だった事もあり、懸命の修繕の結果、31日の13時頃から運用に復帰、無事に最終日の運転が行われる事になりました。一時期、鉄道ファンらの殺到により混乱をきたしたため、一旦電車事業所に戻るというアクシデントもありましたが、その後再び復帰、ラストランにつながる運用に入る事になりました。
前日に付いた傷の修理痕が生々しいですが、我々鉄道ファンのために運用復帰に導いてくれた電車事業所の方には、感謝を申し上げる次第です。
最後まで車内に残っていた鉄道ファンの乗客が降車し、補助乗務員の方が感謝の言葉を述べられていました。
電停向かい側のヴィクトリアステーション山鼻店側では、雨天の中車庫に入っていくM101号を見守る方々が…。
到着から数分後、全ての運用を終えたM101号は電車事業所へ向けて回送されていきます。
行先表示は回送ではなく、中央図書館前を表示したままでした。
そして、電車事業所の奥へと入っていきました…😢
M101号よ、さようなら!そしてお疲れ様!今度は交通資料館で会いましょう!!
私はM101号を見送った後、後続となる外回り循環の21:38発の電車(3305号、国分北海道のラッピング広告車)に乗って西線16条電停に戻り、マイカーで帰宅したのでした。
おわり