【相鉄21000系】21101×8浦和美園車両基地へ!南北線・埼玉高速鉄道線走破

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2021年9月に長津田より東急線に入線し、10月には都営三田線志村車両検修場に深夜回送されていた相鉄21000系の21101×8(21101F)。

24日終電後、都営三田線・東京メトロ南北線を経由し、埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線へ入線。浦和美園車両基地に到着しています。

各社局で試運転を続ける21000系

志村車両検修場へやってきた21101×8(10月18日・筆者撮影)

2022年下半期の開業を目標に建設が進められている東急・相鉄新横浜線では、日吉駅から東急東横線・東急目黒線への直通運転が予定されています。

このうち、相鉄の目黒線直通用新形式として登場した車両が21000系です。2021年度に4編成が投入されるほか、最終的には9編成体制となることが経営計画から読み取れます。

2021年6月に最初の編成となる21101×8が日立製作所笠戸事業所(山口県・山陽本線下松駅付近)にて落成し、甲種輸送(貨物列車としての輸送)が実施されており、その後も順調に製造が続けられ、記事公開日には2021年度分最後となる21104×8も落成しています。

相鉄線内での各種試験を終え、2021年9月6日から21102×8自社線内での営業運転を開始しました。

一方で、21101×8は自社線にて運用されぬまま、9月20日から24日にかけて厚木操車場・相模貨物・八王子・長津田経由で甲種輸送により東急電鉄長津田検車区へ入線しています(過去記事)。

その後、田園都市線・大井町線を経由して元住吉検車区まで深夜回送。10月前半には目黒線内で各種試験が行われていました。この期間に東京メトロ王子検車区にも入線しているとの情報もありますが、地下ゆえに明らかにはなっていません。

10月16日深夜には、都営三田線の車庫である、東京都交通局志村車両検修場へ入線(過去記事)し、こちらでも終電後に三田線の地上区間を含む経路で試験が行われている姿が確認されています。

浦和美園車両基地へやってきた21000系

東京メトロ9000系とトップナンバー同士の並び(10月25日)

2021年10月25日未明には、東京都交通局志村車両検修場から都営三田線・東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線を経由して浦和美園車両基地へ初入線を果たしました。

これにより、21000系は東急目黒線とその直通先全社局を走行したこととなりました。

JR線へ直通する相鉄12000系はダイヤ乱れがない限り荒川を渡って埼玉県へ顔を出すことはありませんが、21000系は日常的に浦和美園まで顔を出すこととなりそうです。埼京線の事例と異なり、ダイヤ乱れ時のみの入線は運転士の技量維持の観点から好ましくありません。

これまでの動向から、相鉄から目黒線を経由して三田線・南北線への直通列車が設定されていること・東急車(3000系,5080系,3020系)に加えて相鉄車(21000系)も使用されることが考えられます。

一方で、東急と相鉄の直通運転では、他の事業者から消極的な姿勢も見られており、東京都交通局6500形・東京メトロ9000系ともに現時点で相鉄線内の運転に対応した保安装置や列車無線(いずれもJR東日本と同様のもの)を搭載していません。

そして、今回入線を果たした埼玉高速鉄道は開業以来苦しい経営状態が続いており、自社保有の2000系についても引き続き6両で運用される計画です。相鉄へ6両編成が乗り入れられることは羽沢横浜国大駅に設置、以後も全線に整備が進められているホームドアから有り得ないため、新横浜・もしくは既存の日吉までの運用に留まることとなります。

相互直通運転では車両の使用料(他社の電車を借りて自社線内を走らせる扱い)を相殺する運用構成とされるため、埼玉高速鉄道へは優先的に6両編成が充てられるような車両運用構成が想像でき、この場合は相鉄車の埼玉高速鉄道線内の運用設定は限定的なものとなりそうです。

相鉄車が三田線・南北線・埼玉高速鉄道線を走行した分は3社局の車両が東急線を多く走り、相鉄線内をその分東急車が多く走る……素人目にはかなり計算がややこしい印象です。必要があれば、この距離精算の都合で東急車による相鉄横浜駅への運用も設定されるかもしれません。

ただし、乗り入れ本数が少ない場合であっても、朝夕の往復運用のみで浦和美園車両基地に居る姿自体も貴重となる・逆に現在の東急車のように、朝やってきて日中留置ののち夜に帰っていく運用体系であれば日常的となる……どちらも考えられるため、この光景自体が開業後も見られるのか否かは定かではありません。

埼玉高速2000系と顔合わせ(10月25日)

もうしばらく“居候”?

複雑な経路で長津田にやってきた21000系(9月23日・筆者撮影)

これまで各社局で試験が行われていた21000系ですが、今後の動向については現時点では明らかになっていません。往路が商業紙に掲載されていたものの、復路の設定が見られないことから、短くとも11月いっぱいは東急側に留まるものと見られます

商業誌(月刊とれいん2021年12月号)により、12月下旬に東京メトロ綾瀬駅から相模鉄道厚木駅までの経路で甲種輸送が実施される計画が明らかになっています。

送り込まれた際に実施された甲種鉄道車両輸送は、JR貨物に輸送料を支払うものとなっているため、それなりのコストがかかっています。

特にこの21000系の長津田までの輸送では、直通後の向きとなるように川崎貨物を経由するイレギュラーな経路となっているほか、相模線と相鉄線の受け渡しをする厚木操車場・横浜線と東急線の受け渡しをする長津田駅双方で編成を2分割する必要があるなど、作業行程も非常に多いものとなっています。

一方で、線路が繋がるまで各地を走行する計画であれば、この甲種輸送は片道のみで済むこととなります。

現時点では深夜試験が行われており、信号や保安装置と走行機器の相性に問題がないかを測定する、「誘導障害試験」と見られます。過去の事例に倣えば、今後も自動列車運転装置(ATO)や定位置停止装置(TASC)の調整、4事業者の全運転士への乗務員訓練など、実施する必要のある試験や訓練が多岐に渡ります。

このうち、ATO,TASCの調整は乗り入れをする全編成で実施する必要があり(副都心線開業前の事例・以後も東武や西武の車両は検査明けの際に毎度試運転を実施)、20000系7編成・21000系9編成の送り込みや返却の全てを甲種輸送で行うことも考えにくく、それより前の時点で線路は繋がっている状態となることが想像できます。

2022年度の早い段階で仮の状態で線路が繋がる計画であると仮定すると、それまでの半年強は21101×8をそのまま東急側に“居候”させておくことも考えられます

ただし、イレギュラーな対応であることは明らかで、ファンの間でも推測は割れている印象です。

相鉄のかしわ台車両センターには東急テクノシステムかしわ台事業所が設けられており、相鉄車両の改造工事を請け負うなどの実績なども多く有します。21000系が東急側に留まる場合は、元住吉検車区または長津田検車区で、委託もしくは出張による月検査相当を実施することとなりそうです。

相鉄側の動きでは、2021年3月ダイヤ改正で8両運用が増やされているものの、増加したのは3運用とされており、投入数の4本とは相違がありました。1編成分は10000系8両の機器更新のためかと思いきや、11月に実施される機器更新入場は10両編成であることが商業紙で判明しており、相鉄側に戻されても8両編成1本を持て余す状態です。

一通りの試験を済ませたら帰ることとなるのか、線路が繋がるまでしばらく各地を転々とするのか……今後の動向に目が離せません。

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記事内掲載写真は、フォロワーのhn9605様(@hn9605)より掲載許諾を頂いています。

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