並行在来線は道南いさりび鉄道、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、しなの鉄道、えちごトキめき鉄道、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道、肥薩おれんじ鉄道の、国鉄民営化後の新幹線に並行した在来線を第三セクターに転換した路線たちのことである。ここに福井県区間の北陸本線が加わる予定である。

しかしとはいえその大多数が”本線”であったから(東北、信越、北陸、鹿児島)、需要は一定程度あるわけで転換後需要喚起策として新駅ができることが通例である。

今回はその第三セクターを転換した後開業した駅を列挙しその後、信越本線、北陸本線の転換路線を中心に他の候補地を検討する。
まず実際に開業した駅と、開業予定の駅は以下の13駅である。
社名 開業日 駅名 区間
青い森鉄道 2014/3/15 筒井 青森・東青森間
IGRいわて銀河鉄道 2006/3/18 青山 盛岡・厨川間
IGRいわて銀河鉄道 2006/3/18 巣子 厨川・滝沢間
しなの鉄道 1999/4/1 テクノさかき 西上田・坂越間
しなの鉄道 2001/3/22 屋代高校前 屋代・篠ノ井間
しなの鉄道 2002/3/29 信濃国分寺 大屋・上田間
しなの鉄道 2009/3/14 千曲 戸倉・屋代間
えちごトキめき鉄道 2021/3/13 えちご押上ひすい海岸 糸魚川・梶屋敷間
あいの風とやま鉄道 2018/3/17 高岡やぶなみ 西高岡・高岡間
あいの風とやま鉄道 2022/3予定 新富山口 富山・東富山間
IRいしかわ鉄道 2024/3予定 西松任(仮称) 加賀笠間・松任間
肥薩おれんじ鉄道 2005/3/1 たのうら御立岬公園 上田浦・肥後田浦間
肥薩おれんじ鉄道 2004/3/13 新水俣 津奈木・水俣間

この中でまだ新駅を検討しているところの線区の駅間と新駅建設予定地を見てみる。
1.しなの鉄道(信越本線)
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しなの鉄道線(長野新幹線並行区間)は新駅が4つできた。他方北しなの線は長野、豊野間に新駅候補地を3つ予定している。A>B>Cでその実現可能性が高いという結果になっている。
長野市の資料(PDF)はこちら

2.えちごトキめき鉄道(北陸本線、信越本線)
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2021年ダイヤ改正でえちご押上ひすい海岸駅が開業した(図中では長いので略した)
糸魚川の逆となりに今村新田(仮称)駅を、旧信越本線の区間に新駅検討区間を4つ検討している。
このうち旧信越本線区間に関してもっとも可能性が高い(=収支予測が黒字)なのは図中2番の駅である。
駅間の長いところを優先と言うより実際の収支をみて決定することになっている。また、今村新田駅は糸魚川市の資料によればかなり設置可能性が下がっている状況である。
えちごトキめき鉄道の試算資料はこちら(PDF)
糸魚川市の資料はこちら(PDF)

3.あいの風とやま鉄道
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高岡やぶなみ駅の開業に次いで、新富山口駅の開業が決定している。そのほかにも4km以上の駅間があり駅勢圏が被らない区間を他に5つ検討していたようである。しかし前2つ以外は計画が具体化していない。
当時の朝日新聞の記事はこちら

4.IRいしかわ鉄道(北陸本線)
https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/content/000236071.pdf
松任駅から福井方に新駅をつくる。
上の資料によれば確かに新駅設置はJR西日本が申請者となっているが、IRいしかわ鉄道に移管されると同時の開業を予定しているため今回ここに含めた。

5.福井県並行在来線準備株式会社(北陸本線)

新駅の検討予定地は(こっちが直江津方)森田ー福井駅間、鯖江ー武生駅間、武生ー王子保駅間(こっちが米原方)である。このうち、森田ー福井間新駅に関しては既に候補地の検討に乗り出しているほどである。




並行在来線はJRから切り離され運賃が高くなる点では扱いが悪くなるかのような印象になってしまうが、それを越え、第三セクターならではの地域密着施策としての新駅設置の具合は見逃せないだろう。