公益財団法人日本デザイン振興会が毎年主催している「グッドデザイン賞」が今年も発表されました。
毎年秀逸なプロダクトデザインを取り入れた製品が受賞する賞で、もちろん鉄道車両からも選出されます。
この他、グッドデザイン賞 大賞が11月2日に発表される予定で、鉄道分野からのランクインがあるのかどうか注目されます。
117系「銀河」
・JR西日本 「長距離列車 [WEST EXPRESS 銀河]」（117系）
ディレクター：株式会社イチバンセン一級建築士事務所 川西康之
JR西日本としては2018年の35系客車に続いて3年ぶりの受賞となります。
竣工後40年が経過した117系をまさかの晴れ舞台に引き上げたのは、まぎれもなくコストを抑えることが目的。
瑞風ほど高コストではなくカジュアルに夜行列車を楽しめる親近感、往年の寝台列車の雰囲気を引き継いだカラーリングや車内インテリアなどが評価されました。
N700S系
・JR東海「新幹線車両 [N700S (N700Supreme)]」
ディレクター：東海旅客鉄道株式会社
デザイナー：東海旅客鉄道株式会社、エイアンドエフ株式会社 福田哲夫、福田一郎＋木村一男＋蓮見孝＋井上雅弘
先代N700系に続いて、JR東海の車両としては14年ぶりの受賞です。
東京メトロ18000系
撮影：通勤特快//なんぴょん様
・東京地下鉄「鉄道車両 [東京地下鉄株式会社 18000系車両]」
ディレクター：東京地下鉄株式会社 鉄道本部 車両部 設計課長 荻野智久
株式会社日立製作所 研究開発グループ 主任デザイナー 高田裕一郎
デザイナー：東京地下鉄株式会社 鉄道本部 車両部 設計課 課長補佐 中村大樹
株式会社日立製作所 研究開発グループ デザイナー 野末壮
17000系に続いて2年連続の受賞となった東京地下鉄の18000系。
半蔵門線8000系の代替車両として新造されたこの電車は、8000系・08系に続く3代目。
伝統的に高いデザイン性を持った車両が投入される半蔵門線において、歴代車両の端正な表情を継承し直線的デザインのヘッドライトを配し、内装はラインカラーであるパープルを濃淡で表現した配色により、親しみ、活気とともに路線の識別性を両立しています。
アストラムライン
・広島高速交通 「新交通システム車両 [アストラムライン7000系]」
ディレクター：三菱重工エンジニアリング株式会社＋株式会社GKデザイン総研広島
デザイナー：三菱重工エンジニアリング株式会社＋株式会社GKデザイン総研広島
アストラムラインでは、先代のHRT-60系に続いて2度目の受賞となります。
駅施設や路線・車両が一体となったトータルデザインのもと、一貫したデザインのコントロールが行われているアストラムラインでは、新形式車両でもそのコンセプトは不変であるということから「継承と進化」をデザインコンセプトとして新たに設計されました。
台湾鉄路
・日立製作所「交通部臺灣鐵路管理局 都市間特急車両 EMU3000」
ディレクター：株式会社日立製作所 研究開発グループ 主管デザイナー 池田稔
デザイナー：株式会社日立製作所 研究開発グループ デザイナー 野末壮
台湾向け輸出車両からは、日立製作所のEMU3000形が受賞。
台湾全土で運用される都市間特急で「世界に誇れる特急列車を」というコンセプトの下、製造されました。
駅や部品からも
鉄道車両の他、駅ビルや時刻表生成システムなども受賞しています。
・九州旅客鉄道「JR熊本駅ビル」
・東邦電機工業「踏切警報灯」
・ナビタイムジャパン「鉄道事業者向けの時刻表生成システム」
【参考】過去のグッドデザイン賞受賞
鉄道車両
・近鉄80000系「ひのとり」（2020年）
・大阪モノレール3000系（2018年）
・JR西日本35系客車（2018年）
・JR西日本 85系「瑞風」（2017年）
・東武70000系（2017年）
・JR西日本225系（2011年）
・京阪3000系（2009年）
施設等
・南海 「なんばEKIKAN」（2019年）
・大阪市高速電気軌道「Osaka Metro ブランディング」（2018年）
・富山市「富山駅前広場、高架下自由通路、LRT軌道」（2017年）
参考文献
公益財団法人日本デザイン振興会「2021年度グッドデザイン賞」各ページ
三菱重工『広島市の新交通システム向け新型車両が「2021年度グッドデザイン賞」を受賞 三菱重工エンジニアリング、受賞を通じて地元への貢献“地産地走”を形に』2021.10.22
