丸瀬布森林公園いこいの森へ。北海道遺産 森林鉄道蒸気機関車「雨宮21号」【北海道✴鉄道巡り⑫】 | 湘南軽便鉄道のブログ

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その他、5インチゲージ自家用乗用鉄道「湘南軽便鉄道」についても掲載。路線は湘南本線(ベランダ線・路程約0.01km)があったが現在廃止。新たな庭園鉄道敷設の構想中。

(前回記事の続き)

(動態保存の森林鉄道蒸気機関車「雨宮21号」)



★過去記事↓↓↓







全線電化区間を走る非冷房キハ40✴札幌発旭川行き長距離鈍行(深川→旭川)【北海道✴鉄道巡り⑨】 







 JR北海道  石北本線
丸瀬布(まるせっぷ)駅

発着列車は、特急(オホーツク、大雪)・特別快速(きたみ)・普通合わせて、下り8本、上り7本。


「SLと昆虫のまち丸瀬布」
かつてこの町には、最盛期には総延長約85kmにも及ぶ森林鉄道が張り巡らされ、軽便鉄道サイズの蒸気機関車(SL)が活躍していた。


無人の丸瀬布駅は、丸瀬布生涯学習館を併設

丸瀬布駅近くの交差点にある大きな看板






丸瀬布森林公園いこいの森
丸瀬布駅から約9km先の「丸瀬布森林公園いこいの森」へ。
丸瀬布駅前から一日3本バスの便もあるが、石北本線に全く接続していないため、丸瀬布地区に1台のみの「丸瀬布タクシー」を事前予約して利用。

丸瀬布森林公園いこいの森は、北海道紋別郡遠軽町丸瀬布地区(旧 丸瀬布町)に位置する公園。園内には武利川が流れ自然環境豊か。
動態保存の「森林鉄道」、「丸瀬布郷土資料館」、「いこいの森オートキャンプ場」、各種遊具(ゴーカート、バッテリーカー、自転車、テニスコートなど)があるほか、旧国鉄の旧型客車が休憩所として静態保存されている。
また、道路を挟んで、「丸瀬布温泉やまびこ」や「丸瀬布昆虫生態館」がある。


敷地外から園内を望む。ミニサイズだが、ダミーではない本物の歴史的価値あるSL列車が停車中。

動態保存のナローゲージ蒸気機関車「雨宮21号」は、かつてこの地の森林鉄道で活躍していた。

小さいながら本物の蒸気機関車が駅に停車中


蒸気機関車の後ろには、大正時代に製造された本物の古典客車を2両連結

かつて日本各地に存在していた「軽便鉄道」が、北海道の山奥で、今も動く状態で保存されている。


この客車は、元々は、かつて岡山県に存在していた軽便鉄道「井笠鉄道」で活躍していたもの。1925年(大正14年)に日本車輌製造で製造。





園内に敷かれているナローゲージの線路。この辺りは、武利ダム湖の造成地。

風を切って走る、動力付きの軌道用自転車もある。

広い園内




踏切を渡り、「丸瀬布森林公園いこいの森」園内へ。

軌間の狭い線路

軌間762mmのナローゲージ



丸瀬布森林鉄道

かつてこの地には、丸瀬布近隣の山から国鉄石北本線丸瀬布駅まで材木を運搬する北見営林局丸瀬布営林署の森林鉄道「武利意(むりい)森林鉄道」と「上丸瀬布(かみまるせっぷ)森林鉄道」が延びていた。

「武利意森林鉄道」は、1928年(昭和3年)、石北本線丸瀬布駅西側の貯木場から武利川に沿って武利意事業区まで延びる武利意幹線と支線の25.9kmが開通。その後、武利川の支流や沢筋に沿って支線や作業線が延伸され、総延長は71.4kmになった。
また、「上丸瀬布森林鉄道」は、1940年(昭和15年)、丸瀬布川に沿って上丸瀬布事業区までの14.0kmが開通。
両方合わせて、最盛期には総延長約85kmの「丸瀬布森林鉄道」と称する。

この「丸瀬布森林公園いこいの森」は、かつて武利意森林鉄道が通っていた場所に程近い。

開通時に、戦前に東京にあった車両メーカー・雨宮製作所で、11トンCサイドタンク蒸気機関車が3両製造され導入された。その後、蒸気機関車やディーゼル機関車を増備。
しかし、上丸瀬布森林鉄道は、1949年(昭和24年)に廃止。武利意森林鉄道もトラック輸送に切り替わり、1962年(昭和37年)に廃止され、丸瀬布の森林鉄道の歴史が終わった。




森林鉄道蒸気機関車「雨宮21号」

「雨宮21号」は、北海道遺産、近代化産業遺産、林業遺産、準鉄道記念物に指定

森林鉄道用の蒸気機関車を、全国で唯一動態保存運転

森林鉄道蒸気機関車「雨宮21号」は、開通時に、戦前に、当時の東京市深川区にあった車両メーカー、雨宮製作所で製造された11トンCサイドタンク蒸気機関車の一つ「21号機」。

開業時からの生え抜き「21号機」は、1958年(昭和33年)に引退。1963年(昭和38年)森林鉄道廃止後に解体しスクラップにされる予定だったが、地元の保存活動等により保存が決まり、1979年(昭和54年)に再整備され、動態保存の蒸気機関車として復活した。

太いボイラーや大きな煙突




小さな3つの動輪と、動輪を駆動させるロッド




運転室の足元まで石炭が積み込まれる。

車体の両脇にも水タンクを装備する。

路線は、「いこいの森駅」を発着する、軌間762mmの8字形の約2kmの周回軌道。運転日は、4月下旬〜10月中旬の土・休日と、夏休み期間中の毎日。





森林鉄道きっぷ売場


乗車場所は「いこいの森」駅
駅舎はない。

動態保存の客車は3両。
かつて長野県木曽地方の旧・王滝森林鉄道(上松運輸営林署、既に廃止)で活躍していた、1956年(昭和年)岩崎レール工業製造の「B客14号客車」と、

かつて岡山県の軽便鉄道・旧・井笠鉄道(既に廃止)で活躍していた、1925年(大正14年)に日本車輌製造で製造のデッキ付き客車「ホハ13」「ホハ19」
その他、運転用の客車は、新製のトロッコ客車などもある。

使用される客車は、日により異なり、旧・王滝森林鉄道の客車等と交互に使用される。

旧・井笠鉄道木造ボーギー客車「ホハ13」「ホハ19」
この日は、かつて岡山県の軽便鉄道、旧・井笠鉄道(既に廃止)で活躍していた、1925年(大正14年)に日本車輌製造で製造のデッキ付き木造ボーギー客車「ホハ13」「ホハ19」の2両。

井笠鉄道から引退後は、西武鉄道の旧・山口線(埼玉県所沢市、遊園地前〜ユネスコ村間3.7km)に移り活躍。旧・井笠鉄道時代は4両とも車端部に乗降扉と妻面扉がある密閉式車両だったが、西武鉄道山口線時代にオープンデッキ化改造。さらに「ホハ13」「ホハ18」は車体妻面の片方を撤去し展望車風化改造。

その後、ユネスコ村で展示保存されていたが、1993年(平成5年)丸瀬布町(現在の遠軽町)が客車を4両譲受し、そのうちの2両が動態保存車両として今も走っている。

なお、「ホハ18」は西武鉄道山口線時代の状態で車両格納庫内にて保存。「ホハ14」は解体され、台枠と下回りのみ車両格納庫に保管。

手前は「ホハ19」、奥は「ホハ13」



「ホハ13」



井笠鉄道の社紋を復元




「ホハ13」は、西武鉄道山口線時代に車体妻面の片方を撤去し展望デッキ風に改造されている。



軌道自転車(足こぎ自転車)
丸瀬布森林公園いこいの森のナローゲージ路線には、SL列車「雨宮21号」のほか、動力付きの軌道自転車(足こぎ自転車)もあり、SL列車の発車後に続行運転される。


※2021年(令和3年)夏


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