橿原神宮前（かしはらじんぐうまえ）駅には近畿日本鉄道の橿原線・南大阪線・吉野線の3つの路線が乗り入れており、各線とも特急列車が運行されています。標準軌区間の橿原線は殆どが京都駅〜橿原神宮前駅間を運行する列車（早朝・夜間には大和西大寺駅〜橿原神宮前駅間も設定）で、狭軌区間の南大阪線・吉野線は主に大阪阿部野橋駅〜橿原神宮前駅・吉野駅間の２系統が運行されています。また、2021年（令和3年）7月のダイヤ変更からは下りの特急で吉野線の下市口駅止まりが新たに設定されました。
橿原神宮前駅は1923年（大正12年）3月21日に大阪電気軌道（以下、大軌）畝傍線の終着駅として開設されました。駅が設けられた場所は現在の駅から北西の橿原神宮の正面口辺りでした。そして同年12月5日に吉野鉄道が大軌の橿原神宮前駅に接続するかたちで開業し、翌年11月に省線（国鉄）桜井線の畝傍駅まで延伸しました。1929年（昭和4年）3月29日に大阪鉄道（2代目）（現･南大阪線）が、吉野鉄道との接続駅として、現在の駅の前身となる久米寺（くめでら）駅を開設。同年8月に大軌が吉野鉄道を買収し橿原神宮前駅は大軌単独の駅となり、翌年には橿原神宮前駅〜久米寺駅間が三線軌条化され大軌の車両が久米寺駅に乗り入れるようになりました。ところが橿原神宮の神域拡大などで線路が付け替えられ、1939年（昭和14年）7月28日に大軌の橿原神宮前駅は廃止され久米寺駅に隣接して新たに橿原神宮駅（かしはらじんぐうえき）駅となり、同時に大阪鉄道の旧久米寺駅は橿原神宮前駅（2代目）と改称しました。翌年には大阪鉄道の橿原神宮前駅も橿原神宮駅（かしはらじんぐうえき）駅と改称。その後大軌と大阪鉄道は合併で近畿日本鉄道となり当駅もその所属駅となりました。そして1970年（昭和45年）3月1日に橿原神宮前駅（3代目）と改称し今日に至ります。
橿原神宮前の駅舎が完成したのは1940年（昭和15年）で、紀元2600年の式典に合わせて造られました。写真の中央改札口は高い天井に明かり採り窓のあるモダンで開放感のある設計で、橿原神宮参拝の玄関口に相応しい造りとなっています。
橿原線のホームは島式ホーム２面３線です。写真右側の特急電車が停まっているのが�“崟�で左へ�↓Ｈ崟�となります。�“崟�の反対側には狭軌の線路が敷かれています。特別な場合以外は使われませんが、橿原線の列車から吉野線の列車に対面乗換ができるようになっています。
狭軌の線路が敷かれている線は⓪番乗り場とされていますが、ホームには番号掲示はありません。
反対側は一直線で吉野線と合流しています。
�´�番線の先には引上線が３本あり、折り返し列車の一部が使用しています。
⓪番線の線路を１本挟んだ東側には台車振替場があります。これは南大阪線系狭軌車両の全般検査を標準軌の五位堂検修車庫で行う際に、狭軌の台車から標準軌の台車に履き替える為の設備です。履き替えが終わると事業用車両で挟んで五位堂まで回送されます。
施設の前後に標準軌と狭軌の４線区間があります。
南大阪線・吉野線は島式ホーム２面４線です。吉野寄りに引上線、南側に留置線があります。南大阪線は複線ですが、当駅を境に吉野線は単線になります。
留置線でスタンバイする16010系特急電車。
南大阪線・吉野線側（西側）の駅舎。
地下にある西改札口。地下道を使って南大阪線・吉野線のホームへ入場します。
東改札口。三つある出入口の中では一番こぢんまりしています。
橿原線と南大阪線・吉野線を結ぶコンコース。飲食店やドラッグストアなどが入居していて列車待ちの時間つぶしには便利です。かつては書店などもありました。
コンコースから東口へは長い構内踏切を渡りますが、遮断機が下りることはあまりありません。
以前の訪問記事はこちらです。
第１回近畿の駅百選認定。
橿原線
畝傍御陵前駅⇔橿原神宮前駅
南大阪線
橿原神宮西口駅⇔橿原神宮前駅
吉野線
橿原神宮前駅⇔岡寺駅
