タイトルの「塗装されたアルミカー」、大半の鉄道会社ではごく一般的な事であり、特に珍しい事ではありません。
例えば、阪急7000系以降(一部6000系も含む)とか、神戸市営地下鉄とか、神鉄2000系/5000系とか、京阪電車とか…
しかし山陽電車に関しては、アルミ車体は塗装工程の簡略化目的であり、銀の地肌に警戒色の赤帯…が定番であります。
(昭和30年代半ばに2000系でスキンステンレス採用から始まり、2012Fで日本最初のアルミカーの誕生、3000系で途中中断時期を経て3050系後期以降は無塗装アルミが定着)
そんな山陽電車のアルミカーにも、例外がございまして…
それが今回ご紹介する3050系3066Fであります。
撮影:2002年10月20日
2002年10月の山陽・鉄道フェスティバルの車両撮影会での、アルミカー40周年記念での各型式(アルミカーの)最初の編成の並びで、3066Fは3050系アルミの最初編成として出演
3066Fは昭和56年、新工法のアルミ車体の初採用として登場しました。アルミ車体は無塗装でも錆びにくい、そして軽量で丈夫というメリットがありながらも、製造コストが高い、なので2012Fの後に3000系3000Fと3002Fで初の量産アルミカーとして登場するも、昭和43年の神戸高速鉄道開業に向けての3000系大量生産の為に3004Fから普通鋼製に戻ってしまうという経緯がありました。それから14年、技術の進歩とコストダウンにより大量生産の目途が立った事で、3066Fからの採用となった訳ですが…
アルミ車体を採用したのは神戸寄り2両(3066-3067)、電動車ユニットのみ。姫路寄り1両(3638)は従来の普通鋼製で製造されました。
撮影:2015年6月21日
撮影:2016年5月5日
新工法アルミ車体を採用した3066Fの神戸寄り3066号
撮影:2016年4月17日
撮影:2017年4月15
一方、姫路寄り先頭車の3638は普通鋼製で製造
恐らく、試作的要素が強かったのかと思われます。電動車2両のみのアルミ車体採用、鋼製車との混結…というのもありますが、
(それだけなら過去に2000系ステンレスカーの初回生産だった2500号(2010Fよりも先行して落成)が2010F以外に他の鋼製車に組み込まれ、塗装の普通鋼製と無塗装のステンレスで混色編成が平気で組まれてた事例があり)
それ以外にも素材としての試作であり無塗装を前提としない表面になっている…という話もあります。
撮影:2015年10月27日
3066Fの次に導入された3068F。編成丸ごとアルミ車体を本格採用。そして無塗装での登場となり、以降の山陽の銀車体に赤帯スタイルの定番となった
当初は3508を組み込んだ4連を組んでおり、神戸寄り2両がアルミ、姫路寄り2両が普通鋼製…という組み合わせでしたが、後にアルミ車体の3538を追加製造して差し替え。3538は3074Fや3100Fとほぼ同時期の製造ながら、3066Fに合わせて塗装アルミ車体となっています。
この3066F以降のアルミカーの内装が化粧板ではなく、プラスチック一体成型(ユニットバスなどに採用された内装)ゆえに窓の取り付けが外からのボルトオンになっているのが特徴であり、それが鋼製車との見分けるポイントとなっています。
撮影:2016年3月19日
窓周りに四角い枠で、外から取り付けられた様な外観が特徴
撮影:2017年4月15日
左側が3638(普通鋼製)で、右側が3538(アルミ)。窓枠の違いが一目瞭然。他に、妻面も異なり、こちらも識別ポイント
他に内装も普通鋼製:化粧板、アルミ:ブラスチック一体成型(クリーム色1色)で、違いがあります。
3050系の3056F以降の鋼製車は車体更新工事を受けて内装、外装共にリニューアルされましたが3050系アルミカーについては車体更新工事を受けていません(リニューアル対象が5000系に移行したのと、5000系でもそうやがプラスチック一体成型内装のリニューアルがコストと手間がかかるのと経年の問題で飛ばされた?)。そんな中で3066Fは普通鋼製の3638も含めて未更新(なので3050系鋼製車後期で唯一の未更新車)であり、今後何らかの更新を受けるのか?それともそのまま…
ちなみにメイン電源が大型MGからSIV(静止インバーター)への交換が実施されました(これは3072Fまでのアルミカーにも実施。3074F以降は当初からSIV採用)。それ以外は車内照明は蛍光灯のまま、正面方向幕は手動のまま、シートモケットのバケット化未実施など(これはリニューアル車でも未実施多数)。まだまだ使用されるなら、車体更新まではせずとも何らかの簡易更新がされて欲しいかなと…
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