線路の向こう側

鉄道や趣味に関することを週1更新でお届けします。

函館本線全区間を特急のみで移動する その2

nshira.hateblo.jp前回の記事の続きです。

札幌まで移動して宿泊した後は翌日の移動に備えます。

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そして翌朝は早朝からの移動になります。

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「特急ニセコ」!

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車両は「ノースレインボーエクスプレス」です。右のキハ261系5000番台ラベンダー編成が今後は従前ノースレインボーが入っていたこのような運用を担うものと思われます。今回はフランラベンダーエクスプレスに入っていました。そしてこの日がデビューだったようです。

対してノースレインボーは引退もささやかれています。かつてJR北海道には多数のジョイフルトレインと呼ばれる、リゾート列車が活躍していました。

「フラノエクスプレス」
トマムサホロエクスプレス」
ニセコエクスプレス」
「アルファコンチネタルエクスプレス」
「クリスタルエクスプレス トマム & サホロ」があり、この中でも

アルファコンチネタルエクスプレスの置き換えとして登場したのがこの「ノースレインボーエクスプレス」でした。現在はこれらはすべて引退ましたが、前述の「キハ261系5000番台」には、「はまなす編成」もあり、2編成が活躍するようです。

このノースレインボーエクスプレス団臨や臨時列車、または一般車両の代走として使用されてきましたが、1992年製造ということもあり、来年には30年、そろろ先が見えてきていると言えます。実際にこの日、札幌ー函館間を乗りとおしましたが、冷房装置の故障がありました。そんな先の見え始めている列車に乗車するのが今回の目的でした。

札幌を出ると小樽まではゆっくりした運転を続けます。この区間は列車密度も高く、スジが寝ている印象を受けました。車内は今の基準で考えれば少し手狭で収納も少ないのが少々残念です。せめて座席背面のテーブルは欲しかったところです。ただそれを補ってくれるに余りある、開放的なガラスだらけの車内は圧巻です。今の時代にはこんな車両は作れないでしょう。

小樽を出ると山線とも呼ばれる函館本線区間に入ります。それにしてもまさに山の中。よくこんな場所を鉄道を通したものだと頭が下がる思いです。途中駅から地元の観光協会の方が乗車してきて特産品の販売もありました。「C623ニセコ号」の法被もありました。

そう、この区間はC623が牽引する、SLニセコ号の区間です。山線はJR初期頃から積極的にイベント列車に活用されてきました。今回の特急ニセコも、車両こそ違いますが、用いられているマークはその当時と同じものです。奇しくもその後京都鉄道博物館ではC622の「ニセコヘッドマークがお披露目されましたので、今年は「ニセコ」祭りなのでしょうか?

この特急ニセコ号に関しては、まさにニセコへの観光客の誘致が目的のようです。北海道新幹線の全線開業に向けては、函館から札幌をまでをこの山線を通す計画で、ニセコも停車駅になる予定です。ニセコはスキーリゾートの町として観光産業に力を入れていますが、新千歳や函館、札幌といずれからも遠く、鉄道が効率的な移動手段と言えます。新幹線の開業まではまだ時間がかかるので、ニセコの名前を継続してアピールしているとのことでした。

 

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山線区間を終え、長万部を抜けると今度は車窓に壮大な海が見えます。この区間は1Fのラウンジで過ごすこととしました。つい先日E4系の定期列車運行ラストランがありましたが、このラウンジ車両は100系新幹線を模したような構造になっていて、売店や2Fへ通じる階段、2F席の作りなどは随所に100系新幹線らしさを感じました。

それにしても北海道新幹線の全線開業時にはこの区間並行在来線区間になりますので第3セクターへ移行することになるのですが、自治体は廃線を希望しているんだとか。財政が厳しいのでやむなしでしょうし、JR貨物は貨物列車を走らせるとは思いますので、長大な貨物船ができるということでしょうか。テレワークが普及していくと、鉄道は貨物輸送手段として生き残っていくことになるのかもしれません。

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函館駅の櫛形ホームに到着すると旅は終了を迎えます。この後車内清掃と乗客の入れ替えを経て、それほど長い時間は滞在せずに札幌へと引き帰していきました。ノースレインボーエクスプレスのその名の通り、車体側面にはカラフルな装飾がされています。

久しぶりの在来線の長距離列車に乗車したので体がもうくたくたでしたが、あとは関東へと戻るばかり。北海道ジョイフルトレイン最後の雄、ノースレインボーエクスプレスへの乗車が叶いました。

そしてこの時に気づいたのです。函館本線を全区間特急のみで走破したのだ、と。函館本線は「特急北海(函館ー札幌)」がありましたが、この北海はJR北海道発足を前に廃止されており、定期列車で函館ー札幌間を走破する特急列車はありません(もちろん、室蘭本線経由の特急北斗はありますが)。

さてこの函館本線北海道新幹線の開業によりその姿を変えていくことになりますが、どのように変わっていくのか、見届けていきたいと思います。そしてキハ183の仲間たちの行く末も、もうそろそろ終盤です。まして、キハ281やキハ283でさえも廃車が進行する中で、北の鉄路はどうなっていくのでしょうか?興味は尽きません。