[ 国立公園鉄道の探索 ]
伊勢奥津駅 (名松線)
かつて三重県伊勢地方の松阪と伊賀地方の名張を結ぶ鉄路として計画された名松線(松阪~伊勢奥津 43.5km) 、その終着点は高見山地が迫る山間の駅・伊勢奥津です。
廃止勧告対象路線となったり、台風による大きな被害で何度も廃止の危機に瀕しながらも、地元の方々の強い要望を受け命脈を保ち続けています。
清流・雲出川の渓谷地帯を遡った先にはゆかしげな終着駅が佇んでいます。
うねうねとした鉄路の奥まったところに名松線の終着駅があります。
戦前、名張までの延伸計画がありました。
松阪~名張間をほぼ直線で結ぶ近鉄大阪線と比べるとかなり遠回りのコースとなります。
雲出川の支流・伊勢地川を遡ると、そこは国道368号線が通っているところですが、谷中分水界のような地形があり、長大なトンネルを掘ることなく名張川水系に達することができるため、このルートが計画されたものと思われます。
11時02分 伊勢興津駅に到着。
日曜日の午前、伊勢奥津駅まで乗ってきた十数人のほとんどが、名松線に乗ることを目的にやってきた人達でした。
ホームから松阪起点43.5kmを示す距離標が見えます。
スロープを降りて出口へと向かいます。
駅舎も新しくなっており、地元の熱意が感じられます。
駅に隣接する観光案内交流施設も古の趣のある新しい建物です。
この新しい「名所案内」も面白い、と思いました。
こちらは古い設備です。植物が繁茂して自然回帰しているこの物体、最初は何かわかりませんでした。
これは蒸気機関車時代の給水塔です。
真横から眺めると、給水タンクに登るタラップもあり、ビルの高架水槽のような構造になっていることが理解できました。
四方八方から山が迫ってくる、そんな雰囲気のある伊勢奥津駅です。
折り返し伊勢奥津11時30分発の名松線松阪行に乗り、濃やかな車窓風景を眺めて行きたいと思います。