【装い新たに】緑のE257系“波動用”5500番台が営業運転開始・展示会も

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2021年5月に相次いで姿を現して注目された「緑のE257」こと波動用の5000番台と5500番台。

9両編成の5000番台は8月に「さざなみ号」等で営業運転を開始しましたが、5両編成の5500番台についても10月2日の臨時快速「武蔵野・青梅奥多摩号」・9日の「ホリデー快速鎌倉号」などで営業運転を開始しています。

試運転が連日行われた5500番台

E257系5500番台は、房総特急で使用されていた500番台のうち、団体臨時列車・季節の臨時列車・増発列車などで使用されている「波動輸送」用途に特化した編成として機器更新・塗色変更などの改造を施して登場した車両です。

房総特急の減少・ライナー列車の運転終了で余剰となった9編成のうち、東海道線特急に転用された編成を除く5編成程度が改造される見通しです。

5月にNB-09編成を改造したOM-52編成・7月にNB-08編成を改造したOM-51編成が登場しているほか、2018年より「ホリデー快速富士山」とその後継となる特急「富士回遊」、「ホリデー快速鎌倉」などで使用されているNB-10〜12編成も改造対象と見られており、NB-10編成は秋田総合車両センターにてOM-53編成として改造を終えて記事公開日に出場しているほか、NB-11編成も同所に入場済です。

中央線特急「あずさ」「かいじ」などで使用されていた0番台9両16編成のうち、東海道線特急「踊り子」「湘南」への転用から除外された3編成についても、5月にM-105編成がOM-91編成として・7月にM-107編成がOM-92編成として改造を受けており、残されたM-111編成についても長野総合車両センターに入場中です。

従来の武田菱・菜の花カラーから緑基調のデザインに変更されており、それぞれの線区に合わせたデザインから様々な線区で走行することに相応しい装いとなりました。

「武蔵野・青梅奥多摩号」でデビュー&同日に展示も

E257系5500番台は改造後も大宮総合車両センター東大宮センターで活躍の時を待つ期間が長く設けられていました。試運転の動きが本格化したのも9月に入ってからで、特に「ホリデー快速鎌倉」の指定席券売機の内容は9月から大型荷物棚設置の5500番台仕様とされたものの、同月の運転分は引き続き500番台が使用されていました。

先行して用意された・波動輸送が急減=入場時期までの余裕が増えることが想像できたことで計画作成時点で流動的とされたことなどが背景考えられますが、2021年度上半期は定期特急を交えた複雑な動きが続いており、全貌は明らかではありません。

結果的に5500番台の営業運転初列車は10月2日の臨時快速「武蔵野・青梅奥多摩号」となり、同日には両国駅のイベントにて展示され、改造が済んだOM-51,52の両編成が同日に稼働する格好でのスタートとなりました。

翌週となる9日からは「ホリデー快速鎌倉」での運用も開始しているほか、両区分ともに修学旅行の臨時列車(集約臨)での運用も始まりました。

「ホリデー快速鎌倉」も吉川美南延長とともに置き換え

前面愛称表示が用意された「ホリデー快速鎌倉」

E257系5000番台・5500番台の前面愛称表示・側面行先表示器については、東海道線特急用に転用された2000番台・2500番台と表示内容(ROM)が統一されています。

2019年末〜2020年3月改正のデビューに向けたROMでは特急「富士回遊」が、2021年3月改正の特急「湘南」表示追加に合わせた変更では「ホリデー快速鎌倉」の表示がそれぞれ新規で用意されており、どのような表示となるのかがファンの間で注目されていました。

意外な表示となったのは英語表示で、“HOLIDAY KAISOKU KAMAKURA”と、一般的な“Rapid”表記をあえて避けた内容です。「ホリデー快速」自体を列車の固有名詞と解釈しているものと考えられますが、中央線のE233系0番台で運行される「ホリデー快速おくたま・あきがわ」とは異なる内容です。

“KAISOKU”の表記が面白い英語表示

このほか、新たに収録されている「修学旅行」表示では、英語表示“School EXCURSION”も用意されています。特急「富士回遊」が“Fuji excursion”と訳されていることと同様ですが、回遊を“excursion”と訳した方が意訳の色合いが強いため、修学旅行の英訳としての用途の方が自然な印象です。

E257系機器更新車の表示内容については、過去には仮称段階だった特急「おだわら」「ひらつか」も収録されるなど、行先対照表に記されていない表示も確認されているなど、データの追加・削除は柔軟に行われている印象です。

運行頻度の多い「ホリデー快速鎌倉」・特急「富士回遊」が収録されたのも肯ける反面、発着駅が南越谷から吉川美南へ延長されたことは反映されていないため復路の側面表示は使用できないなど、あくまで何かのついでに行われている印象も拭えません。

このほか、2000番台・5000番台では線区選択が東海道・中央のみとされているなど、9両編成と5両編成で表示内容が制限されている状態となっている・乗務員さんの裁量によっても変化するなど、一癖ある印象です。

現代では少なくなった前面愛称付きの車両ゆえに詳細仕様が気になるところですが、この辺りの細部の設定内容は今後の修正で変化することも考えられるため、引き続き動向を見守りたいところです。

今後も少しだけ残る500番台の活躍

記事公開日時点で示されている秋の臨時列車のうち、今回の「ホリデー快速鎌倉」のほか、2021年11月に登場する臨時特急「あたみ」(青梅〜熱海間・かつてのホリデー快速あたみを継承)については商業誌により5500番台の運用であることが示されています。

一方で、先述のように前面愛称表示・側面行先表示が用意された特急「富士回遊」ですが、秋の臨時列車で唯一設定されたマラソン臨「富士回遊95号・96号」はこれまで通り500番台の運用とされています。

本格的な運用入りはインバウンド需要が回復して、従来の週末運行が日常に戻るまで待つこととなりそうです。

乗り入れ先各社でも試運転を実施?

波動輸送が再開しつつあり、今後の活躍に期待が持てる両区分

現在はJR東日本管内での活躍に留まるE257系5000番台・5500番台ですが、今後の動きとして考えられるものとして、JR東日本と日常的に直通運転を実施している鉄道会社での乗務員訓練・試運転が挙げられます。

既に営業列車での乗り入れが発表済の富士急行や、これまで185系を使用した団体臨時列車の乗り入れ実績が時折実施されているJR東海(5000番台)・伊豆急行(5500番台)などの試運転・乗務員訓練が185系の完全な引退までに実施されることが想像できます。

特に直近の富士急行への直通が500番台で設定されており、これらのスケジュールなどの関連もありそうです。

“EAST JAPAN RAILWAY COMPANY”の主張が強めのデザインの意義が果たされるのは他社線走行時とも言えますので、今後の幅広い活躍に期待したいところです。

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