所有事業者:長崎県交通局 (長崎)

仕様・用途:観光貸切仕様

登録番号:長崎200 か 1177

局番:S751号車

配置:長崎営業所

初年度登録:2017年

シャシー製造:いすゞ自動車

搭載機関:日野A09C〈AT-Ⅶ〉型

車体架装:ジェイ・バス小松

車両型式:QTG-RU1ASCJ

車名:いすゞガーラHD

撮影日:2021年8月2日 (水曜日)

撮影場所:江東区若洲

 

地元では 「県営バス」 と呼ばれて親しまれている長崎県交通局。市営バスや町営バスは数多ありますが、都道府県自ら公共交通機関を運営しているのは日本広しといえど、長崎県と東京都だけで、 “県” だけで括ると、この長崎県交通局だけが唯一の県営になります。

 

全国で初めて国立公園が制定された雲仙への旅客輸送を目的として、県独自でバス事業に参画したのが1934年のこと。雲仙だけでなく、長崎には多くの観光地がありますが、そこへの観光誘致及び輸送が第一の使命でした。そのため、長崎の中心地だけでなく、前述の雲仙や諫早、雲仙にほど近い小浜、大村、島原にも営業の縄張りを拡げていきました。1945年の原爆投下で大きな被害を受けましたが、その後も県営事業に変化は無く、1951年には特急バスの運行を開始しました。

1989年には大阪までの 「ロマン長崎」 号を皮切りに、夜行高速路線バス事業にも進出しますが、2013年までに撤退しており、現在は本州へ向けての高速路線バスは運行しておらず、九州島内の都市間輸送に特化しています。

 

1971年以降、県営バスは三菱と日野の二社で独占されておりましたが、組織率的にはふそうが与党かなと思っていました。そして現在も継続されている長距離路線・高速路線・貸切仕様のボディカラーは、初代エアロバス (MS7系) のカタログモデルのデザインを踏襲しており、ストライプの色だけを変えています (カタログモデルが緑系なのに対し、県営バスは青系) 。

 

私的には、空港リムジンで使われていたエアロバス・スタンダードルーフ (MS713)が忘れられません。

自家用や廉価版の貸切仕様車で見られるスタンダールーフは短尺のN尺が多勢を占めてのに対して、県営バスの空港リムジン仕様車長尺のS尺が採用されていました。

ふそうは現在、標準床仕様車の製造は行っていないので、空港輸送向けの最新車でも高床のエアロエースが採用されているようです。また、ふそうだけでなく、日野セレガの標準床仕様車も導入されているみたいですね。

 

九州のバス会社ということで、お約束の如く、車体を地元九州の西日本車体工業製を選ぶ事業者が多い中、県営バスは一部に西工車体製のバスも在籍していたようですが、どちらかというと、メーカー標準ボディを架装していた車が多かったように見受けられます。

21世紀になって、日産ディーゼルといすゞの採用が再開されています。

 

今回のオリ/パラ輸送関連で県営バスを見た時、衝撃は計り知れないものがありましたが、一方で、持ってきている車は全てジェイ・バス製。1~2台くらい、ふそうを持ってきて欲しかったなというのが正直な感想。ある意味で 「崩れた伝統」 なのかもしれませんね。

 

 

【参考文献・引用】

年鑑バスラマ2016→2017 (ぽると出版社 刊)

ウィキペディア (長崎県交通局)