四国各地の風光明美な車窓と食事が楽しめる観光列車が、JR四国の「ものがたり列車」。今回は、香川県の多度津から徳島県の祖谷地方まで走る「四国まんなか千年ものがたり」に乗ってきました。
*2020年7月の情報を基に作成しています
- デザインコンセプトは"日本のたたずまい"と"四季の移ろい"
- そらの郷へ向かう2時間30分のものがたり
- 専用ラウンジでウェルカムサービス
- 讃岐の素材にこだわった洋食プレート
- 秘境駅「坪尻駅」でスイッチバック体験
- 吉野川をさかのぼり小歩危、大歩危の峡谷へ
- 関連リンク
デザインコンセプトは"日本のたたずまい"と"四季の移ろい"
香川県多度津町にある「多度津駅」は、伊予と讃岐を結ぶ「予讃線」と土佐と讃岐を結ぶ「土讃線」が交わる地点で、国鉄時代から交通の要所として重要な駅です。
今回乗車する「四国まんなか千年ものがたり」には行き先によって名称があり、多度津発大歩危行きは「そらの郷紀行」、大歩危発多度津行きは「しあわせの郷紀行」と呼ばれています。
ホームから離れた側線には、すでに列車がスタンバイ。この後入換をしてホームに入線するようです。
元々は特急列車に使用されていた「キハ185」という車両を改造。
ボディカラーは車両によって異なり、四季折々の色合いをイメージしたカラーになっています。
ボディに大きく描かれたシンボルマーク。歴史を感じさせる立派な「大樹」がモチーフ。
10時頃。いよいよ列車がホームに入線してきました!
ホームにはマットが敷かれ、アテンダントさんがお客さまを出迎えます。ワクワク!
では車内へ。私の席は3号車、秋彩(あきみのり)の章と名付けられています。
おぉー!すごい!とってもおしゃれ!
古民家の雰囲気をモチーフにした車内は、まるで木に包まれたような落ち着いた空間。
暖かい光が、車内を包み込むように照らしています。
テーブルに置かれた照明。これは、囲炉裏の火を囲って団らんする空間をイメージしているのだそう。おしゃれ!
秋の季節をイメージした3号車の座席は、もみじの柄です。
テーブルにはすでに、ランチョンマットやカトラリーがセッティングされています。どんなお料理なのかな?ワクワク!
さて、発車まで時間があるので、少し車内を探検。
「夏清(なつすがし)の章」「冬清(ふゆすがし)の章」と名付けられた2号車。
線路方向に長さ7mのベンチソファとテーブルが並んだ、めずらしい座席配置。4人グループ×2と3人グループ×1が座れます。
窓際のカウンター席とは、また違った景観の見方が楽しめそう。
同じく2号車にはダイニングコーナーがあり、車内限定発売のおみやげが紹介されていました。どれにしようかな…
大歩危方の1号車は、若葉の芽吹きをイメージした「春萌(はるあかり)の章」。若葉色の鮮やかなソファが美しいですね!
そらの郷へ向かう2時間30分のものがたり
10時18分。「四国まんなか千年ものがたり そらの郷紀行」は定刻で多度津を発車。
駅前では地元の皆さんがたくさん手を振ってくれてます!
線路の向こうからは乗務員さんも!いってきます!
遠くに飯野山、通称「讃岐富士」を望みながら、列車は讃岐平野を走ります。
アテンダントさん手作りの観光マップを見ながらだと、より旅が楽しめそう!
しばらくすると車掌さんの改札が。記念の乗車証をいただきました。改札印のお顔がかわいい!
専用ラウンジでウェルカムサービス
こんぴらさんで有名な「琴平駅」に到着。
琴平駅では「四国まんなか千年ものがたり」のためだけの、特別な待合ラウンジへ案内されます。
シンボルマークにも描かれた立派な「大樹」が目を惹きます。
ラウンジではウェルカムサービスとして、冷たいコーンスープを頂きました。
再び列車へ。
駅の皆さんのお見送りを受けながら「四国まんなか千年ものがたり」は大歩危駅を目指します。
車窓にはきれいなひまわり畑。皆さんと手を振りバイバイ!
讃岐の素材にこだわった洋食プレート
その頃車内では、お待ちかねの食事の準備が進められます。
「そらの郷紀行」で頂けるのは、金刀比羅宮が運営する「神椿(かみつばき)」の調理長監修、讃岐地方のこだわりの食材を使った洋食プレートです。
ドリンクは、徳島県産の「すだちサイダー」をセレクト。千年ものがたりのロゴ入りグラスで頂きます。
目の前にお料理が運ばれてきました!
まずは冷製料理が4品。どれも美味しそう!
[瀬戸内魚介のマリネ]
グリーンソース、バジルの香り サラダ仕立て
まるで宝石箱のようにキラキラ光る魚介たち。マリネの酸味とバジルの爽やかな香りでさっぱり。
[讃岐オリーブ牛のローストビーフ]
グレービーソースのジュレ ピクルス添え
美しい刺しの入った讃岐オリーブ牛のローストビーフは、まるで口の中でとろけるよう。肉汁から作られたグレービーソースのジュレが、旨みを一層引き立てます。
[瀬戸内鮮魚のムース]
[梅風味のガスパチョジュレ]
ムース状に固められた鮮魚は、しっとりと優しい食感。魚介の風味に梅味のジュレがマッチしています。
[夏野菜のプレッセ]
[オリーブ牛と岩豆腐のコンソメ煮]
[オリーブ地鶏と砂肝のコンフィ アンチョビのソース]
プレッセはフランス語で「圧搾する」という意味をもった言葉。夏野菜をゼラチンで固めて"テリーヌ"のような感じでした。地鶏と砂肝は、オイルに浸してゆっくり加熱する「コンフィ」の技法を用いることで、ジューシーな食感が感じられます。
味はもちろん、見た目も美しい料理の数々!
最後に運ばれてきたのは温製料理。
[讃岐オリーブ豚と白いんげん豆のチリソース煮込み]
[パプリカのピラフ(香川県産米使用)]
辛さではなく、スパイスの風味がしっかり効いた本格的なチリソース煮込み。
最後はコーヒーを。お腹いっぱい大満足!
予約制の料理以外にも、季節のケーキやプリンといったスイーツ、またフィッシュカツバーガーなどの軽食が予約なしでオーダーできます。四国まんなか千年ものがたりに乗ったら、ぜひお食事も楽しんではいかがでしょうか!
秘境駅「坪尻駅」でスイッチバック体験
長いトンネルを抜け、列車は香川県から徳島県へと入ります。
まもなく到着するのはスイッチバックの駅、そして秘境駅としても知られる「坪尻駅」。
列車は坪尻駅を横目に引上線へ。最後尾に乗っている私から見える光景はこんな感じ。
運転士さんが移動。進行方向が変わり、今度は坪尻駅へと入線します。
引上線の眼下には立派な滝が。坪尻駅に停まる普通列車か「四国まんなか千年ものがたり」からしか見られない、貴重な光景です。
先ほど右側の本線を下ってきた列車は、今度は左側へ。
牛山隆信氏が運営するサイト「秘境駅へ行こう」によると、2020年度版の秘境駅ランキング第5位。
辺りに人家はなし。車が走る道までは山道を登って徒歩20分。平均乗降客数わずか1名。そんな秘境駅が多くの人で賑わう、不思議な時間が過ごせます。
マムシ注意の看板が、山々に囲まれた坪尻駅の立地を物語っていました。
坪尻駅に停まる「四国まんなか千年ものがたり」の隣を、特急列車が高速で通過。
やがて列車はゆっくりと発車。坪尻駅には再び静寂の時間が訪れます。
右側が水平の引上線。いかに線路が急勾配でスイッチバックが必要なのかがよくわかりますね。
吉野川をさかのぼり小歩危、大歩危の峡谷へ
眼下には阿波池田の街。吉野川に沿って迂回しながら勾配を下って行きます。
"かかし"さん達のお出迎えが見えてきたら、列車はまもなく「阿波池田駅」に到着です。
阿波池田駅に到着した「四国まんなか千年ものがたり」。
ホームでは、駅長さんの帽子を被って記念撮影。
「四国まんなか千年ものがたり」は阿波池田を発車。終点大歩危までは、あと約30分。
まもなく車窓に見えてくるのは小歩危峡・大歩危峡。四国まんなか千年ものがたりのハイライト。
吉野川の激流が作り出した渓谷を眼下に列車は走ります。
四国まんなか千年ものがたりはまもなく「そらの郷」大歩危駅に到着。
大歩危駅では、住民のみなさんからの熱烈な歓迎!
軽くお祭り騒ぎ(笑)素敵な旅の締めくくりになりました!
やがてホームには、高知方面への特急列車が到着。引退が近い「南風アンパンマン号」でした。
JR四国の「ものがたり列車」第二弾として誕生した「四国まんなか千年ものがたり」。
2020年10月から走り出す徳島線の「藍よしのがわトロッコ」への乗り継ぎも可能で、これからも注目を集める観光列車です。
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