根室本線で東へ。引退近いキハ40鈍行列車の旅(池田→釧路)【北海道✴鉄道巡り⑤】 | 湘南軽便鉄道のブログ

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本ブログは鉄道・バス・船舶・航空機等について、記録も兼ねて記事掲載。

その他、5インチゲージ自家用乗用鉄道「湘南軽便鉄道」についても掲載。路線は湘南本線(ベランダ線・路程約0.01km)があったが現在廃止。新たな庭園鉄道敷設の構想中。

(前回記事の続き)


(釧路行き普通列車   @JR根室本線  厚内駅)




★過去記事↓↓↓









帯広発の普通列車で道東を目指す
JR北海道・根室本線(新得~帯広~釧路間)の普通列車は、2022年(令和4年)春のダイヤ改正で、54本の列車全てが一気に新型H100形電気式気動車に置き換えられ、同区間の国鉄型キハ40形気動車は全て引退することが発表された。


池田駅を発車したキハ40形普通列車(2両編成)は、JR根室本線を東へ。
池田町は、ブドウと十勝ワインのまち。
池田駅を発車すると、すぐ進行方向左側の丘の上に、池田町ブドウ・ブドウ酒研究所(通称・池田ワイン城)が見える。



酷寒形のキハ40形気動車は、デッキと客室間に仕切壁があり、冬期は雪や寒さを防ぐ。

車両間の貫通路

渡り板

夏のローカル鈍行列車は、北の大地を旅する人が殆ど。

冷房がなく窓が開け放たれ、開放的な車内

扇風機は、クールファン(送風器)に換装


乗務員室助手席側



デッキの乗降用扉と便所扉

広大な十勝平野の畑作地帯を行く。

緑の平原

北の大地を走るキハ40形。駅間距離が長い区間はフルスピードで駆け抜ける。

短い夏を謳歌する北の大地


昭栄(しょうえい)信号場を通り過ぎ、

十弗(とおふつ)駅




豊頃(とよころ)駅




新吉野(しんよしの)駅



浦幌川を渡る。



浦幌(うらほろ)駅

浦幌駅1番線の端に残る古いレンガ倉庫。1907年(明治40年)築造といわれる危険品庫で、かつては駅の照明やランプ灯火の燃料油の耐火保管倉庫として使用。

特急おおぞら号が1往復のみ停車するほか、帯広・浦幌間の区間列車も設定されている。



冷房の無い列車。空いている車内で、窓を開け自然の風を浴び、一歩一歩進む鈍行列車。
俊足で冷房が効いた特急列車とは違う醍醐味。



常豊(つねとよ)信号場

上り普通列車と行き違いのため運転停車

保線詰所




信号場で上りキハ40単行が走り過ぎる。




上厚内(かみあつない)信号場(元・上厚内駅)


牧草ロールが点在する北海道らしい風景



厚内(あつない)駅、午前11時58分到着
12時07分まで9分間停車

下り普通列車6本、上り普通列車7本(うち1本は始発)しか発着しない。

静かな無人駅で少々停車。鈍行列車は先を急がない。


前から、キハ40-1758(国鉄首都圏色)+キハ40-1766(国鉄一般気動車標準色)




2021年度(令和3年度)は、「釧路〜白糠 開通120周年」「花咲線全通100周年」「釧網本線全通90周年」「石勝線開通40周年」の4つの線区で「周年」を迎える記念の年。これを記念し、JR北海道釧路支社は、釧路運輸車両所所属のキハ40形気動車2両(キハ40-1766、キハ40-1759)をツートンカラーの「国鉄一般気動車標準色」に塗り替え。

夏空の北海道


広い駅構内だが一日の乗降客は10人に満たない。

根室本線 新得〜帯広〜釧路間、キハ40形最後の夏

小さめの一段上昇窓など、かつてのキハ22形気動車を彷彿させる。

駅舎側のホームへ繋がる跨線橋からは、駅全体と列車を見下ろせる。


釧路運輸車両所所属の「キハ40-1749」「キハ40-1758」の2両は、国鉄首都圏色(朱色5号)に以前塗り替えられ、今も活躍中。

無人駅でワンマン列車のため、一番前のドアしか開かない。本来はこの駅の下車客しか列車から降りられないのだが、運転士の計らいで、乗客たちは、発車時刻までホームに降りられる。

釧路からやってきた上り特急「おおぞら6号」札幌行きが通過

283系ディーゼル特急。2022年(令和4年)春のダイヤ改正で、特急おおぞら号から全車撤退予定。







厚内駅を過ぎると、海岸沿いを行く。

冷たい寒流、親潮(千島海流)が流れる道東の海沿いは真夏でもあまり気温が上がらず涼しい日が多い。真夏でも気温が20℃に届かないこともある。冷たい海流の影響で、夏は濃霧が発生する日も多い。

内陸部の帯広が30℃を超える猛暑でも、この辺りまでくると5℃くらい気温が下がる。

列車は、しばらく太平洋沿いを走る。


広大な北海道であるが、数多くの鉄道路線が廃止された現在、北海道内の鉄道で海が間近に見える路線は意外と少ない。


ジョイント音を響かせ、キハ40は釧路へ向かう。




海沿いから湿原へ。


原野の中に、ところどころ牧草地

牧草ロール


北海道の河川は、護岸工事をせず手つかずの自然のままの河川が多い。



直別(ちょくべつ)信号場(元・直別駅)



荒涼たる原野







尺別(しゃくべつ)信号場(元・尺別駅)を過ぎる。
かつては尺別駅には雄別炭鉱尺別線も発着していた。


亜寒帯気候の北海道らしい海辺の草原

海岸線には高い木々がなく、ひたすら草原が続く。


音別川を渡る。



音別(おんべつ)駅
2019年(平成31年)まではJR貨物の貨物取扱いもあったが、現在は事実上廃止(正式な廃止届は保留中)

音別・釧路間の区間列車も設定されている。かつては夜行急行「まりも」も停車していた。




穏やかな太平洋。開いた窓からは、波の音と潮の香り。


左へカーブし、海岸線から湿原へ。


湿原の中に汽水湖の馬主来沼(ぱしくるぬま)が見える。


湿原の中を行く。




湿原から灌木が生える原野へ。


古瀬(ふるせ)信号場(元・古瀬駅)を通り過ぎる。

シシャモが遡上する茶路川を渡る。



白糠(しらぬか)駅
国鉄時代のコンテナが置かれている。

特急おおぞら号停車駅(1往復は通過)だが、乗降客は少ない。

かつて、白糠駅と北進駅を結ぶ国鉄白糠線が3番線に発着していたが、1983年(昭和58年)10月23日に廃止された。



西庶路(にししょろ)駅

かつては明治鉱業庶路炭鉱専用鉄道が分岐していた。


庶路川を渡る。



庶路(しょろ)駅



釧路まで、海岸線沿いをラストスパート



東庶路(ひがししょろ)信号場 

  

マリモで有名な阿寒湖に源を発する阿寒川を渡る。



河川敷には馬が放牧




大楽毛(おたのしけ)駅
ここまで来ると釧路まであと少し。乗車客の姿も。

かつては道内有数の貨物駅で専用線もあった。



新大楽毛(しんおたのしけ)駅
付近は元々工場地帯であるが、近年は住宅も増えてきた。


海沿いには、冷凍倉庫や工場群が立ち並ぶ。

この辺りまでやって来ると、海産物の冷凍倉庫も多いためか、いつも独特な匂いが漂ってきて、釧路へやってきたことを実感。


JR貨物・釧路貨物駅。定期貨物列車が発着する日本最東端の貨物駅。


コンテナ貨物列車が停車中



新富士(しんふじ)駅
JR貨物・釧路貨物駅に隣接。JR東海・東海道新幹線の新富士駅と同名駅。


かつて新富士駅からは、鶴居村営軌道雪裡線 (1929〜1967年)、雄別鉄道鳥取側線(1952〜1968年)、雄別鉄道鶴野線(1968〜1970年)、釧路開発埠頭埠頭線(1946〜1984年)、釧路開発埠頭西港線(1977〜1999年)などいろいろな路線や専用線が分岐していた。
今では全て無くなり、「栄枯盛衰」の感がある。


新釧路川を渡る。

新釧路川は、釧路湿原を蛇行しながら流れる釧路川の 水はけを良くし洪水防止などのため人工的に造られたバイパス河川。
一方、釧路湿原の水はけが良くなることで、釧路湿原の乾燥化(縮小・消滅化)を進めてしまう懸念もされている。



間もなく釧路

前方に釧路駅が見えてくる。

かつては、釧路駅から雄別鉄道雄別本線(1923〜1970年)が分岐していた。

隣り3番線には観光列車が停車中

13時37分発、「くしろ湿原ノロッコ4号」塘路行き





13時16分、終点・釧路(くしろ)駅 4番線に到着