前回、マイクロエース製の智頭急行「スーパーはくと」の中間車HOT7030形1両を増備しましたが、この車両をベースに改造して、私の手持ちセットには含まれていない半室グリーン車を作ることにしました。

 

 

私の手持ちセットは、2006年にマイクロエースから発売された初回製品の同編成「1次車登場時6両セット」(品番A2050)で、発売時に予約購入したものです。

 

上から、京都・新大阪方 ⑤号車7002,④号車7042M,③号車7033,増②号車7022,②号車7034,①号車7012 鳥取・倉吉方(車番のHOT表記は省略して記載)の6両です。この製品には、増②号車として貫通型先頭車HOT7020形が含まれる一方で、半室グリーン車HOT7050形は入っていません。1次車として製造(1994年)されたのは普通車のみで、半室グリーン車HOT7050形は3年後(1997年)の3次車で追加された車両なので、1次車登場時セットには無くて当然です。

 

現在の実車運用は、半室グリーン車を④号車に連結した5両編成を基本とし、繁忙期には②号車と③号車の間に増②号車を増結した6両編成で運行されています。

 

模型でも半室グリーン車を連結した姿で運転したくなり、KATO製品が発売された際に半室グリーン車のASSYパーツを購入して、半室グリーン車を導入しようと考えていました。ところが、窓ガラスは新技術によるハーフミラー仕様となることが公表され、マイクロ製の透明プラ窓製品と混結するには見た目のバランスがとれないこと、更にカーブでの車体振り子機構も採り入れられており、その機能がないマイクロエース製品と混結すると走行時に不具合をきたすことも想定されますので、KATO製品の半室グリーン車との混結は、断念することにしました。

 

一方、マイクロ製品の半室グリーン車は、5次車セット(品番A2051,A2053,A2055)として製品化されているものの、単品では販売されていません。半室グリーン車だけのために、編成セットを新たに購入するほどの財源もなく、またオークション等でも半室グリーン車単品での出品は殆どなく、入手は困難を極めます。ただ、オークションサイトにはセットバラシの中間普通車は単品で何点か出品されており、価格的にも入手可能な範囲でしたので、これを改造して半室グリーン車を作ってみることにしました。

 

オークションで入手した中間普通車HOT7033です。中古品ながら傷も殆どない美品を比較的安価に入手することができました。

 

HOT7050形の半室グリーン車の構成は、乗降扉の無い連結面側に大窓3個分の普通席6列があり、室内仕切り壁を隔てて小窓6個分のグリーン席6列があります。更に仕切り壁を隔ててトイレ・洗面所があり、乗降扉は普通車と異なり車端に設けられています。

 

改造方法を検討するため、車両を分解しました。

ボディは、連続窓を表現するために窓部分を大きく切り欠いた構造で、窓間の柱はボディ側ではなく、窓ガラス側に表現されていました。

 

6両セットを15年も保有していながら全く気付くこともなく、実に見事な仕上がり具合です。

 

窓ガラスは、左側が表面側、右側が裏面側です。表面側では、全周に亘る窓枠が少し浮き出た状態で表現され、表面を光沢のある黒色で塗装してあります。窓間の柱は、表面側では柱の両側部分を細い溝状に彫ってあるだけで、裏面側が内側へ凸状に突出した状態になっており、その突出箇所を裏面から光沢のある黒色で塗装して表現してあります。

 

ボディを切り継いで半室グリーン化と乗降扉の移設を想定していたのですが、塗装の難易度も高く、現状の構成を出来るだけ活かすことに方針を変更して、窓ガラス部分にグリーン車の窓柱を新たに表現するに留めることにします。この結果、窓ガラスに手を加えるだけで、乗降扉の移設や塗り替えの必要もないフリーの半室グリーン車HOT7050形タイプにすることにしました。

 

ネット上で見つけた実車HOT7050形を側面から撮影された画像を採寸して、実車のイメージを損なわないよう配慮して、グリーン車室部分の窓割り寸法を決定しました。

 

最初に、グリーン車室になる箇所で、現行の窓柱が不要な箇所の裏面塗装を除去しました。具体的には、左から4番目~7番目までの4ヶ所を、プラ塗料用溶剤(ガイアカラーの薄め液)を含ませた綿棒で擦り取りました。塗装を除去した箇所には、裏面側では窓柱の突出部分が、表面側では窓柱の両側に彫り込まれた溝がありますが、窓柱と溝を撤去することは私の腕では至難の業ですので、取り敢えず手を付けないことにしました。

 

この窓ガラスに、グリーン席の柱を裏面側から塗装で表現することにします。

図面に従って、裏面側でグリーン席の窓になる部分にマスキングテープ貼って、光沢のある黒色塗料をエアブラシで吹き付けましたが、塗料を薄め過ぎたのが原因で一部が透けてムラになったり、はみ出したりと散々な状態です。

 

それよりも、マスキングテープの貼り方が不味くて、両側面の窓ガラスで窓柱の位置が揃わず大失敗。塗装を一からやり直しするしかありません。

 

窓ガラスは一旦置いて、座席パーツを加工します。

具体的な座席配置は、智頭急行のホームページに記載されており、これを参考にしました。

出典:A4チラシ_スーパーはくと車内設備コンセントなし表示 (chizukyu.co.jp)

 

座席パーツは、普通車シートとして左側の6列分を残し、右側の9列分を撤去してグリーン車の3列シートに作り替えます。普通車室とグリーン車室の境界に仕切り壁を設けることにします。

 

座席パーツは、床板に装着したままの状態で、撤去可能な範囲の座席12箇所を糸鋸で床面に沿って切り落としました。

 

残る6ヶ所は、床板やボディとの固定用爪が直ぐ傍にあるため、この状態では処置できませんので、床板から取り外して処置することにしました。

 

座席パーツは、台車の中心ネジを外してから中央部にある床板との勘合爪を解除して、床板から取り外しました。最初からこの状態にすると、座席を切断する際に不必要な力が加わって、強度的に弱い座席パーツ自体を破損する恐れがあるため、敢えてこのような手順を踏んでいます。

 

全ての不要座席の撤去が終わりました。右側の座席は、車体との固定爪と一体に形成されており、固定爪を破損しないように座席部分を小出しに切り刻んで撤去しています。

 

座席を撤去した跡は、痕跡が膨らみとなって残ったままの状態ですので除去する予定ですが、中央付近の下部側で床面スレスレまで綺麗に切断した箇所では、床面を通して裏側に透けた状態になっています。

 

裏返してみると座席部分には元々凹みがあって、左側縦6列は普通席が残っているので強度的に問題ありません。一方、座席を撤去した縦9列の箇所では、凹みの底が薄皮状態となって透けて見えるような状態になっていることから、強度的に不安があります。

 

座席を撤去した箇所の裏面の凹み部分(深さは約0.8mm)を補強するため、0.5mm厚のプラ板を2mm×3mmに切った小片を埋め込んで瞬間接着剤で固定しておきました。

 

一晩置いて補強が完全に固着してから、床面側の座席撤去跡の膨らみを、平刃のデザインナイフで削ぎ落して、グリーン席用座席の設置に備えました。

 

グリーン車用の座席は、手持ちパーツの中から、KATO製の183系/189系のアコモリニューアルされた「あずさニューカラーのサロ183-1000/サロ189」用の3列シートから切り出すことにしました。

 

窓ガラスパーツでグリーン席部分の窓柱の塗装をやり直してから、窓柱に合わせてグリーン車用の座席を配置することにします。(続く)

 

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