多くの利用者が行き交い、当たり前のように通過していくようになった鉄道の自動改札機。
日本国内では、1960年代から自動改札機の試験的な導入が始まり、1990年代には各事業者で導入が本格化しました。

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小田急も1990年代に導入を進め、現在は全ての駅が自動改札となっていますが、いつ頃から導入が始まったのでしょうか。

3駅の導入からスタートした小田急の自動改札機

自動改札機が小田急で初めて導入されたのは、1991年1月16日のことでした。
最初に設置された駅は、新宿、百合ヶ丘、愛甲石田の3駅で、ターミナル駅から急行が停車しない駅まで幅広く設置することで、比較を行う意図があったのかもしれません。
新宿については西口の地下にのみ設置されたため、全ての改札口が自動改札になったわけではありません。

各駅に設置された台数は、新宿が12台、百合ヶ丘が6台、愛甲石田が8台で、同時にのりこし精算機も設置されました。
当時の自動改札機は、各通路の上に通れるかどうかを表示する案内があったほか、自動改札機自体も現在とはだいぶ形状が異なっていました。

設置が始まった当初は、他社線も含めてまだ多くの駅が有人の改札で、切符自体が自動改札に対応したものではないケースもありました。
裏が白い切符は自動改札を通ることができないということが、どの改札口でも大きく案内されていました。

このようにして導入された小田急の自動改札機ですが、1970年にも導入事例がありました。
玉川学園前の駅舎を改築した際に導入されたもので、試験としての設置でした。
故障が多かったこともあり、数年後には撤去されています。

全駅への設置完了とその後の発展

3駅から始まった自動改札機の設置でしたが、その後他の駅でも急ピッチで設置が進められました。
あっという間に有人の改札は姿を消し、1997年3月1日に全駅への設置が終わりました。
僅か6年程度で設置が完了したことになります。

全駅に自動改札機が設置されて以降は、臨時改札や連絡改札にも設置が進められました。
1999年4月1日にはフェアスルーシステムが導入され、入場や出場を記録することにより、不正乗車を防止して公平に鉄道を利用させる取り組みもスタートしています。

そして、小田急の自動改札に大きな変化があったのは、2000年10月14日にパスネットが導入されたことです。
パスネットは関東の私鉄で導入されたストアードフェアシステムの総称で、自動改札機に磁気カードを直接通し、切符を購入せずに運賃の支払いができるものでした。
電車への乗り方が大きく変わるきっかけとなっており、これ以降切符を購入する利用者は減少し続けることとなります。

2007年3月18日にはPASMOが導入され、磁気カードからICカードへと置き換えが進められました。
一部の駅においては、2014年10月1日から遅延証明書の発行が可能となる等、現在も自動改札機の発展は続いています。

おわりに

過去に百合ヶ丘駅の近くに住んでいたことがあり、自動改札機が設置されていく過程も見ていました。
導入後は、まだ珍しかったこともあって切符を自動改札機に通すという行為が楽しく、毎回喜んでいたことを覚えています。