急に静かな旅に出たくなった。

誰にも会わなくていい旅に。

色々思うところがあり、リュックひとつで最寄駅から鹿児島本線快速に

乗車していた。

 

小倉で出汁の香りに誘われて、わずかな乗り換え時間の間に1・2番ホームの

「かしわうどん」を頂戴する。これを頂戴できる駅は九州の、それも北部九州だけの

特権だ。

小倉のそれは、とにかく「かしわ」肉の盛りが良く、お得感・ボリューム感がある。

    

関門海峡を、九州最古参電車の415系で渡る。今も昔も本州と九州を結ぶ貴重な

スイッチャー。交直切り替えの消灯の儀式もそこそこに、猛烈な速度で関門トンネル

を4分で渡りきる。

    

さて、今日の目当ては下関10時35分発828D、長門市行。キハ47の2両編成。

山陽本線と異なり、ゆっくりと暮れ行く夏の日本海をただ静かに眺める為だけに

この列車を選ぶ。しかも折り返し列車に乗れば14時15分に下関へ戻って来れる

というお徳用。青春18きっぷのなせる業だ。

    

2000番台はクロスシートが少ないので、早めに並んでおく必要がある。

    

以前はキハ40たった1両で走っていたが、いまは2両になっている。ボックス

シートに腰を下ろせば旅の始まり。

 

飾り気のない、昭和然としたボックスシート。こんなんでいいんですよ。レトロ

を押し付ける必要はない。これだけで十分癒しのレトロです。

    

休日の列車旅というと、昼間から酒を飲めるという特権がある。素面も良いが、

気分にブーストはかけたい。

    

日本海の絶景をつまみに、お酒が進む。力強いエンジン音を奏で、ひたすら

国鉄形気動車は行く。

    

夏の日本海は穏やかだ。そこへ行くと、冬などは比較的快晴曇天を繰り返し

ながら、高い波が岩場で打ち砕かれる車窓となる。

    

山陰本線というと、水田の風景も味わおう。森や水田の緑も目を癒してくれるのだ。

    

また、駅弁でも何でもない、長門市駅外れの商店で手に入れた、手作りのちらし

寿司。こういう混じり気の無い昼食も旅を彩る。

 

さて、ひと通り山陰本線を楽しんだ後は、瀬戸内海も楽しみたくなって来た。

下関から山陽本線へリスタートし、厚狭では新幹線代行の特例を受けて、新山口

へ。ここから20分で富海へとたどり着く。

ここは駅前に海岸があり、更に漁港もある、入江の小さな町。

    

夏の終わり、しかしまだまだ海を楽しむ者も多い。

    

漁船が凱旋して来た。釣果はきっと良いだろう。

    

黄色一色になってしまったが、山陽本線でいましばらく活躍を続けるだろう

115系を撮影。これもまた貴重な国鉄形電車。

    

夕日に輝く姿をもうワンショット。

夕暮れも近くなったので、ホテルを取り宿に向かう。そこにはマッサージチェアが

存在感を示している部屋が待っていた。

心に加えて、体もケアしておきたいところ。