最後の2階建て新幹線「Max」引退
2021年(令和3年)10月、JR東日本・上越新幹線で最後の活躍をしてきたE4系オール二階建て新幹線電車「Max」(マックス、Multi Amenity Express)が引退。
定期運行ラストランは、同年10月1日(金)。
同年10月9日(土)・10日(日)には、団体専用列車として新潟⇔盛岡間、16日(土)・17(日)は団体専用列車として新潟⇔東京間で最後の運行。
これをもって、オール2階建て新幹線E4系「Max」は、24年間の運行を終える。
また、E4系「Max」引退により、各地を走る新幹線から2階建て車両は全て姿を消し、2階建て新幹線の歴史が終わる。
東京駅
新幹線21番線ホーム
オール2階建て新幹線E4系Max入線
上越新幹線・新潟発の「Maxとき316号」、高崎発の「Maxたにがわ316号」(高崎〜東京間併結)が、定刻12時28分着より少し遅れて、東京駅に到着
JR東日本のオール2階建て新幹線E4系「Max(Multi Amenity Express)」は、新幹線通勤等の首都圏近郊の利用客増加に伴う混雑緩和のため、初代オール2階建て新幹線E1系に次ぐ、2代目オール2階建て新幹線として、1997年(平成9年)12月に東北新幹線でデビュー。
最高速度は時速240km/h。8両固定編成で2本連結可能で、最長16両編成時の定員は1634名で高速車両では世界最大。
デビュー以来、東北新幹線の「Maxやまびこ」「Maxなすの」、上越新幹線の「Maxとき」「Maxたにがわ」「Maxあさひ」、北陸新幹線(長野新幹線)の「Maxあさま」で運行されてきたが、
現在は、日本で唯一の2階建て新幹線として、上越新幹線の特急「Maxとき」「Maxたにがわ」のみに残る。
当初、2階建て新幹線E4系「Max」は、2020年度(令和2年度)をもって、E7系車両に置き換えられ引退する予定だった。しかし、2019年(令和元年)10月の台風19号で長野県の千曲川が氾濫し、北陸新幹線長野新幹線車両センターに留置中のE7系・W7系車両が水没し廃車になり車両不足になったため、E4系「Max」は引退が先延ばしになり、2021年(令和3年)10月をもって引退することになった。
2階建て新幹線は、E4系「Max」以前にも、東海道・山陽新幹線用の100系(編成のうち一部車両)、東北新幹線用の200系(編成のうち一部車両)、東北・上越新幹線用のE1系「Max」(編成の全車両)があったが、E4系が日本で最後の2階建て新幹線になった。
巨体のE4系「Max」
東京駅到着
先頭車両には、引退が近いことを表すラストランロゴ
16両編成の「Max」。
折り返し、12時40分発の「Maxとき321号」新潟行き(16〜9号車)、「Maxたにがわ321号」越後湯沢行き(8〜1号車、越後湯沢で切離し)となる。
下り新潟方面の先頭車は16号車、最後尾は1号車。
下り列車の先頭車となる「Maxとき321号」の16号車
2階部分(階上室)はグリーン車指定席、1階部分(階下室)は普通車指定席
編成の前側は「Maxとき321号」新潟行き
以前の車体塗装は、中央のラインが黄色だったが、2014年(平成26年)の新潟デスティネーションキャンペーンに合わせ、黄色から朱鷺(とき)色に変更。
朱鷺(とき)は、国の特別天然記念物で国際保護鳥。野生の日本産トキは新潟県佐渡島が最後の生息地だったが2003年(平成15年)に絶滅。現在は中国産の朱鷺の繁殖・放鳥を行っている。
一部車両には、朱鷺のイラストも施されている。引退が近づき、イラストの上にラストランラッピングも施されている。
15号車も、2階部分はグリーン車指定席、1階部分は普通車指定席
ホームが少ない割に各方面へ向かう新幹線が発着する東京駅では、僅かな折り返し時間で、係員がすばやく車内準備と車内清掃を行う。折り返し時間が短いため、乗車開始は発車数分前となる。
一部の扉は開いているが「乗車準備中」の札が掛けられており乗車はできない。
一部の車両は車端部が機械室になっている。
オール2階建て車両のため、本来床下に搭載する機器の一部や変圧器を車内に搭載した機械室
E4系車体の車両形式番号表記
「Maxとき」(16〜9号車)と、「Maxたにがわ」(8〜1号車)の連結部。途中の越後湯沢駅で切り離される。
8両編成2本を連結。16両編成で最大1634名の定員。
航空機スタイルのキャノピー型運転室
ここより編成の後ろ側は「Maxたにがわ321号」越後湯沢行き
2階建て新幹線E4系「Max」の8両+8両の16両編成は、長さが402.1mにも及ぶ。これは、東北・秋田新幹線の「はやぶさ」「こまち」併結の17両編成(400.95m)より長い。
E4系の車体高は4485mmにもなる。ちなみに、東海道・山陽新幹線N700系は3600m。
運転室後ろ側のドアだけ、ドアの幅が他より狭い。
編成の後ろ側に併結された「Maxたにがわ321号」に乗車
運転直後だけドア幅が狭い。
運転室すぐ後ろのデッキにある運転室入口扉
らせん状の階段を上がるとグリーン車
16号車2階席(階上席)グリーン車
グリーン車は、2+2列シート
グリーン車最前席
客室入口扉は両開き
仕切壁のマガジンラックにはJR東日本の車内誌
8(16)号車後部の2階席(階上席)からデッキに下る階段だけ5段の直線階段になっている(他の2階席(階上席)とデッキを結ぶ階段は6段のらせん状)。
デッキにある多目的室
1~6(9~14)号車のデッキのドアは青色だが、7・8(15・16)号車のドアだけ緑色
デッキには、2階席(階上席)、1階席(階下席)へ向かう階段がある。中央には、車椅子の乗客専用の昇降装置(エレベーター)があり、操作は乗務員が行う。
デッキの洗面台
連結部の渡り板
15号車2階席(階上席)グリーン車
らせん状の階段を下り1階席(階下席)へ。
1階席(階下席)の普通車指定席
普通車指定席は、2+3列のリクライニングシート。1階席(階下席)は、床下に電線と空気用管があるため通路と腰掛床には段差がある。側窓は2階席(階上席)より高い位置に設置。
大量輸送を目的としたE4系「Max」のデッキは広々しており、ドアの幅も広い。
テレホンカード式の車内公衆電話の電話器等が残っているが、各新幹線の公衆電話は全て役目を終え使用停止になった。
「Max」車内にある長い通路
「Max」は2階建て車両のため、一部の機器は床下ではなく車内に搭載。これら機器や変圧器の機械室スペースには、長く続く通路がある。
連結部の渡り板
両側の階段の中央には業務用昇降機(エレベーター)がある。Max車内販売用の専用ワゴンを移動するために設置された(現在は車内販売廃止)。
普通車指定席又は自由席として使われる4~6(12~14)号車の2階席(階上席)は、2+3列シート。1席ごとに独立したリクライニングシートで、座席間に肘掛けもある。
なお、3列シート部分は、中央の席だけ少し背もたれが前に出ている。これは、座席を回転させる際、前列中央の席にぶつからないようにするため。
2階建て新幹線運行当初は、この売店スペースで、アテンダントが菓子、おつまみ、飲料等を販売していた。
その後は、ワゴンを使用した車内販売スタイルになったが、現在は車内販売も廃止。
2020年(令和2年)9月に売店スペースは、新潟の魅力を伝える装飾になり、現在は無人の充電サービス提供やカプセルトイの販売スペースになっている。
東京駅12時40分発、16両編成の上越新幹線・特急「Maxとき321号」新潟行き(前8両)、「Maxたにがわ321号」(後ろ8両)越後湯沢行き。
少し遅延し、12時45分頃、東京駅を発車。
※2021年(令和3年)夏
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(続く)