027
小田急開業60周年を記念して1987年に登場したのが10000形です。HiSEという愛称が与えられていますが、Hiはハイグレードやハイパフォーマンスなど上級というイメージを表したもので、特定の単語の頭文字ではないそうです。歴代ロマンスカーが纏っていたカラーリングから脱却して明るい雰囲気となりました。
028
2階の運転室を前方に移動させて一体的なデザインとなりました。客室部の傾斜角を緩やかにすると共に運転室部は傾斜を急にすることで、スピード感ある外観と運転席からの視界拡大を両立させています。ドア付近には列車愛称表示機が先頭部に代わって設置されています。
029
HiSE車の座席はリクライニングは出来ませんが、LSE車の座席をリクライニングした状態と同等の角度になっているとの事。座席モケットは車両によって色が異なっています。日本車両製2本は両端6両が赤系で中間5両が青系、川崎車両製2本はその逆となっています。
030
HiSE車最大の特徴はデッキや通路を含めてハイデッカー構造となっている点です。そのためドア付近には2段の段差が設けられています。展望席は運転室の関係で通常の床面となっているため、境界となる部分には画像のように段差が設けられています。しかしこのハイデッカー構造がHiSE車の寿命を縮める要因となってしまいました。交通バリアフリー法の制定以降に更新工事を行う際にはバリアフリー化が義務付けられたためです。対応が困難であったために更新は行わず、LSE車よりも早期に退役する事となりました。
031
展望席の座席モケットは各席で交互に異なっていて、一般席と同様に製造メーカーによって色の組み合わせが反転しています。HiSE車は登場当初は小田急のイメージリーダーとして各種媒体に登場しましたが、後にRSE車やEXE車の登場で一旦は姿を消します。しかし箱根方面への利用客数が大幅に落ち込んだことにより、再度イメージリーダーに返り咲いています。これはEXE車にロマンスカー名物の展望席が存在しなかった事も理由の一つと言われています。
032
そしてHiSE車はロマンスカーの特徴の一つである連接台車を詳細に観察できるよう展示されています。工場一般公開のような機会でないと見られない箇所が間近で見られるのは嬉しいですね。
033
展示車両の最後はJR線直通対応車両として製造された20000形です。RSE(ResortSuperExpress)の愛称が与えられて、カラーリングは独自のものが採用されています。あさぎり号のうち2往復に充当されていましたが、JR側が保有する371系が1本のみのため、検査時にはJR車の運用もRSE車が代走していました。またRSE車は2本配置のうち1本運用なので、土休日などには予備運用としてはこね号にも充当されていました。
034
車内はHiSE車と同様にデッキ・通路含めてハイデッカー構造で、ドア付近に段差が設けられています。ドア横の「禁煙車」表記が懐かしさを感じさせます。
035
車内は間接照明でカーペット敷きという豪華な仕様で、外観と同様に従来のロマンスカーとは大きく異なります。特に側窓の大きさは特筆すべきもので、抜群の開放感を誇ります。
036
座席はHiSE車より30mm広い1000mmピッチで配置されています。袖仕切りの側面や肘掛け上部にもモケットが張られています。またフットレストや背面テーブルに加えて窓側には折り畳みテーブルも設けられています。展示車両では外されていましたが、側窓には横引き式カーテンが設けられていたそうです。
037
前面窓が非常に大きい事に加えて、客室のハイデッカー構造に対して運転席が通常の高さなので、前面展望はかなり良好です。乗務員室仕切りの左上にはブルーリボン賞のプレートが誇らしげに設置されています。

鉄道車内学・駅スタンプ・列車愛称・旅行&取材記など、本家WEBサイトで各種更新中です。
知って・撮って・乗って・押して…etc 鉄道をもっと好きになるコンテンツ満載!
スマホでも見やすくリニューアルしました!