【ブルトレ牽引】JR東日本の機関車淘汰〜EF65 1104号機が長野へ配給輸送

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ブルートレインの牽引から引退後も、レールやバラストを運ぶ工事列車などで使用するために5機が残されていた田端運転所のEF65形。

2021年8月18日、このうちの1104号機が尾久から長野へ配給輸送されています。過去事例から廃車と見られます。

少しずつ配置数を減らしていた田端PF

国鉄分割民営化に前後して、上野口で運用されていた初期形を中心としたグループに東京機関区のブルトレ牽引用に投入された後期形が田端へ集約される動きによりJR東日本のEF65形1000番台は田端運転所へ集約されていますが、それ以降は現在まで少しずつ配置数は減少傾向となっています。

近年では、東海道ブルートレインのうち田端運転所のEF65形が担当していた、寝台特急出雲・瀬戸の電車化と減便、寝台急行銀河の運転終了などの動きとともに廃車が発生しています。

最後の定期仕業であった寝台急行銀河号が運転を終了したため4機が除籍された後は、工事列車(レール・バラスト輸送)や臨時列車の牽引のために1102〜1107・1115,1118号機の8機が維持されていました。

しかし、その後の客車列車の衰退や工事列車のうちバラスト(線路の砕石)輸送・散布列車のトラック転換などで2015年に配置数を減らし、最近まで1102〜1105号機・1115号機の5機体制となっていました。

JR東日本では将来的な機関車牽引列車の淘汰を掲げており、2020年度にはEF65形を含めた管内の機関車の主戦場となっていたレール輸送について、キヤE195系を導入することで気動車での輸送への転換を進めました。

同年度にも1103号機が検査が実施されたものの、ある程度の数の置き換えが想像できる(EF81形については一部廃車が組合資料に記述されている)状態でした。

特に、検査期限を前にした機関車では痛みが目立つ状態となっていました。それまで徹底的に外観の維持に強いこだわりがあった田端運転所の機関車らしからぬ姿は、今後の動向を暗喩するものとなっていました。

長野到着後は解体か

今回配給輸送が実施された車両は、JR東日本東京支社 田端運転所所属のEF65形1104号機です。東京機関区に新製配置されてブルートレイン牽引を行なっていた、由緒正しい機関車のうちの1つです。

今回の配給輸送は、高崎支社 高崎車両センター(高崎支所)を拠点に運用されるEF64形1053号機の牽引により、田端運転所と併設される尾久車両センターから尾久駅構内扱いの着発線へ。尾久からは東大宮操車場を経由し、武蔵野線・中央東線・篠ノ井線をして長野総合車両センターへ輸送されています。

過去事例では運用数減少とともに長野総合車両センターへ配給輸送されたのち解体されており、今回も同様の動きが推測できます。

特に今回は回送車票に「3955695.2km」との記述があり、同機の製造から除籍までの総走行距離と見られます。一般的な数字にすれば、概ね地球を99周した格好です。この表記からも、今回の配給輸送が廃車を目的としていることが伺えます。

JR東日本の電気機関車の場合、検査を行う秋田総合車両センターで解体された事例もありました。EF65形で2015年に置き換えられた機関車のうち1106号機が秋田・1107号機と1118号機は長野と解体場所が異なりました。

車齢を考えると大往生とはいえ、いよいよ部品取りの必要もなさそう……と考えると一抹の寂しさを覚えます。

全機置き換え?それとも?

今後の動向で注目される点として、田端のEF65形の残存機の今後が挙げられます。

単純に考えれば、首都圏近郊でしか運用できないEF65形に比べ、配給輸送などを担う双頭機を含めたEF64形1000番台・EF81形に集約した方が合理的なようにも思えます。

しかし、首都圏近郊でしか運用出来ないEF65形・東北エリアでしか運用出来ないED75形も満遍なく維持されており、直近となる2020年度にも全般検査を実施したばかりの機関車も存在します。形式統一よりは線区によって異なる各形式の特性を重視している傾向と推察できます。

今後の置き換え動向では、高崎車両センター所属機の代替が考えやすいところです。

同所にはEF64 37号機やEF65 501号機のような経年機が在籍しています。動態保存の色合いこそ強いものの、最終的に機関車淘汰を目指している以上は維持される可能性は限りなく低いと言わざるを得ません。EF60形19号機が廃車となったように、今後も1形式1機の機関車は置き換えの優先順位が高そうです。

一方でSL列車のための客車牽引運用はすぐの置き換えは出来ず、当面は電気機関車も維持する必要があります。これらの機関車の検査切れから全廃(E493系の投入またはSL保存自体の見直し)までのショートリリーフとして、検査を通過したばかりの1103号機などは活用されるかもしれません。

どのような動きとなるのかは事業用車の色合いが強く予想は難しいところですが、どのみち近い将来に淘汰されることは容易に想像がつくところです。最終的には現在試験中のGV-E197形・E493系の量産で残りの機関車運用は一掃されることとなりそうです。

既に見かける機会はブルートレインの廃止以降は激減しており、特に置き換え車両が噂され始めた近年はあまり見向きされなかった単機回送だけでも撮影者で賑わう状況です。今後の残された活躍の機会は、更に多くのファンに注目されることとなりそうです。

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