JR西日本DEC700-1形、新型車両が登場 !

JR西日本の新型車両、電気式気動車DEC700形が6月28日、川崎重工兵庫工場を出場した。同車両は下関総合車両所新山口支所に配置されることになっており、今後、試運転や各種性能確認試験、将来に向けた各種技術検証などが行われる。

JR西日本の新型車両、電気式気動車DEC700形が姿を現した

DEC700形はディーゼルエンジンと発電機で発電した電力により、モーターを駆動して走行する電気式気動車。電車・気動車のシステム統合によるメンテナンス技術の向上と効率化、機械部品の削減による運行時・メンテナンス時の安全性・安定性向上に加え、従来の工法よりユニット化を進め、運転室・機器室をユニットとして車両に組み込むことで、工期の短縮とコスト低減も期待される。

次世代車両への転換に向けた各種技術検証を行うことも導入目的のひとつに挙げられている。DEC700形はバッテリーの搭載によるハイブリッド方式への変更も可能な構造となっており、ハイブリッド方式に関する各種検証試験も実施予定だという。

 

「DEC700形」はディーゼルエンジンと発電機で発電した電力により、モーターを駆動して走行する電気式動車。バッテリーの搭載によるハイブリッド方式への変更も可能な構造となっている。

 

試験車両の位置づけで、川崎重工にて1両を製造し、車体の全長20m・幅2.8mで定員90名(うち座席25名)、現時点でDEC700形を量産する計画はなく、既存車両の置換え計画もないと報じられている。

外観においては、JR西日本がこれまで導入してきた227系や323系、225系2次車などに似た前面デザインとなり、転落防止ホロも取り付けられた。一方、片側2ドア(片開き)のストレート車体はJR東日本の電気式気動車GV-E400系、JR北海道の電気式気動車H100形「DECMO」と共通している。

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DEC700形では、車体前面の窓下と側面のラインに中国地域色である黄色を採用。窓部に五線譜と音符をイメージしたデザインを施し、「dec700」「Diesel Electric Car」の文字も見られる。車内にクロスシートがあることも確認できた。

DEC700-1形はいよいよ試運転開始!

2021年7月26日、下関総合車両所新山口支所所属DEC700形DEC700-1の試運転が、幡生~柳井間で数往復実施されました。

メロディが描かれた側面

車両の特長 ・ディーゼルエンジンと発電機で発電した電力により、モーターを駆動して走行する電 気式気動車です。 ・バッテリーの搭載によるハイブリッド方式への変更も可能な構造としており、今後、 ハイブリッド方式についての各種検証試験も実施予定です。 電気式気動車の方式 イメージ ・電車・気動車のシステム統合により、メンテナンス技術の効率化が期待できます。 ・機械部品の削減により、運行時やメンテナンス時の安全性および安定性の向上が期待 できます。 ・従来の工法よりもユニット化を進めており、運転台や機器室をユニットとして車両に 組み込む事で、工期の短縮やコスト低減が期待できます。 ・デザインは、中国地域色である黄色をベースカラーとしています。
衝撃吸収構造を採用した先頭部
車両は、切妻の箱形車体。前面は衝撃吸収構造を採用しており、万が一の事故発生時における乗務員や乗客の安全確保を図っています。

電気式気動車は、主変換装置(直流電車の制御装置=VVVFインバータなどに相当)やモーターといった構成が電車と共通。電車と気動車のシステムを部分的に共通化することで、メンテナンスの効率化や品質管理強化、技術向上を実現します。

キハ40系の床下。斜めに設置されている部品が、回転部品の推進軸です、エンジンのトルクコンバータと台車を繋ぐ回転シャフト

また、従来型気動車で必須だった回転部品プロペラシャフト(推進軸)などの機械部品が削減できるため、部品脱落事故の防止といった、運行時やメンテナンス時の安全性・安定性向上が可能になるといいます。

 

さらにDEC700では、ハイブリッド方式への変更にも対応しています。ハイブリッド式気動車は、電気式気動車に走行用バッテリーを追加した構成。エンジンのアイドリングストップや、回生ブレーキの使用などで、エネルギー効率の向上が図られます。

エンジンや発電機などを詰め込んだ床下

一方、電気式気動車の宿命として、機器スペースが従来型気動車よりも大きくなるデメリットがあります。DEC700では、主変換装置については床上の客室内機器室に設置。また、エンジン起動用や、将来のハイブリッド方式対応時に搭載するバッテリーについては、屋根上への設置となっています。

 

また、従来車よりも何割の燃費を削減できるか、などのエネルギー効率化の割合については、今後の試験にて検証するということです。

なお、形式名については、第1位の「7」は電気式気動車という動力方式を表すもの、第2位の「0」は通勤・近郊型、第3位の「0」は設計順だといいます。

車内には、2-1列の転換クロスシートを配置しています。このほか、片側の車端部には、車いす対応のトイレを設置。ドア上部へのLED案内表示器の搭載、車いすスペースの設置などとあわせ、バリアフリーへ配慮した設計となっています。

DEC700の運転台

その他、安全・信頼性向上に向けては、大阪環状線用の323系などにも採用されている「EB-N装置」を搭載。運転台のマスコン・ブレーキハンドルにスイッチを設置し、スイッチを放すと5秒後にブレーキが掛かる安全装置です。加えて、脱線などの衝撃を検知する「車両異常挙動検知システム」の搭載、両先頭部への転落防止ホロ設置、電動空気圧縮機やATSの2重化などの対策を採用しています。

 

乗務員の運用にもメリットがあります。鉄道車両を運転する免許は、電車と気動車は別物となっているため、電車の免許のみを持つ運転士が気動車を運転することはできません。一方、DEC700は電車と気動車双方の特徴を有しています。そのため、電車の免許保有者は気動車の、気動車の免許保有者は電車の構造についての講習を受けることで、どちらの免許を持っていてもDEC700が運転できるようになるといいます。
 
試験車両の位置付けで、川崎重工業で1両を製造された。下関総合車両所新山口支所(山口市)に配置し、試運転を重ねて性能を見極める。最高時速は100キロ。  車体は全長20メートル、幅2・8メートル。「瀬戸内地方の豊かな海に反射する太陽光」をイメージした黄色の帯を巻く。営業運転にも転用でき、定員は90人(うち座席は25人)。
 現時点ではDEC700を量産する計画はなく、芸備線広島―三次間や岩徳線などで使われる国鉄時代からの車両「キハ40系」の置き換え計画もない、としている。  芸備線のような非電化の路線を走る従来型のディーゼル車は、エンジンの回転を車輪に伝える装置を備える。構造が複雑で、保守作業に時間を要するのが難点だった。このため、近年はエンジンを発電専用とし、電車と同様にモーターで車輪を駆動する方式が普及しつつある。
 
by   GIG@NET
 
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