日本では7種類!「鉄道の信号」を知れば

電車に乗るのがもっと楽しくなる!

駅のホームや踏切などで、何気なく目にしている「鉄道の信号機」。その信号は道路交通用のものとは意味が異なり、種類も豊富で一部の鉄道会社にしか存在しないものもある。それらの意味を知っておくと、電車に乗るのがもっと楽しくなること請け合いだ。

信号は、鉄道や車などが前に進んで良いかどうか教えてくれるものである事は誰もが知っている。だが、道路交通用と鉄道用とで信号の概念はそれぞれ異なり、その呼び名も若干異なる。単に前方への進入の可否しか示さない道路交通用の信号の概念を「ルートシグナル」と言い、前方への進入の可否に加えて、制限速度やどこに進むかといった条件も示す鉄道用の信号の概念を「スピードシグナル」という。

 

電車の運転室の後ろに立ち、運転士が電車を操る様子を窓越しに眺めていたものだ。ある時、線路脇の信号機が黄色い明かりを2つ点灯させていることに気付いた。黄色1灯なら道路交通用の信号と同じで「注意信号」であるとは知っていたが、黄色2灯とは何だろうか。子供時分の筆者は想像力を膨らませ、「もっと注意しろという意味に違いない。一旦停止して左右を確認してから進むのでは」と考えた。

主信号機の現示方式(「○灯式」は灯球の総数)。抑速信号は省略。
以前には単灯式(一灯式)の信号機が存在したが、1990年代に消滅したためここでは記していない。四灯式・五灯式には現示パターンが異なるので、便宜上AとBで区別する。この違いからAを「警戒(現示)型」、四灯式Bを「減速(現示)型」、五灯式Bを「高速進行(現示)型」と呼ぶ場合がある。六灯式でも警戒信号の現示は可能だが現時点では警戒信号の現示できるものは設置されていない。

列車が信号機に近づくと、運転士は列車を停止せずそのまま走らせた。不思議に思い、帰宅後すぐに鉄道図鑑を開いてみた。黄色が2つ点灯した時は「警戒信号」で、時速25km以下まで速度を落として進まなければならないが、特に停止する必要はないことが分かった。警戒信号を過ぎた後、ごく近い場所に線路の行き止まりか、赤く点灯した停止を示す信号が現れるため、警戒信号では文字どおり「警戒」せよという意味が込められているのだという。

 

 黄色が1つ点灯している時は確かに「注意信号」ではあるが、こちらも道路交通用の信号とは意味が異なる。進んでは良いものの、時速45km以下に速度を落とすように定められていたのだ。ちなみに図鑑によると、黄色だと思っていた鉄道の信号は正確には橙黄色(とうこうしょく)と言って、赤みがかった黄色なのだという。

 

1970年代には、注意信号の制限速度は時速45km以下であったが、今日では電車などブレーキがよく効く車両に限っては時速55km以下に制限が緩和されている。

 

鉄道開業当初はルートシグナルだけだった

 19世紀初めのイギリスで鉄道が誕生した頃の信号はルートシグナルであり、「停止信号」と特に条件も無く前方に進んで良い事を示す「進行信号」しか存在しなかったという。しかし、列車が速く走るようになり、駅の直前に設置されている場内信号機が停止信号を示しても、運転士が気付いた時にはブレーキが間に合わないという状況が起きてしまった。そこで、場内信号機が示す停止信号を予告する遠方信号機をその手前に置くことで、遠方信号機が「注意信号」の役割を果たす方法が考案されたのだ。列車の運転士は注意信号を確認したら、次の信号は停止信号だと予測して速度を下げられるようになった。ちなみに、具体的な制限速度は無かった。というのも、当時の車両に速度計は付いていなかったからだ。

 イギリスの鉄道で注意信号が誕生した正確な時期は分からなかったが、同国の鉄道技術が日本に伝えられた1870年頃には存在したと考えられる。1872年に開業した日本初の鉄道には、停止信号の手前に遠方信号機が設置され、それが注意信号の役割を果たしていたからだ。

 不思議なことに、日本初の鉄道の注意信号は今日の進行信号と同じ緑色であったという。ならば進行信号の色はというとこちらは白色で、しかも「無難信号」と呼ばれていた。ちなみに、停止信号は今と同じ赤色ながら、呼び名は「危害信号」とやや物騒な言い方だったそうだ。

赤・青・黄・以外の鉄道信号に、写真のような信号機を見かけます、この信号に意味は?!

中継信号機

中継信号機は、自動閉塞・特殊自動閉塞を行う区間において、場内・出発・閉塞の各信号機に従属して、地形などで主体となる信号機が確認困難な場合にその確認距離を補う目的で設ける信号機のことである。曲線が長く続くなどの場合、複数の中継信号機を設置することもある。また、トンネルなどで取付場所が建築限界の制限を受ける場合は小型化されたものが使用される。無閉塞運転時に中継信号機を確認して先行列車がないと誤認して追突する事故が起きており、無閉塞運転の禁止や手前の閉塞信号機での現示数を増加して中継信号機を設置しないなどの対策が行われる。

灯列式
3つの白色灯の配列によって主体の信号機の現示が分かる。
中継信号現示 配列 主体の信号機の信号現示
進行中継信号 白色灯垂直 進行信号
制限中継信号 白色灯左下向き45度 減速信号・注意信号・警戒信号
停止中継信号 白色灯水平 停止信号

中継信号機.JPG

通常の色灯式の信号機と区別を付けるため、原則として灯列式が用いられる。

新幹線鉄道では、地上中継信号機と称し、主体の地上信号機を中継している。

信号現示 配列 主体の地上信号機の信号現示
進行中継信号 白色灯左下向き45度 進行信号
停止中継信号 白色灯水平 停止信号

今日の日本の鉄道では、信号の種類は7つある。停止信号、警戒信号、注意信号、減速信号、抑速信号、進行信号、高速進行信号だ。減速信号は、時速65kmまたは時速75km以下で進んで良いという信号で、緑色と橙黄色を点灯させて示す。この先に現れる信号は注意信号または警戒信号であると予想されるから、速度を落としておくようにという意味となる。

 

入換信号機

車両基地や駅構内などで入換作業を無誘導によって行うために設けられる信号機。運転用語としては「入信」(いれしん)と呼ぶ。停車場間を運転する列車には使われない。入換信号機は防護区間を持ち、その防護区間には軌道回路が設けられる。入換信号機の内方は45 km/h(非鎖錠ポイントを通過する場合は25 km/h)以下で進行することができる。

入換信号機を用いた入換運転ができる区間の終端には車両停止標識または車止標識が設置される

 

 緑色の点灯で示される進行信号は、その区間で認められている最高速度で走って良いという意味だ。ならば高速進行信号とは何だろうか。実は、この高速進行信号がある区間を走る車両の一部は他の車両よりも速いスピードで走行可能なので、その車両向けに最高速度で走って良い事を示しているのだ。

高速進行信号は京成電鉄成田空港線の特急列車「スカイライナー」だけに対して見られ、2灯の緑色が点灯していたら時速160kmで走行可能だ。

 信号の種類は7つながら、普段多くの人が目にする鉄道の信号の種類はここまで多くない。京浜急行電鉄、京成電鉄、北総鉄道の一部の信号が全国最多で、停止、警戒、注意、減速、抑速、進行の6種類となっている。

 

 

鉄道踏み切りの信号は標準的な信号機、列車の方向と通過!

 

 

by   GIG@NET

 

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