弊愚ブログの初期から続いている、国鉄時代の数々の勇姿をお届けするコーナーは気がつけば869回目となり、王さんのホームラン記録 (868本) を越えてしまいました。だからというわけじゃないのですが、今回は北海道の鉄道を取り上げたいと思います。

 

 

「キハ22+キハ40」 という、如何にも “北海道らしい” ビジュアルなんですけど、撮影自体は昭和60年ということなので、国鉄末期に向けて北海道のローカル線は縮小の真っ只中。 “北海道らしい” 独特の雰囲気を醸すローカル線は過去のものになろうとしていた時期とリンクします。

画像は北舟岡-稀府間で撮影したとのこと。ということは、室蘭本線なんですけど、室蘭本線に単線ってあったっけ?

それと時刻表でその所在を確認したところ、稀府は見つかったものの、北舟岡駅が掲載されていないんです。 「あれぇ~? 時刻表のミスプリ?」 と思って調べたら、昭和60年当時の北舟岡駅は仮乗降場であることが判りました。それだぁ~。仮乗降場は時刻表にも掲載されないケースが多いですからね。仮乗降場もまた、国鉄ならではの施設ですよね。

 

仮乗降場は、国鉄本社認可で設置するのではなく、各鉄道管理局独自で設置する駅のことで、特に北海道に多かったのは知っていました。

北海道は駅間距離が長く、最寄りの駅まで相当数の時間を要するというのが問題視されていました。自家用車が浸透していない昭和中期、バスも走っていないことから沿線住民は鉄道を利用するしかないわけですが、駅が遠いのであればそれも難しいわけで、仮乗降場の設置を推進していきました。折りしも国鉄北海道総局では、普通列車の気動車化を進めており、それも仮乗降場設置の気運を高めた理由の一つだったりします。

 

“仮” と謳うだけあって、ホームの構造は至ってシンプル。キハ1両分の木製の屋根無しホームが基本。中には乗降用ドア1個分だけというのもあり、鉄道ファンの間で 「朝礼台」 と呼ばれています。

仮乗降場は各地方鉄道管理局が独自に設置するというのと、全国版時刻表には掲載されていないケースがあるというのは先程もお伝えしました。しかし、北海道版の時刻表には掲載されているんですが、中にはその北海道版時刻表にも掲載されていないパターンもあったりしたそうです。ということは、北海道総局も実際の数を把握していないんでしょうね。乗務員ですら 「こんなとこに駅、あったっけ?」 ということも珍しくなかったとか。

 

国鉄の分割民営化以後、基本的に仮乗降場は駅に昇格したり、あるいは廃止されたりして国鉄ならではのビジュアルは姿を消しています。

北舟岡仮乗降場は国鉄が分割民営化した昭和62年4月1日に駅に昇格して北舟岡駅となり、内浦湾を眺める 「海が見える駅」 として乗り鉄の人には有名な駅らしいです。

キハ22は既に鬼籍に入っていますが、キハ40はまだまだ健在です。

 

【画像提供】

い様

【参考文献・引用】

国鉄監修・交通公社の時刻表 1985年5月号 (日本交通公社 刊)

日本鉄道旅行地図帳第1号 「北海道」 (新潮社 刊)

ウィキペディア (北舟岡駅、仮乗降場)