[ 国立公園鉄道の探索 ]
武蔵御嶽神社まで
(秩父多摩甲斐国立公園)
御岳登山鉄道の終点・御岳山駅から武蔵御嶽神社までは、よく整備された参道が通い、ところどころで展望が開けます。
参道沿いの区域は、大半が秩父多摩甲斐国立公園の特別地域(第2種)に指定され、大自然の中に歴史文化的景観が融和した風景がよく保全されています。
御岳山駅前広場は、そのまま参道の入口に続いています。
参道の側には古木もみられます。
遠景が開けるあたりでは、かなり高いところにいることが実感できます。
姿が美しい「奥の院」の鋭鋒も、随所から望まれました。
参道から少し坂を登った場所にある「秩父多摩甲斐国立公園・御岳ビジターセンター」。
業務は現在民間委託されているようてすが、きめ細かい自然解説プログラムなども用意され、国立公園探索に必要な情報が提供されています。
ビジターセンターの近くに、武蔵御嶽神社の宿坊の一つ、都指定有形文化財でもある旧御師馬場家住宅があります。
茅葺の歴史的建造物は、あたりの風景によく馴染んでいました。
参道には古風な店もあります。
商店街を抜け、三之鳥居をくぐり隋神門へと続く石段を登っていきます。
その先も両側から鮮やかな緑樹が迫る石段は続き、だんだん険しい地勢となっていきます。
急な坂道を登り終えると、本社拝殿が鎮座しています。
入口には「茅の輪」が祭られていました。
毎年六月の晦日に、 半年間に溜まった病と穢を落とし残りの半年を無事に過ごせることを願う夏越しの祓(なごしのはらえ)の儀式があり、とりおこなわれた後もしばらく茅の輪はそのままの状態で保全されています。
「茅の輪」は蘇民将来という人物の神話に由来するそうです。
備後の国で暮らしていた蘇民将来が、旅の途中で宿を求めて訪れた武塔神(むとうのかみ)を、貧しいながらも喜んでもてなし、その恩返しとして、疫病から逃れるために茅の輪を腰につけるよう教えられ、難を免れたという伝説です。
武塔神は、スサノオノミコトとも照合され、スサノオノミコトから茅の輪を腰につけるよう教えを授かった、とする伝承もあります。
現在の茅の輪は、蘇民将来の時代に腰につけられていたものが、歴史の流れの中で大きくなり、人が潜り抜けることが出来る程の規模になっています。
石段を拝殿に向かって登っていきます。
蔵王権現、櫛眞知命と数多の神様が祀られている武蔵御嶽神社ですが、その中で特徴的なことは「おいぬ様」として崇められている大口真神様、つまり日本狼の神様が祀られていることです。
本社拝殿の入口にも守護神のように鎮座しています。
古来、人々の中に、自然のうちに生態系の守り神の存在を敬う信仰心が受けつがれていたようです。
本社拝殿へ進み謹んで参拝しました。
拝殿の近くには、社伝による武蔵御嶽神社由緒が記されています。
帰り道も、様々な風景の発見がありました。
青梅線の御嶽駅から御岳山が望まれたので、何処か山上から青梅線御岳駅が見える場所はあるはずだ、と思っていたら、御岳山駅近くの展望台から眺めることが出来ました。
本社拝殿近くの休憩所からは、奥多摩の峰々が望まれました。