今回は京王電鉄を離れてJR東日本の話題を。日暮里から柏、土浦、水戸、いわき、浪江を通り、岩沼までを結ぶ常磐線。以前は103系や415系、485系が走っていましたが、現在はどれも引退しています。415系を置き換えた車両というのが今回ネタとなるE531系ですが、約15年に渡り製造されています。ではどうしてこのような長い製造期間となっているのでしょうか。


E531系は2005年より製造が開始され、2020年まで製造され続けています。2021年は増備されていませんが、今後も増備される可能性があります。どうしてそういえるのか。これは増備の過程を見ていると、まだまだ製造されそうだからです。2005年に415系の置き換えとTXへの対抗用としてデビューしてから、しばらくは415系の置き換えに集中していまた。上野口を置き換えたあとは水戸線といわき方面のの415系を置き換え、少々の増発に合わせた増備が行われました。本来であればこれで増備は終了でも良いのですが、2015年に常磐線に大きな影響を与えるダイヤ改正がありました。


2015年といえば北陸新幹線長野〜金沢間開業と、上野東京ラインの開業がありました。常磐線では品川まで乗り入れることになり、走行距離が伸びることからE531系と、直流区間専用のE231系を増備しました。このときE231系のみ中央・総武線からの転属でしたが、E531系は新造でした。その後は多少の運行形態の変更こそあれど、大きな変化はありませんでした。そんな平和な日常に再度大きな変化が起きたのです。2011年に発生した東北太平洋沖地震で常磐線は大きな被害を受け、一部の区間では不通が続いていました。2020年のダイヤ改正で運転再開となり、9年振りの全線復活となったのですが、その時に再度車両を増やす必要があったことから、2019年より再度増備が行われました。ここまでが大きな増備の経過ですが、これを見ていると細々と必要に合わせて増備されていることがわかります。この様子を見ていると、この先も増備が行われるほどのダイヤ改正や運行形態の変更があってもおかしくはないのです。


JR東日本はどうしてE531系を作り続けたのでしょうか。大きな理由として考えられるのが、新たな形式を作りづらいということです。一般的な直流電車に比べて、交直流電車は値段が大きく変わり、高くなります。それに加えて開発費がかかることを考えると、同じ形式を長年製造した方が安く済むのです。


2005年から15年も作られているE531系。その製造期間は京成3000形と同じくらいとなります。今後もつくられるのかはわかりませんが、JR東日本の標準電車となったことは間違いないでしょう。