国鉄「50系客車」原形車が走る北関東のローカル鉄道【真岡鐵道の旅①】 | 湘南軽便鉄道のブログ

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その他、5インチゲージ自家用乗用鉄道「湘南軽便鉄道」についても掲載。路線は湘南本線(ベランダ線・路程約0.01km)があったが現在廃止。新たな庭園鉄道敷設の構想中。


(真岡鐵道の50系客車)



茨城県・下館駅

JR水戸線で下館(しもだて)駅到着

向こう側の関東鉄道常総線 下館駅ホームには、単行気動車が発車待ち



JRホームの端にある真岡鐵道乗り場へ。


JR下館駅の片隅にある真岡鐵道乗り場の1番線

旧日本国有鉄道(国鉄)特定地方交通線を転換した第三セクター鉄道・真岡鐵道の真岡線。下館から茂木まで41.9kmを結ぶ。



この日は、土休日のSLもおか号運行日
側線には、ディーゼル機関車とSLもおか号編成。
側線はホームに並行しており、列車全体がよく見渡せる。



定期普通列車は、「モオカ14形」気動車

朝、真岡駅の車両基地から、後ろ向きのSLもおか号編成(蒸気機関車+客車)の回送列車を、ディーゼル機関車が牽引し、始発駅の下館駅にやってくる。
SLもおか号編成は、しばらく側線でスタンバイ。


JR東日本から購入したDE10形ディーゼル機関車「DE10  1535」

このディーゼル機関車「DE10  1535」は、SLもおか号運行日に活躍。
ここ始発駅の下館駅には転車台(ターンテーブル)がないため、朝夕、ディーゼル機関車が、後ろ向きのSLもおか号編成を牽引する役目を担う。
朝、真岡の車両基地から、ここ下館駅まで、後ろ向きのSLもおか号編成を回送で牽引。
ディーゼル機関車は、日中はここ下館駅の側線で休んでいる。
夕方、下館駅に到着したSLもおか号編成を、後ろ向きのまま、ディーゼル機関車が、下館駅から真岡駅まで再び牽引する。
夕方の牽引時は回送列車ではなく、ディーゼル機関車牽引の50系客車の営業列車として下館駅から真岡駅まで走る。







午前10時17分発、下館発・茂木行き普通列車が発車





普通列車が発車し、ホームが空くと、早速、SLもおか号編成が、ホーム入線のため、転線開始。

SLもおか号の先頭にたつ、蒸気機関車「C12 66」

「C12 66」は、1933年(昭和8年)日立製作所で製造。
鹿児島機関区、小牛田運転区、宮古機関区、釜石機関区、上諏訪機関区、会津若松機関区で活躍の後、廃車となり、福島県伊達郡川俣町の川俣ふもと川団地(旧国鉄川俣線岩代川俣駅跡)で静態保存。

1991年(平成3年)芳賀地区広域行政事務組合(真岡線SL運行協議会)が譲り受け、真岡鐵道が借り受けて、真岡駅で静態保存されていたが、1993年(平成5年)動態復元化。1994年(平成6年)に観光列車「SLもおか」として下館ー茂木間の営業運転開始。
また、1998年(平成10年)11月24日から約1か月間、JR北海道に貸し出され、NHK連続テレビ小説『すずらん』撮影用列車として、JR東日本高崎地区の旧型客車とともに留萌本線で運転されたこともある。




SLもおか号用の客車は、1994年(平成6年)に、観光列車「SLもおか」運行開始のため、JR東日本上沼垂運転区から1993年(平成5年)に譲受した3両編成の50系客車
車体の塗装変更や車内のモケット・床材変更以外は、ほぼ原形を保ち現存する唯一の50系客車
かつて国鉄・JRで活躍し、その塗装色から「レッドトレイン」と呼ばれていた50系客車。
現在は、戦前の旧型客車三等車を模した、ぶどう2号+窓下に赤帯の塗装が施されている。


SLもおか号編成は、蒸気機関車C12 66+オハ50 11(1号車)+オハ50 22(2号車)+オハフ50 33(3号車)

1号車は「オハ50 11」



2号車は「オハ50 22」



3号車は「オハフ50 33」

「オハフ50」には、車両の前後両端に車掌室がある。





ディーゼル機関車は、ここ下館駅の側線で、夕方の運用まで休息

今では、国鉄型ディーゼル機関車の活躍を間近で見られること自体珍しい。塗装も国鉄色。







SLもおか号編成が、推進運転で、ゆっくりホームに入線


SLもおか号への乗車は、運賃のほか、事前に「SLもおか券(整理券)」が必要であるが、車内の座席は自由席


真岡鐵道には、現在活躍する「C12  66」のほか、
かつては、「C11 325」という、新潟県北蒲原郡水原町(現・阿賀野市)の町立水原中学校構内に静態保存されていた蒸気機関車を動態復元した蒸気機関車も活躍し、時には、JR東日本に貸し出され只見線や磐越東線で運転されることもあった。
しかし、蒸気機関車の維持費確保が困難になったため、「C11 325」は2019年(令和元年)12月のラストランを最後に引退、2020年(令和2年)7月に東武鉄道に譲渡された。


50系客車の「オハ50」には、妻面にも開閉窓がある。



SLもおか号乗車


下り列車の最後尾、3号車「オハフ50 33」

乗降用扉は、デッキにある。


「オハフ50」には、乗務員室(車掌室)が通路を挟んで両側にある。


車両間の仕切扉


乗務員室(車掌室)内



乗降用扉

ステップ付き




デッキと客室内を隔てる仕切扉は、一部を除き国鉄・JR現役時代のラッシュ時対策用の両開き扉
この日は、コロナ禍の換気のため、扉は開けっ放しで固定されていた。

この仕切扉は、壁の一部を凹ませ、仕切扉の取手が収まる造りになっており、(国鉄・JR現役時代に)ラッシュ時に扉が最大限開ける造りに工夫されている。


車内はセミクロスシート。両端のロングシート部分。

ロングシート部分の座席番号プレート




昭和53年新潟鐵工所で製造された車両
 
壁にはアナログな温度計



クロスシート

窓際の足元には配管が張り出している。


車内外の形状は、ほぼ国鉄・JR時代のまま。



真岡鐵道の50系客車は、当時のまま、非冷房のため、扇風機が並ぶ。

壁の扇風機作動スイッチ


扇風機には「JNR」の国鉄のロゴマークが残る。

便所がある側の、客室とデッキを隔てる仕切扉は片開き扉




最後尾のデッキには乗務員室(車掌室)の扉



デッキに便所がある。





便所内部。
便所も原型のままだが、汚物処理装置を新たに設置。汚物抜き取りは真岡駅で行う。




大きな曇ガラス窓の隣に、小さな開閉式換気窓


非冷房のため、暑い時期は窓を開け、涼をとる。
ちなみに、冬の暖房は電気式暖房ではなく、今も昔ながらの「蒸気暖房」。したがって寒い冬は車両の床下から湯気が立ち上る。






渡り板





2号車オハ50  22



2号車のロングシート部分の一角は、新たに真岡鐵道グッズ販売所が出来た。






「オハ50」のデッキ妻面には上段開閉窓がある。
非冷房の国鉄型車両はデッキにも窓が付き、外の涼しい空気を取り入れる工夫がなされている。


上段窓の開閉用のつまみ


隣の車両の妻面

連結部分の幌



最前部1号車は、装飾車両「オハ50 11」


栃木県名産のイチゴの装飾が、壁、座席、床などに施されており、家族連れに人気の車両。




※2021年(令和3年)初夏


(続く)