新百合ヶ丘から唐木田の間を、6両編成の各駅停車が往復している小田急の多摩線。
都心側では見られなくなった6両は、10両で走る優等列車の合間を縫って走っています。

そんな多摩線ですが、多くの各駅停車が6両で走る中、一部には10両の各駅停車も見られます。
比較的近年登場した10両の各駅停車について、今日までの歴史を振り返ってみたいと思います。

2014年から運転が開始された10両編成の各駅停車

多摩線に10両の各駅停車が走り始めたのは、2014年3月15日のダイヤ改正からでした。
このダイヤ改正に合わせて五月台と黒川のホームは延長され、10両が停車できるように整備されました。



混雑の緩和による輸送サービスの向上という取り組みでしたが、どちらかといえばお昼寝をしている10両を活用したという印象で、日中は6両に混ざって4000形が線内を往復していました。
時間帯によっては4000形以外の10両も見られましたが、そこまで本数は多くありませんでした。

この状況に変化があったのは、2016年3月26日のダイヤ改正です。
多摩線にとっては大きな変更があった年で、相互直通運転にJR東日本が加わり、東京メトロを合わせた3社での運転となりました。
このタイミングで10両の各駅停車は減少し、日中は再び6両ばかりが走るようになっています。

新宿方面との直通運転開始による変化

2002年に多摩急行が登場して以降、千代田線との結び付きが強かった多摩線ですが、2018年3月17日のダイヤ改正で大きな変化が訪れます。
今までとは一転、優等列車は新宿方面との直通運転に変わり、他社の車両は通常走ることがなくなりました。

もう一つ小田急全体に関係する変化があり、このダイヤ改正に合わせて今まで「各停」と表記されていた種別が「各駅停車」へと変更されました。
長い間続いた各停の表記は、静かに姿を消すこととなったのです。
多摩線内で10両の各停表記が見られた期間は、結果的に短かったことになります。

10両の各駅停車は相変わらず少ない状況が続きますが、その状況に変化があったのは2020年3月14日のダイヤ改正です。
平日の遅い時間帯や、土休日の日中に変化があり、新百合ヶ丘を境に種別を変更する急行が登場し、多摩線内を10両で走る各駅停車が増加しました。

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その後は大きな変化がなく、現在まで同様のパターンが維持されています。
多摩線の運転本数がこれによって減少してしまいましたが、利便性の面でそこまで損なわれている印象はありません。
元々多摩線内で通過する駅が少ないため、所要時間の増加がそこまでないからなのでしょう。

10両の各駅停車で気になることは、今後この流れが拡大するかどうかです。
8000形が廃車となれば、6両編成の車両が減少するため、優等列車を多摩線内で各駅停車にすることで、6両の運用を削減できる可能性があります。
そういった面でも、現在の運転パターンは気になる部分が多く、今後の動向が注目されます。

おわりに

役割を変えつつ、多摩線内で走り続けている10両の各駅停車。
今後どのように変化していくのか、そんなことを予想してみるのも楽しそうですね。