JR木次線の2021夏は青春18切符で行く!

島根県松江市、宍道湖に面した宍道駅から、中国山地の山間を行き、広島県庄原市の備後落合駅へと続く81.9kmのJRローカル線~木次線。

木次線終点の備後落合駅

 

秘境と大自然がおりなす車窓を愛で、途中下車した駅で絶品グルメや温泉に出会う……そんな木次線(きすきせん)の2021年夏情報を。

木次駅のハートの看板!

ハートの看板がある木次駅

木次駅には、駅名を記したかわいい看板。大分県臼杵市の臼杵駅とコラボした企画で、「すき」の表記をどちらの駅もハートで表している。

ハートの看板が可愛いと話題になり、SNSでも大人気に。恋人や友達同士でのフォトスポットとして定着し、遠方から写真を撮りに来る人も。

 

七夕やバレンタインなど、イベントごとにデザインを変化させている点も注目。ことしの夏はどんなデザインか……。

 

出雲横田駅の駅舎もパワースポット。神社を模した木造の駅舎は、1934年開業当初のものがそのまま残っている。

鉄道好きはもちろん、宮大工に関心がある人たちもこの駅を訪れるという。

入口に飾られるしめ縄は駅のシンボルであり、ヤマタノオロチにとらわれていたクシナダ姫を祀る稲田神社にちなんでつくられた。

入口に大きなしめ縄が飾られた宮造り駅舎―――出雲横田駅

木次線車窓で奥出雲おろちループと三井野大橋は外せない!

木次線 出雲坂根~三井野原では、車窓の北側に、日本最大規模の二重ループ橋 奥出雲おろちループ が広がる。

その最上段には真っ赤なアーチの三井野大橋が現れ、その構造美にひたる時間もまたいい。

沿線18駅のうち12駅は住民が守っている

住民が管理している駅が3分の2にのぼる木次線。国鉄からJRに移行するさい、多くの駅舎を沿線市町に無償譲渡したことが背景にある。

加茂中駅(画像)、出雲大東駅、下久野駅を管理運営するのは、それぞれ地元住民でつくる団体で、フォトコンテンストやイベントの開催、駅ナカ農園の運営など沿線を盛り上げている。

そのほか、民間企業や住民個人が管理を受託しているケースも。終点の備後落合駅はボランティアによって維持されている全国でも珍しいケースのひとつ

島根県が路線存続へむけて旅行会社などを支援

沿線の人口減少で利用者の低迷が続き、廃線への危機感が高まっているいま、島根県では、木次線への乗車を盛り込んだツアーを企画する旅行会社の支援や、幅広い県民の観光や移動での利用にかかる運賃の助成を行うなど、路線存続にむけた対策に本腰を入れている。

いよいよ夏の青春18きっぷシーズン。中国地方の木次線を行く人気トロッコ列車「奥出雲おろち号」が、2023年度で運行を終了するということで、「いまのうちに乗っておきたい列車」として再び注目を集めている。

 

「奥出雲おろち号」2023年度の運行を最後に引退 今夏の運転計画は?

出雲坂根駅のスイッチバック列車交換

そこで、あと3年で消える名列車のプロフィールと、木次線沿線の最近の動きを紹介。

DE10・15+12系客車

 

木次線の観光列車「奥出雲おろち号」は、4月から11月下旬までの金・土・日・祝日に、木次~備後落合を1日1往復する全車指定席の普通列車(ゴールデンウイーク・夏休み・紅葉期間中は平日も毎日運転)。

外観は青と白と星で彩られ、名称は木次線沿線がヤマタノオロチ伝説の舞台であることに由来する。

12系客車のうち1両はトロッコ風のつくり。木製の椅子・机のレトロな雰囲気で、ガラスや壁のない、大きく解放された窓からさわやかな風が通り抜ける。

春は新緑を楽しめるほか、コースの終盤の「奥出雲おろちループ」付近では、列車が徐行し、ダイナミックな造形美をゆっくりみることができる。

また、全長2,241m、木次線最長トンネルの下久野トンネル通過時にヤマタノオロチイルミネーションが点灯。トンネル内は走行音による轟音に包まれ、まるで神話に登場するヤマタノオロチの鳴き声のようにも感じてくる。

亀嵩駅の手打ちそば弁当も体感したい

さらに、「奥出雲おろち号」の乗客の最大の楽しみのひとつ、亀嵩駅の手打ちそば弁当。

亀嵩駅到着や駅蕎麦販売のアナウンスが流れるとともに、多くの客が座席から立ち上がり、手打ちそば弁当を手に入れるべく動く。

その理由は、500円という価格もさることながら、動く絶景を愛でながら味わうご当地グルメは、ここでしか体感できなから。

予約もできるから、確実に購入したい場合は、亀嵩駅舎内「扇屋そば」へ電話を。

木次線沿線で始まった、存続へむけた応援活動

列車本数も減り、存続の道を探りはじめている木次線の沿線では、ピンチをチャンスに変えようと、さまざまな取り組みが始まっている。

たとえば「木次線応援弁当」。地元の仕出し店と連携し、統一されたオリジナル掛け紙を掛けた弁当を提供する取り組みで、いろいろな地元食材が使われている。

また、木次駅、加茂中駅、亀嵩駅のキーホルダー、路線図がプリントされたポロシャツや手ぬぐいなど、オリジナルグッズも続々登場。

さらに、沿線住民が駅周辺の清掃活動を行ったり、農作業中の人や線路沿いの住人が電車にむかって手を振るなど、「乗車すること以外でもできる応援」を地域全体で行っている。

木次線沿線に点在する温泉にも注目

木次線の沿線には、温泉も数多くある。

硫黄臭があり、つるつる感がある温泉。島根県雲南市大東町中湯石451

電話: 0854-43-5000

 

出雲大東駅が最寄りの海潮温泉は、約1,300年前の奈良時代に発見されたと伝えられる秘湯。人気の海潮荘では出雲大東駅までの送迎も行なわれている。

また、ドラマ「砂の器」(原作:松本清張)のロケ地にほど近い亀嵩温泉、佐白温泉、日本三大美肌の湯とされている斐乃上温泉の3つ温泉地は、合わせて奥出雲美肌温泉郷と呼ばれている。木次線をゆっくり行くならば、こうした温泉めぐりも楽しんでみて。

 

雲南市、木次線を眺められるカフェ「倉田カフェ」もチェック!

最後は雲南市、木次線を眺められるカフェ「倉田カフェ」へ。

店内の大きな窓から田園風景を走る木次線を眺められるカフェで、運が良ければ「奥出雲おろち号」が目の前を通過する!

倉田カフェは木次線 日登駅から徒歩5分。店内の大きな窓から田園風景を走る木次線を眺められるカフェとして、観光客や子供たちに人気

地元食材を使った料理とともに、木次線を眺めながらゆっくりとカフェタイムを楽しめる。

営業時間は11:00~19:00、金土のみ~21:00(火曜日、第二・第四月曜日定休)だから、木次線の夕暮れを倉田カフェで体感し、日登18:42発の宍道行き列車で松江方面に戻るのもいい。

 

by   GIG@NET

 

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