2020年11月21日(土)


昨年11月の高千穂を目指す旅。

佐賀県の基山町で紅葉の名所である大興善寺を訪れた後は、甘木鉄道に乗車するため基山駅に戻ってきました。

乗り場はJRの4番線を間借りしたような構内、かつて甘木鉄道が国鉄線であった面影です。



基山駅と朝倉市の甘木駅を結ぶ甘木鉄道は、旧国鉄甘木線から転換した全長13.7kmの3セク鉄道。

wikiを眺める限り、3セクとしては経営状態が良好とあります。



信号場があることに驚きもしつつ、列車は小郡市に入ると高架を走ります。

西鉄との乗換駅である小郡駅をオーバーパスすると、しばらくは大分道と並走しながら東へ進む。



軽快気動車は、軽やかに筑後平野を走り抜けていきます。

途中で渡る川は、筑後川水系の宝満川です。




太刀洗駅は、陸軍飛行場の跡地に建つキリンビール工場の最寄駅。

と言うより、そもそも国鉄甘木線は陸軍飛行場への軍需輸送のために敷設されたのが始まり。

太刀洗駅を出ると、車窓は宅地から田園風景に変わりました。



基山駅を出発してから半時間弱、左からぐぐっと西鉄の路線が近づいてくると終点の甘木駅です。



甘木駅では、カラフルな短編成たちが発車の時を待っていました。

在籍する8車両は、すべて塗装が異なるんですって。

広い構内からは、かつて貨物輸送で賑わったことが窺えます。



甘木鉄道の本社が併設されている甘木駅舎は、1939年の建築と歴史があります。

駅舎には、観光協会や旅行会社も入居しているので、一年を通して甘木から筑前の小京都と称される秋月城下町へ向かう人が多いのかもしれません。



駅や車両の写真ばかり撮っていたら、次に乗る予定の路線バスが発車してしまいました。

バスは初めに市内中心部を周回することが分かっていたので、急いで先の停留所へ移動。

何とか先回りして、予定していた便に乗ることができました(かなり焦ったよ)



朝倉市中心地の甘木から、市の北外れにある秋月へと路線バスでどんぶらこ。
軽い紅葉渋滞に捕まりもしましたが、なんとか無事に秋月城址に到着。
紅葉シーズンでもありますから、屋台が出てかなり賑やか。


秋月城下町は朝倉市の中心地から北へ7km、周りを山に囲まれた少し開けた盆地にあります。
国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれた町並みは、時間をかけてゆるりと歩きたいところ。


城下町の始まりは、鎌倉時代に秋月氏が山城を築いた頃から。
江戸時代になって黒田氏が山麓に平城を築き、12代に渡って秋月を治めました。
写真は長屋門で、城内で唯一残る建物です。


城館跡や武家屋敷はもちろんとして、町割りや道路・水路といった町全体が重伝建地区に指定されているのが特徴。
良い意味で言えば田園風景も広がるのどかな場所、口悪く言えば歴史から取り残された場所というのが訪れた感想。
昔の時代にタイムスリップしたと言えば聞こえが良いかな。


すぐ近くには、歴代の秋月藩主を祀る垂裕神社があります。
ここは紅葉が多く、比例して観光客も多かったです。


秋月のシンボルとなっているのが、紅葉の中に立つ黒門。
秋月氏の時代は城の裏門として、黒田氏の時代は大手門として数百年ものあいだ秋月を見守っていました。
現在は、垂裕神社の神門です。


秋月城は、当初から天守閣が無かったそうです。
また秋月藩は福岡藩の支藩で、屋敷に藩庁が置かれたことから秋月陣屋とも呼ばれています。


城の跡地には、現役の中学校があったり。
レトロな木造校舎は、雰囲気が周囲とやけにマッチしていますね。
もちろん現役なので、関係者以外は立入禁止です。


ひと通り散策したら、甘木駅に戻るためバス停に向かいます。
路線バスは概ね1時間に1本、もう1本後ろにずらして茶屋でゆっくりしても良かったなと考えたり。


茶屋の看板猫?は、店先のベンチで昼寝していました。
通り過ぎる人が足を止めていくので、充分招き猫としての役割を果たしているんじゃないでしょうか。


最後は、川のせせらぎを聴きながらバスの到着を待ちます。
秋月は、小京都と田園風景が同居する他に類の無いのんびりスポットでしたね。



秋月の余韻に浸りながら、甘木駅に到着。
同じ甘木駅でも甘木鉄道とは違って、歩いて3分離れたところにある西鉄の甘木駅。
行きは甘木鉄道、帰りは西鉄に乗車します。
ではではノシ