【ブルーサンダー中央西線へ?】EH200形がJR東海管内入り!12号機が稲沢へ

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JR貨物では中央西線を経由する貨物列車を運行しており、従来はEF64形1000番台を使用してきました。

2021年7月20日の8764レより、上越線や中央東線を中心に運用されているEH200形のうち12号機が所属の高崎機関区から愛知県の東海道本線稲沢駅へ向けて無動力回送が実施されています。

少数増備に留まった“ブルサン”

EH200形は、山岳線区で使用されていたEF64形0番台の置き換え・重連総括運転の解消を目的として2001年に試作機・2003年から量産機が投入された形式です。

先に登場したEH500形“金太郎”と同様に2車体8軸構造となっており、愛称は“Blue Thunder”(ブルーサンダー)とされました。

中央東線のEF64形0番台の運用を直接代替したほか、EF64形1000番台が重連で運用されていた上越線運用を代替することで、比較的車齢が若い1000番台により中央西線の0番台運用を玉突きで置き換えています。

東芝製の大先輩 EF65 535号機牽引で高崎へ向かう新製された17号機

EH200形の投入は2011年まで行われ、少しずつ運用数を増やしていきました。試作機の901号機と量産機の1〜24号機の25機が高崎機関区を拠点とする体制となり現在に至ります。

EH200形は上越線・中央東線を中心に、EF64形1000番台は中央西線の重連仕業・伯備線の単機牽引を中心に運用される体制が現在まで10年近く安定して続いていました。

2021年7月20日より、高崎機関区から稲沢機関区へ向けて無動力回送(貨物列車の牽引機の後ろに連結)が実施されています。

回送票には稲沢機関区とされているものの現在同所は乗務員区で、現行のEF64形などが配置されている車両区所は愛知機関区となっています。

ファン目線でもややこしい呼称ですが、車両の目的地としては愛知機関区・同機を使用する貸し出し先が稲沢機関区といったニュアンスでしょうか。回送票で乗務員区所である稲沢機関区と記述した意図があるのか、単なる誤記かは定かではありません。

EH200形は新製から20年の時を経て、運用拡大が実施されることが濃厚な動きとなっています。

EH500形と関連した運用持ち替え?

新潟エリアで試運転を行うEH500形

現在、日本海縦貫線・上越線ではEH500形“金太郎”を使用した試運転列車が運行されています。

これは、北海道新幹線開業により青森信号場以北の運用がEH800形へ置き換えられたEH500形を使用し、「運行機材のリダンダンシー確保の一環」で「運用線区拡大」を狙う動きです。

具体的には、東北本線の輸送障害時に日本海側経由で運転することを想定した動きと考えられます(関連記事:EH500形“金太郎”24号機が日本海縦貫線・上越線で試運転)。

EH500形がこれらの線区の定期運用を持つこととなった場合、日本海縦貫線ではEF510形・上越線ではEH200形の運用が削減されることとなります。

EF510形は既に九州エリアに残存するEF81形・ED76形の代替のための投入が明らかになっており、全機を新製とせず一部は富山機関区からの転出が想像できる状態です(少なくとも試験運行機は在来機の活用)。

一方で、EH200形については残された山岳線区が中央西線と伯備線となっており、これらの路線への運用拡大を目指した動きであることが想像できます

ファンの間では以前から線路使用料の課題からJR東海管内の入線を避けていた……とも噂されていましたが、線路使用料自体が公式に示されるものではなく、この真偽は明らかになっていません。

これが事実だったと仮定しても、中央西線の貨物列車運行本数は決して多くないのが実状で、専用の新形式開発を行うよりは既存形式の有効活用とする方が合理的と判断されることは自然とも言えそうです。

また、大動脈である東海道線の輸送障害時の迂回運行を考えても、中央線をEH200形がスルー牽引出来れば運行の幅が大きく広がりそうです。

昨今はモーダルシフトの追い風でJR貨物の経営状況は比較的好調です。

国鉄分割民営化から30年以上が経過しており、JR貨物開発の機関車群の増備も着々と進められてきました。残されていた国鉄形電気機関車の“終わりの始まり”がいよいよ近づいてきました。

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