行先や種別を表示し、利用者にどこへ行くのかを伝える種別行先表示器。もちろん京王電鉄の車両は全ての車両に付いていますが、その姿は統一されているわけではなく、系式ごとに豊かな見た目があります。今回はそんな京王線を走る車両の行先表示器を見てみます。


良い写真がなく、見づらいですが、こちらは9000系の側面の種別行先表示器。京王線の車両の中では比較的他社の車両と変わらない大きさをしています。若干の形態差こそあれど、そこまでの問題ではありません。


こちらは8000系の種別行先表示器。随分と余裕があるように感じますが、実際その通りで他の系式と比べると大幅に横方向に長いのです。8000系では登場当初、初期車で幕式のものを使用しており、種別と行先を同じ枠に収めていたために横長となりました。


この通り種別変更の表示も余裕をもって入ります。京王八王子行や、多摩動物公園行、府中競馬正門前幕もそこまでギチギチではなく、若干の余裕があるのです。


さて、問題児に入ります。7000系では3種の表示器があります。この写真は7721F〜7725Fで見られるもので、種別と行先を表示している横に、何かを塞いだような蓋とその上に車外スピーカーが搭載されています。これはリニューアル工事によりできた形態で、元々は蓋の上に行先を、現在の種別、行先を表示しているところに種別のみを表示していました。リニューアルの際に行先表示を塞ぎ、種別枠を拡大、幕式からLED方式に変更した上で、元の種別枠に種別と行先を表示しているのです。当初は車外スピーカーはありませんでしたが、後になって後付けで搭載されました。


恐らくサイズを8000系に寄せたと思われ、種別変更の表示にある程度の余裕があります。


こちらは最近できた形態。種別と行先が別々ではありますが、LED式となっています。こちらは2019年に誕生した形態で、元々は幕式だったものを枠はそのままLED方式としました。7721F〜7725Fとは違い、行先を塞いでいないことから車外スピーカーは搭載されず、乗降促進放送は車内のスピーカーから流れます。7801F〜7805F、7421F〜7425Fで見られ、恐らく予備部品の確保と見やすさを向上させるための措置と思われます。この形態の編成では前面の表示器は7721F〜7725Fと同じものとなっており、前面には差ができませんでした。


こちらは原型となる幕式。幕本体は変わっているものの、表示方式は変わっていません。初期車にみられ、後期車は消滅しました。特徴はありませんが、6000系と同じ表示方法で行先と種別を分けていることが特筆されます。同じ頃に製造された西武2000系や東武10000系では種別と行先を一体化させているので、ある意味珍しいといえるでしょう。


いかがでしょうか。行先表示器に目がいくことはそこまで多くはなく、目がいってもそれは表示内容に目がいくでしょう。しかしよく見てみると行先表示器にも個性があったのです。