【静岡から九州へ】熊本電鉄譲渡!静岡鉄道1000形1009号編成 搬出・陸送

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静岡鉄道では、自社発注車A3000形により1000形の置き換えを進めています。

2020年度に置き換えられた1009号・1010号については、熊本電鉄とえちぜん鉄道の譲渡が発表されています。

2021年7月6日夜には残されていた1009号編成が静岡鉄道長沼車庫から清水港へ陸送(トレーラーでの輸送)が実施されました。

静岡鉄道の世代交代と車両譲渡

2021年に引退した2編成

静岡鉄道1000形は1973年から1985年にかけて、東急7000系とともに日本国内で最初期に投入されたオールステンレス車両です。2両12編成が製造・運用されていました。

2015年度より老朽化した1000形の世代交代のため、新型車両A3000形の導入を進めてきました。

2022年度までに1000形と同数となる2両12編成の導入が予定されており、これまでは年度ごとに同数の1000形が運用を離脱する流れとなっていました。

2020年度には1009号編成・1010号編成の2本がA3000形のA3009号・A3010号の営業運転開始と入れ替わる格好で引退となりました。

それまで代替された車両は解体となっていましたが、2020年度代替分の1000形2編成については新たな鉄道会社への譲渡が実現することとなり、既に製造から既に42年が経過したなかでの発表であったことから、ファンからは驚きの声も上がっていました。

2021年3月には、えちぜん鉄道への譲渡となった1010号編成(1010+1510)が静岡鉄道長沼車庫から兵庫県の阪神車両メンテナンスまで陸送されています(過去記事)。同車はのちに2023年度の導入が報じられており、入場期間の長さが注目されるところです。

一方で、残された1009号編成(1009+1509)は依然として長沼車庫に留置されていましたが、2021年6月にラッピング撤去と譲渡に向けた作業が開始。

7月6日夜に静岡鉄道長沼車庫から清水港への陸送(トレーラーでの輸送)が実施されています。今後、清水港から航送(船舶による輸送)で九州入りするものとみられます。

初の新製冷房車……1009号の特徴

1009号編成は、同じく譲渡対象となった1010号編成と同様に1979年に製造されたグループです。

デビュー当時は大手でも冷房化が進行していた時代で、この4次車は新製時より冷房を搭載したことで話題となりました。

最終検査は2019年8月に実施されており、検査前には前面裾部分に施されているオレンジ色の警戒帯が欠損した状態で運行されており、他編成に比べてスッキリとした外観が特徴となっていました。

最後の定期検査ではラッピングの修復が行われたほか、A3000形に貼り付けられている静岡鉄道の新しいロゴマークが連結面付近の戸袋部に貼り付けられました。2021年7月現在、この装飾は他編成には波及していません。

2019年11月からラストランまでの期間は日軽産業株式会社(本社:静岡市清水区)のラッピング車となっていたため、帯復活・ロゴマークの形態は非常に短期間のものとなっており、2019年秋と譲渡直前の整備時のみの形態です。

引退が近づき、ヘッドマークが取り付けられて運行されました。共に引退する1010号ともどもイベントも開催され、静岡鉄道とそのファンによって盛大に見送られました。

この1009号編成は2021年2月20日の13時5分 新静岡駅発 柚木駅行きで最終運行を実施しています。

輸送される1009号編成を見る

今回輸送された車両は、静岡鉄道1000形1009号編成(1009+1509)の2両です。

前回のえちぜん鉄道での輸送では「いってらっしゃいえちぜん鉄道」「ありがとう!1010号!」といった装飾が窓に掲示されており、今回も「いってらっしゃい熊本電鉄」「ありがとう!1009号」の装飾が施されています。

これらはいずれも最終運行直前に貼り付けられたもので、1009号編成については最終運行前日となる2月19日より実施されています。

広告ラッピングの撤去は運用終了後しばらく経過した2021年6月となっており、車庫以外でこの形態が見られるのは輸送時が唯一となりました。

40年以上もの長きに渡り静岡と清水の発展を見守ってきた1000形。かつて静岡鉄道が運行していた清水市内線跡や毎日駆け抜けた新清水駅、そして国鉄時代から時にライバル・時に支え合ってきた東海道本線に最後の別れを告げました。

清水港からは航送となるため、目的地については明らかにはなっていません。ただし、過去の熊本電鉄譲渡車の改造を西日本鉄道子会社の西鉄エンジニアリングが請け負っており、今回も同様の動きと考えられます

デビューは2022年春頃?

2021年2月のリリース時点では譲渡先となる熊本電鉄での運用開始時期は未定とされています。えちぜん鉄道譲渡車については輸送とともに譲渡先沿線の福井新聞によりデビュー時期が報じられていました。

熊本電鉄や各報道でも新しい情報解禁はありませんが、過去の熊本電鉄の車両譲受の動きからある程度の想像が出来そうです。

熊本電鉄ではこれまで東京メトロ日比谷線で活躍していた03系を03形として導入していましたが、これらの動きはいずれも夏頃に輸送〜2019年から2021年の春ごろにデビューという時系列で進行していました。

年度ごとに予算を組んで実施されていることを考えると今回も概ね同様の流れが予想でき、この場合は2022年初めに改造工事を終えて熊本へ輸送、2022年春ごろに完成・デビューとなりそうです。

03系と比較して電装化改造が不要など改造メニューは少なくても済みそうな反面、経年車であることから走行機器類の更新が考えられます。

どのような仕様で姿を見せるかが気になりますが、過去の01形・03形同様に旧来のデザインを維持・近い形態が期待できそうです。

静岡鉄道でも稼働頻度が徐々に下がっているうえ、東京メトロ03系の譲渡予定車の一部が解体とみられる動きが生じているなか、“再就職”が叶う幸運な2両。末長い活躍に期待したいですね。

現時点では船積みは行われておらず、出港・目的地到着などの続報があれば本記事に追記する予定です。

引退後に広告ラッピング解除&側面装飾維持で構内入換をする最後の動き

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記事内掲載写真は、静岡鉄道の動きを記録されている沿線ファンのつつじ様(@CM1560AHB1500C)より許諾を頂いています。また記事作成にあたって、現車の詳細な動向などを監修していただきました。

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