【伊豆急行へ譲渡】JR東日本209系2100番台C609編成6両が伊豆高原へ

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2021年3月のダイヤ改正にてE131系を導入するとともに大規模な運用整理が行われた房総エリア。

ダイヤ改正からしばらく廃車関連の輸送が続いていましたが、2021年7月6日から7日にかけて、伊豆急行へ譲渡のための甲種輸送(貨物列車としての輸送)が実施されています。

伊豆急行線普通列車の現在

伊豆急行線では、自社発注の豪華な2100系“リゾート21”が7両2編成(通常時)と8000系3両15編成が普通列車として運用され、乗り入れ先のJR東日本伊東線のほとんども両車が使用されています。

このうち、伊豆急行8000系は東急8000系を譲受し2005年より使用されています。

それまでの在来車と異なりオールステンレス車両となり、海沿いを走る伊豆急行線・伊東線で長い活躍が期待されていました。

しかしながら、潮風の影響もあってか同世代の東急田園都市線8500系に比べても屋根周りやコルゲート板周りなどに腐食している姿も見受けられ、今後の動向が注目されていました。

房総方面の世代交代

一方のJR東日本では、2021年3月のダイヤ改正にて房総方面の普通列車のうち利用者が比較的少ない外房線・内房線の南部と鹿島線の列車を2両編成・ワンマン運転対応のE131系に代替しました。

これとともに千葉近郊についても運用体系が見直され、6両編成のうち6編成が4両化、5編成程度が余剰となりました。

編成単位で余剰となったうち3編成は、4両化で抜き取られた電動車2ユニット4両を抱えて長野総合車両センターへ配給輸送。全車両が解体となりました。

その後は6両編成のまま廃車のための配給輸送が実施されるかと思われていましたが、目立つ動きがなく去就が注目されていました。

輸送の様子を見る

今回輸送が実施された車両は、幕張車両センターに所属していた209系2100番台C609編成6両です。

幕張車両センターから蘇我駅まではEF210-140号機が牽引しています。

蘇我駅〜新鶴見信号所〜横浜羽沢〜伊東駅まではEF65 2088号機が牽引しています。

今回の209系譲受が普通列車のいずれかの形式の代替と推測できますが、リゾート21は2021年にR-3編成の定期検査を施工し始めたばかりであることを考えると、8000系の代替とみて間違いない状勢です。

特殊貨物検査票により、今回の目的地が伊東駅=伊豆急行への譲渡であることが分かります。

前面、側面ともにJRマークが剥がされているほか、輸送に際して連結器の交換やスカート(排障器)の保護が実施されています。

209系の甲種輸送自体は訓練機械(車籍のない訓練車)で実績がありますが、強化型スカートとなった現在の顔立ちでは初めてです。

入出場回送で行き来した武蔵野線を行く
伊東駅では自走回送のための準備

伊豆急行線内は最近の事例のように8000系6両で半分ずつ輸送する体系ではなく、線路閉鎖での自力回送にて伊豆高原運輸区まで移動しています。

伊豆急行ではこれまでJR東日本の車両が数多く入線していますが、新系列電車の通勤タイプは初入線となります。

自動連結器・反射板かけ残置で入庫

物理的には自走や配給輸送も可能に思えるが……

今回の輸送では、今回は伊東駅までの全行程でJR貨物の列車である甲種輸送が選択されています。

JR東日本と伊豆急行の境界は伊東駅で、保安装置等の観点などを考えてもJR東日本の自社列車としての配給輸送どころか、自走での回送も可能なように思えます。

伊豆急行線内についてもATS-Pが採用されており、過去の特急列車の試運転などを考えれば誘導障害試験なども特別必要とせずに運行できそうです。

海外譲渡関連は自社の配給輸送とされている一方で、最近の事例ではJR東日本から小湊鉄道へのキハ40形譲渡・伊豆急行関連の事例ではTHE ROYAL EXPRESSの電源車となったマニ50 2186の東急電鉄への譲渡事例など、これらの列車は貨物列車である甲種輸送が選択されています。

背景は定かではありませんが、少なくともJR東日本の車両として除籍済・伊豆急行の車両として入籍前であれば本線上を走行することはできません。

伊豆急行線関連では、現在のTHE ROYAL EXPRESSとなっている2100系R-5編成が東急テクノシステムで改造を受ける際、相模貨物駅まで自力回送とされた事例が存在します。このほか、小田急電鉄4000形がJR東日本の大宮総合車両センターで改造を受ける際にJR東日本の配給輸送として実施された事例なども、同様に車籍の移動を伴わない車両改造の事例です。

デビューは2022年春改正?

7/8 追記

7月7日の公式発表(PDF)で2022年春のデビュー予定であること・8日の静岡新聞報道で2021年秋までに2編成(=あと1編成の譲受)となることが判明しています。

伊豆急行譲渡後の動向については現時点で明らかにされていませんが、伊豆急行での整備後に性能確認試運転・乗務員訓練などが行われることと予想できます。

伊豆急行ではVVVFインバータ制御の車両を所有することは初となりますが、JR東日本の検測車両E491系から始まり、現在までE259系・E257系2000番台・E261系と特急形車両が数多く入線しており、試験項目はそこまで多くならなさそうです。

片手操作のワンハンドルマスコンを所有することも初となりますが、こちらについても特急用車両で多数実績がありますので特段大きな問題とはならなさそうです。

一方で、伊豆急8000系の代替車両とのしての運用については課題となる面が大きそうです。

現状では3両15編成が編成構成違いで2タイプ在籍しているものの、運用は共通化されています。

209系以降の新系列電車では、前面の衝撃吸収構造や強度などの関係か、中間車の先頭車化改造事例が本線を走行しない訓練機械のみとなっており、今回の伊豆急行譲渡車両についても、3両編成・2両編成への改造は行われないものと考えて間違いないでしょう。

営業運転で使用する場合は、4両または6両での運用が想定されますが、いずれの場合も8000系の運用にそのまま充てることは出来ません。

2021年3月改正ではそれを前提とした運用修正などは加わっておらず、一筋縄にはいかない印象です。

また、JR東日本との直通運転を基本とするダイヤが組まれており、自社線完結運用での先行投入なども難しそうです。

これらの事情を加味すると、デビューは2022年春のダイヤ改正まで持ち越しとなりそうです。

6両編成で伊豆高原以北を中心とするのか、4両編成で伊豆急行線内を中心とするのか、そして4両の場合は電動車ユニットを繁忙期に増結するのかや4+4両運用が設定されるのかなど、興味は尽きません。

リゾート21のような専用運用が2運用(代走時は8000系)・ワンマン化改造なしでの専用運用……などが想像できますが、少なくとも現行の輸送体系から大きな変化となりそうです。

今後も塗色・試運転など面白い動きがあれば随時レポートしていければと思います。

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