【無架線エリアに“疎開”】代替進むJR京都線・神戸線221系〜複雑な組み替えも進行

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2021年3月のダイヤ改正と前後して、JR京都線・神戸線で活躍する221系が数を減らしています。

221系が宮原支所の無架線エリアに「疎開」されており、“再出発”の時を待っています。

ダイヤ改正以降の221系の動きと今後を考えます。

JR西日本近畿エリアを支えてきた221系

221系はJR西日本近畿エリアの最大の功労者と言えるのではないでしょうか。民営化直後の1989(平成元年)年に老朽化した113系を置き換えるためにデビューしました。最大の特徴は転換クロスシートを採用しながらも3扉にしたこと。これにより、2扉の117系と比べ、ラッシュ対応能力が格段にアップしました。

外観は従来の国鉄型電車とは大きく異なり、白色を基調に戦前の関西急電をイメージした茶色とベージュ、そしてJR西日本のシンボルカラーである青色が入っています。

またJR西日本管区内を自由自在に走れるために半自動ドアなどを採用し、2両編成から最大12両編成での運用が可能です。そのため土休日になると臨時急行や臨時快速「ホリデー」「レジャー」に使われ、白浜や岡山、福知山にも入線しました。ちなみに臨時急行に使われた際は真ん中の扉は締め切り扱いだったとか。もちろん乗車には急行券が必要でした。

制御機器は205系1000番台をベースとした界磁添加励磁制御を取り入れ、加減速性能は207系に準じています。最高運転速度は時速120キロですが、1990年には湖西線で高速試験に使われ、時速160キロ運転を行いました。この試験は後に登場した681系や223系に引き継がれています。

153系「ブルーライナー」・117系「シティーライナー」に続き、221系には「アメニティーライナー」の愛称も付与され、JR西日本黎明期を象徴する車両となっています。

デビュー当初は私鉄と競合する新快速や大和路快速などに投入。223系登場後は新快速から撤退し、近畿エリアの近郊路線に撤退しました。

2012年から2020年にかけて体質改善工事が施され、前面部の行先表示器の設置や固定席の補助席化、トイレの大型化などが行われました。また2017年から側面部の行先表示器がLEDフルカラーになっています。今日も後輩車両に混じり、近畿エリアで活躍しています。

網干から奈良・京都へ……複雑な車両転用

出場試運転を行う225系100番台

2020年度には225系100番台(4次車)がJR神戸線・JR京都線の車両を管轄する網干総合車両所本所に相次いで導入されており、223系4両2編成が京都支所へ転用された(過去記事)ほか、221系についても転出の動きが進行しています。

2021年3月のダイヤ改正と前後して、網干総合車両所本所から宮原支所に余剰となった数編成が疎開されていることが確認されています。それまで網干に配置されていた8両のA編成5本・4両のC編成3本が対象となりました。

これとともに、221系が担っていた運用も見直され、ダイヤ改正とともに新たに223系2000番台の一部が6000番台=221系性能固定とされて充当。同時に223系が初めて配置された京都支所についても、同数の221系K1・K2編成が奈良へ転出するなど、複雑な玉突き転用が進行しています。

現在では両数の組み換えが行われ、8両編成・4両編成から6両編成となっています。編成替えした車両は奈良方面の車両が配置されている吹田総合車両所奈良支所への転属が5月より始まっており、鉄道ファンの注目を集めています。

6月25日現在では、6両編成×4本に組み替えられていることを確認できました。これらの編成も元は8両編成・4両編成であり、車両を増減することにより、6両編成になっています。

2021年改正で性能固定となり、221系と併結するV29編成

221系は大和路線の201系等を置き換え

【網干】

新製投入

225系144両

編成構成不明

発表以前の225系網干車

8両I編成
7編成56両

6両編成
配置なし

4両U編成
5編成20両

網干→奈良へ転用

8両A編成
5編成40両

4両C編成
3編成12両

6両B編成
14編成84両

合計136両

網干→京都→奈良へ転用

223系4両2編成
網干→京都

221系4両2編成
京都→奈良

合計8両

【奈良】

置き換え対象

201系6両
22編成132両

103系4両?
2編成8両

既存の221系奈良車

8両NB編成
9編成72両

6両NC編成
9編成54両

4両NA編成
29編成116両

ダイヤ改正時点では223系が京都支所へ転用された経緯が不明でしたが、その後の221系転出により、網干の221系8両・4両編成を6両化する際に、組み替えで不足する4両編成2本を捻出するための動きだったことが読み取れます

225系の投入数144両と置き換え対象となっていた221系の136両の差は223系8両の転出分だったことが分かり、奈良への221系転入も144両となるものと見られます。

これら一連の動きは、2020年2月にリリースされた車両代替計画の一環です。

JR神戸線・JR京都線に225系100番台を投入し、221系を代替。221系を奈良へ転用することで、大和路線・おおさか東線で使用されている201系の淘汰を完了する予定とされています。

投入予定の225系の製造数と221系の配置数が概ね合致しており、計画で示されている2023年度までの225系投入が進行すれば、221系がJR神戸線・JR京都線から完全撤退することとなりそうです。

現在、近畿車輛では6両編成の225系100番台が製造されている姿も確認されており、近日中の出場が見込まれます。100番台となってからはしばらく8両・4両編成で製造されており、6両編成は初登場となります。

既にJR神戸線・JR京都線の221系は6両編成のみとなっており、今後はこれらの車両を同じ両数の225系により直接代替する狙いが考えられます。

これらの置き換えにより、関西本線やおおさか東線についても、かつての阪和線と同じように世代交代によって転換クロスシート車両が主流となりそうです。

221系が201系を代替できる状態となったものの、4扉ロングシートの201系と3扉転換クロスシートの221系は明確に運用が分けられており、どこかのタイミングでまとめて運用入りすることが予想できます。

そして、奈良線で4両2編成が残されている103系についても、転属劇の一環でひっそりと置き換えが行われるかもしれません。公式発表では201系のみ触れられており、ファンの間でも様々な憶測が飛び交いますが、221系は6両24編成の転入・201系は22編成代替で最終的に2編成増加となることを考えれば、103系2編成の代替も容易に想像がつくところです。

2021年度も225系の投入が進行し、これによって複々線を疾走するJR神戸線・京都線の221系はだんだんと見られなくなります。まだ見かける機会がある今だからこそ、221系快速に乗車してはいかがでしょうか。

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