【形式紹介】大阪市交通局200型(トロリーバス)

【形式紹介】大阪市交通局200型(トロリーバス)

大阪市交通局200型無軌条電車は、1956年から1970年まで所属していた大阪市交通局のトロリーバス車両です。

形状はバスと似た形をしているものの、法的には無軌条電車、すなわち鉄道扱いの交通機関です。

 

エクステリア

200型は大阪市交通局トロリーバスの2代目車両。トロリーバスにはこの他100型、300型が在籍していました。

車体の雰囲気といい、タイヤで走る点という、どこからどう見てもバスにしか見えませんね。

 

車体長は10.8mで、現在の大型バスと同程度の大きさ。

元々赤い帯はなかったそうで、ワンマン運転化改造時にわかりやすいよう追加されたものだそうです。

 

黄色いランプは一見ウィンカーかと思いきや、これはフォグランプ(霧の際に見えやすいランプ)です。

ウィンカーはなんとドアミラーの上部にあり、可動式のアポロ式と呼ばれるタイプが装着されています。

 

「電車」ですので、もちろん集電装置もあります。

路面電車は当時でも既にパンタグラフ化が主流となっていましたが、トロリーバスの場合は架線から大きく離れる箇所があることなどから、旧式のトロリーポールが採用されました。

ポールが2本ある(ダブルポール式)のは、余剰電力を変電所へ返す必要があることが理由です。

 

車体後部。トロリーを吊っているように見える部分はワイヤー装置で、方向転換時や車庫収容時などに巻取れるようになっています。

その両サイドにあるのはテールライト…ではなく、バックランプです。テールライトは車体下部のバンパー上側に位置しています。

 

車体には、リベット留めの跡が多数見受けられます。

 

インテリア

車内に入ってみましょう。

座席は前部が1+2、後部が2+2の座席配置となっています。こころなしか、現在の大阪シティバスよりも余裕があるように見えます(車幅はあまり変わらないのですが…)

 

ドア部から前を見てみます。床はなんと木造のようですね。ドア上には発車ブザーが見えます。この辺りは現在のバスとあまり変わりがありません。

運転席。非常にシンプルな構造です。

計器類を拡大して見てみましょう。ハンドルには三菱の刻印があります。

メーターはどことなくエレクトロチック。この辺り、車というより電車というのが似合ってます。

とはいっても、マスコンではなくフットのアクセルペダル・ブレーキペダルなのですが…

運転については「大型二種自動車免許」だけでは運転できず、電車と同じ「動力車操縦者運転免許証」も合わせて必要になるなど、意外と厄介です。

 

 

現在の200型

 

撮影:えすこーと様

保有していたトロリーバス3形式のうち255号車が保存対象に選ばれ、現在緑木検車場にて保存されています。なぜ初代車両でなく、中途半端な存在である200型が選ばれたのかは明らかになっていません。

長らく森之宮検車場にて保存されていましたが、同施設が取り壊されることとなり2020年に移転しました。

 

 

 

100型はトロリーバス開業の1953年に登場、続くこの200型は1956年に登場した車両です。

保存されている255号車は1961年製造。シャーシ製造は三菱重工業、車体は大阪車輌工業で行われました。

 

ちなみに、この200型は関西電力で運行されていたトロリーバス(100形・200形)のモデルとなったバスだそうです。

 

主要諸元表

概 要 内 容
形 式 200
車体構造
 車 種
 自 重 8.1t
 定 員 75
 車体長 10,830mm
 車体幅 2,496mm
 車高 3,320mm
 制御方式
主電動機:ゼネラル・エレクトリック製
定格電圧600V
定格出力140馬力(1台/両)
 歯車比
 運転台 自動車ハンドル式
 営業最高速度
 設計最高速度 64km/h
 加速度
 減速度
 集電方式/電圧 架線集電 / 600V
 集電装置 ダブルトロリーポール式(オハイオ・プラス社製)
 (設置台車)
 所属 守口車庫

 

編成表

所属車両基地:守口営業所
運用路線:トロリーバス1・2・3・4・8・9号線

※保存されている車両のみ

 編成名 竣工日  製造  備考・廃車日
 255 1961 三菱重工業・大阪車輌工業 緑木検車場にて保存中
1970.6 ?
255

 

 

 

 

関連リンク

【陸送】トロリーバス200型・市電801型が緑木検車場へ

 

参考文献

大阪市交通局「大阪市交通局 百年史」

80s岩手県のバス”その頃”「トロリーバスの保存車

黒部ダム「トロバス豆知識

 




書いた本



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