「北斗星」の車内であまり眠れなかったこともあって、旅3日目の夜はホテルで熟睡してしまいました

この日は札幌駅で1日中撮り鉄をした後に、18時過ぎにCTSを出る便で帰着する予定です

 

 

 

ということで、10時を少しまわった札幌駅にやって来ました

一番のお目当ては、廃止が迫りつつあった「トワイライトエクスプレス」と「北斗星」をファインダーに収めることだったのですが、悲しいことにこの時持っていた機材…SONYのDSC-WX10…では、そこまできれいに写っていないのが残念なところ

 

 

 

 

まずは帯広行きの「スーパーとかち」3号を見送りました

いまでは、このブルーの塗装も見れなくなり、列車名からも”スーパー”の接頭辞は外されてしまいました

 

キハ261系の新しい塗装も見慣れてきましたが、JR北海道のディーゼル特急といえば、やはり青を基調にしたこの顔ですよねぇ

 

 

 

11時前に大阪駅からの「トワイライトエクスプレス」が到着しました

本来のダイヤであれば、10時前には到着しているのですが、この時既に北海道新幹線の工事の影響でダイヤが変更されていました

料金は同じで車内で過ごせる時間が1時間ほど伸びるわけですから、利用客側としては嬉しい誤算ですよね

 

 

ただ、この日運行されていたのは定期列車ではなく団体列車の扱いだったので、方向幕は行先が入っていないバージョンでした

「トワイライトエクスプレス」を見かける機会は少なくありませんでしたが、団体列車扱いのを見たのはこの日が初めてでした

 

 

 

4号車の”サロン・デュ・ノール”から零れ落ちる白熱色の照明が何とも蠱惑的ですね

大阪から一晩中鉄路を駆けて、目覚めれば北の大地・北海道…そんな旅が失われてから6年以上の月日が流れました

 

「トワイライトエクスプレス」の名は「瑞風」に受け継がれましたが、中国地方をグルグル回るだけで本州から出る気配さえありません

利用客に最良のコンテンツを提供して然るべきはずの豪華寝台列車でありながら、JR西日本の都合だけを優先した運行ルートの設定には大いに苦言を呈したいところ

 

「カシオペア」の跡を引き継いだ「四季島」が引き続き北海道コースを設定しているのをJR西日本は少し見習って欲しいものです

あるいは、この国には新幹線を定時運行する力はあれど、三セク移管によってミッシングリンクだらけの在来線では、長距離旅客列車を正確に走らせる力も残っていないのかもしれません

 

 

 

団体列車扱いなので、方向幕に行先が表示されないほか、機関車にはヘッドマークも設置されていません

別に減るものでもないので、ヘッドマークくらい付けてやって欲しいですよね

 

 

「トワイライトエクスプレス」が回送で札サウへ引き上げると、同じホームに上野からの「北斗星」が11時15分に到着しました

”ブルートレイン”が死語になってしまった現在、振り返ってみるとこの時札幌駅でファインダーに収めた24系客車は非常に貴重な記録となりました

 

 

 

 

「北斗星」の車体をつぶさに観察していると、JR東日本車はともかくとして、JR北海道車は痛みが激しく、老朽化の進んでいることが誰の目にも明らかな状態でした

そもそも24系客車の経年劣化が進んでいることに加えて、北海道の厳しい気候条件やJR北海道の苦しい財政状況も見え隠れします

 

「トワイライトエクスプレス」の廃止により、関西から北海道へ陸路で直行する移動手段が失われた一方で、関東からはいまも「トランスイート四季島」が北海道まで乗り入れており、一応「北斗星」及び「カシオペア」の跡を引き継いだ形になっています

ただし、北海道まで行くことのできる「トランスイート四季島」の3泊4日コースの料金は、最低でも80万円からとなっているため、どうやら私にとっては縁の無さそうな世界です

 

 

 

 

 

「北斗星」の回送を見送った後に、2番のりばには網走からの「オホーツク」2号がスラントノーズ車を先頭に入線してきました

網走から長駆400㎞近くの道のりを5時間23分かけて走ってきたベテランの顔はどこか誇らしげですね

 

この時はまだ旭川~網走間を走る「大雪」は登場しておらず、「オホーツク」の全列車が札幌~網走間を直通運行していました

2017年春の改正時にせっかく復活した「大雪」の愛称も、コロナ禍における利用客数の減少を受けて、曜日限定で運休する措置がとられています

 

 

14年11月時点で、既に網走方の先頭車両はスラント顔から貫通型に組み換えられていました

キハ183系の場合、番台区分が多岐にわたるため、この写真からだけでは何番台なのか判別しにくいのですが、タイフォンカバーの下部に120と書かれているので、120㎞運転対応車なことは間違いなさそうです

 

1979年に登場して以来、北海道の顔として活躍を続けてきたキハ183系のスラントノーズ車も2018年春改正で引退し、鉄路を去りました

JR北海道グループ中期経営計画2023によると、2022年度までにキハ183系の置き換えを進める計画になっているため、「オホーツク」・「大雪」での活躍もあと少しで見納めとなりそうです

 

 

 

 

今度は、4番のりばに「スーパー北斗」10号函館行きが停車しているので移動しました(1枚だけ夕方に撮影した「スーパー北斗」7号の写真が混ざっていますが…)

さすがは道内随一のターミナル駅だけあって、次から次へと優等列車が発着していく様子は見ていて楽しいものです

 

JR北海道初の振り子車として登場したキハ281系は、札幌~函館間の高速化に大きく貢献し、長らく在来線特急列車における表定速度No.1の座を保持していました

JR北海道のディーゼル特急車でトラブルが続出した時も、特に目立った問題もなく運行を続け、製造数が少ないながらも完成度の高い車両であることが窺えます

 

最盛期は5往復運行されていたキハ281系による「スーパー北斗」もキハ261系へのバトンタッチが進み、3往復に勢力を縮小しています

キハ283系と共に、2022年度までに置き換える計画がJR北海道から示されており、早急に記録しておいた方がいい車両だといえます

 

 

幕式だった行先表示もいまではフルカラーLEDに換装されていますね

 

 

キハ281系の装着している台車はN-DT281A形で、R≦600の曲線において本則+30㎞の性能を持ちます

性能だけを見れば他社の制御付き自然振り子車と大差ありませんが、気候条件の厳しい北海道で振り子を実用化するにあたって、振り子梁へ雪の進入を防ぐためにかなり苦労したようです

 

 

気が付けば、いつの間にか1番のりばにキハ261系0番台が停まっていました

 

稚内を7時ちょうどに出た「スーパー宗谷」2号で、こちらも札幌まで5時間以上かけて走るロングランDC特急ですね

急行時代は6時間ほどかかっていたので、キハ261系の登場により、驚異的なスピードアップが実現したことは特筆に値します

 

 

製造元は富士重工業で、車両の保有は北海道高速鉄道開発となっています

平成14年度に富士重工業は鉄道車両の製造から撤退しているので、同社が晩年に手掛けた車両の1つですね

 

 

乗降ドア周りに配されたイエローは、サロベツ原野に咲くエゾカンゾウをイメージしており、後述するキハ183系時代の「サロベツ」のヘッドマークにもこの花があしらわれています


 

8番のりばには、12時30分発の「サロベツ」号稚内行きがアイドリング中です

 

 

 

 

 

札幌~稚内間を5時間ほどで走る「スーパー宗谷」に対して、こちらの下り「サロベツ」は同区間に5時間40分を要しており、車両の性能差が如実に表れています

かつて、稚内を目指す優等列車といえば、夜行便の「利尻」や旭川発着の「礼文」、それに天北線経由の「天北」がありましたが、路線そのものが廃止されたり、特急格上げ時に統合されたりした結果、現在では「宗谷」「サロベツ」の2種類に集約されています

 

 

キハ183系時代の「サロベツ」のヘッドマークは、サロベツ原野に咲くエゾカンゾウが描かれており、これは急行時代から受け継がれています

残念ながら、キハ261系が充当されているようになってから、この美しいヘッドマークは見れなくなってしまいましたが、キハ261系5000番台が運用に就いたことで復活しています

 

 

先頭車両側面には、HET183…Hokkaido Express Train…のロゴが掲げれれています

JR四国と並び、JR北海道のロゴもシンプルながらデザイン性に優れたものが多い印象を受けます

 

 

「サロベツ」にとっては大きな転機となったのは、2017年春のダイヤ改正でしょうか?

キハ183系を早急に置き換えたいけれども、新しい車両を導入する予算が確保できなかったJR北海道は、石北本線を走る「オホーツク」と共に「サロベツ」の運行区間を短縮しました

 

結果として、宗谷本線を走る優等列車はキハ261系に統一され、札幌~稚内を直通する「宗谷」1往復と旭川~稚内を走る「サロベツ」2往復に再編されました

後者については、札幌~旭川を結ぶ「ライラック」と接続を図ることで利便性が損なわれないよう配慮されています

 

そのため、札幌駅と「サロベツ」の組み合わせは、どう頑張ってもお目にかかれない光景となってしまいました

 

 

 

 

 

さてさて、生まれて初めてキハ283系を札幌駅で目の当たりにしたわけですが、いやはや文句なくカッコイイですですね

キハ281系と比べて灯具類が縦に配置されているので、シュッとしたイケメンに見えます

 

 

 

「スーパーおおぞら」のヘッドマークには、丹頂鶴が描かれており、日本語とローマ字表記が切り替わるタイミングで2羽の鶴が交互に羽ばたくようになっています

 

 

 

振り子式気動車そのものがJR四国の2000系から発展していったことが影響しているのか、キハ281・283系のいずれもプラグドアを採用しています

ドア周りには丹頂鶴を赤を想起させる塗装が配され、側面をキリっと引き締めています

 

 

 

行先・号車表示は3色LED式となっていましたが、不具合が発生していたこともあり、2018年からフルカラーLEDの更新が始まりました

昨年の春くらいまでは、まだ3色LEDの車両が残っていたみたいですが、いまもまだ残っているのでしょうか?

 

 

 

キハ283系最大の特徴はこちらの台車でしょうか?

急曲線を円滑に通過するために、自己操舵機構を備えており、曲線通過速度は最大で本則+40㎞/hを誇っており、国内の振り子車としては最強のスペックを叩き出しています

 

非電化区間のさらなる高速化を目指して、振り子と空気バネ圧式車体傾斜を組み合わせたハイブリッド車体傾斜システムがキハ285系に実装されましたが、JR北海道の経営状況から実用化されなかったのは至極残念といえます

 

 

 

札幌から南下する特急は「北斗」だけではなく、影が薄いながらも「すずらん」が6往復運行されています

写真の789系1000番台車以外にも、JR北海道初の電車特急として登場した785系も充当されていますが、残り2編成となっているため、どの車両が来るのかは運次第です

 

 

 

すずらんの花をあしらったヘッドマークがとても可愛らしいですね

 

 

 

 

2018年春の改正時に「北斗」の定期運用からキハ183系が撤退したことから、こちらも貴重な一コマとなりました

「北斗」からキハ183系が撤退したのがついこの間のように思うのですが、今度はJR北海道が満を持して世に送り出したキハ281系にさえ置き換えの波が迫っているのですから、時の流れとは無情なものです

 

 

北海道の顔ともいえるキハ183系のスラント顔も鉄路からは姿を消し、同系も「オホーツク」・「大雪」の4往復のみで細々と活躍を続けるだけになりました

キロハ182形に代わって、かつて「北斗」に連結されていたハイデッカーグリーン車が両列車に組み込まれており、道東の雄大な自然を車内から眺めることができます

 

 

長々と札幌駅で撮りためた写真を公開してきましたが、最後にいまでは見ることのできなくなった号車札をまとめて紹介したいと思います

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

札幌駅で撮影した写真を一挙に紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

この数年の間に、札幌駅を発着していた夜行列車はすべて姿を消し、「スーパー」の接頭辞が各特急列車から外れたことから、ここに掲載した号車札も二度と見ることができなくなってしまいました

 

785系も引退まで秒読み状態ですし、これまでJR北海道の屋台骨を支えてきた振り子式気動車も勢力を縮小しており、同社を取り巻く状況はドラスティックな変化が続いています

できれば、ディーゼル特急がキハ261系ばかりになってしまう前にもう一度北海道を訪問したいものです

 

次回、北海道漫遊記④~785系快速「エアポート」乗車記~につづく