【長野で解体か】同僚は青森で解体……215系NL-1編成が配給輸送される

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2021年3月に「湘南ライナー」運行終了とともに営業運転から離脱した215系。

5月にNL-3編成・NL-4編成が青森へ回送され、青森改造センターでの解体作業が進められています。

6月24日から25日にかけてNL-1編成が廃車が目的とみられる配給輸送が実施されましたが、目的地はこれまでと異なり長野となりました。

215系の運用離脱とその後

2021年3月のダイヤ改正では、東海道線の着席整理制列車「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」が運行を終了し、全車指定席の新しい特急「湘南」となりました。

これとともに、使用車両も従来の185系・215系からE257系に代替され、185系とともに215系が定期運用を失いました。

新製から近年まで田町電車区→田町車両センターに配置されていましたが、品川駅周辺の再開発のための車両無配置化により185系は大宮総合車両センター東大宮センターへ、215系は国府津車両センターへそれぞれ転属して現在に至ります。

185系・211系と再会出来る長野へ

東海道線一筋の215系。最後の月夜

かつての185系や211系といった同僚と長野の地で再会を果たす格好となった一方で、215系同士は青森と長野で遠く離れた場所で“最期”を迎えることとなりそうです。

これまでNL-3編成・NL-4編成が青森改造センターへ搬入され、一部車両の解体が進行していますが、今回のNL-1編成は長野総合車両センターへ搬入されており、同所構内で解体作業を実施するものと見られます。

今回の動きで興味深い点としては、自走可能なようにも思える215系が機関車牽引で回送されたことが挙げられます。

特に215系は2020年秋まで週末に「ホリデー快速ビューやまなし」として新宿〜小淵沢駅間で運用されており、回送で富士見駅まで入線していました。中央線の狭小トンネルにも対応しています。

中央本線の走行に対応しているどころか、頻繁に走行実績があった形式が電気機関車牽引とされたことはかなり異例です。

なお、215系の連結訓練は2021年4月に実施されており、1日目は直流山岳線区用のEF64形・2日目は交直流対応のEF81形で行われており、この動きの“答え合わせ”ともなっています。

最も考えやすいことは、登坂性能です。

走行機器構成は補助電源装置の違い程度で、基本的には211系と同程度の走行性能で4M6Tとされています。

215系は横須賀線・総武線快速の東京駅への乗り入れとその後の回送で30‰・33.4‰の勾配を平日毎日回送されていた一方で、上野東京ラインの35‰の勾配は試運転を含めて入線実績がなく、登坂性能上困難なのではないかという見方が有力です。

しかし、営業運転実績がある中央本線と篠ノ井線はともに貨物列車などが走る幹線級の規格で、最大勾配が25‰です。勾配区間の連続走行についても富士見駅まで毎日行き来していたことを考えると懸念があるようには思えず(新型車両の登坂性能試験を甲府〜小淵沢間で実施する事例も多い)、登坂性能の課題は排除できそうです。

次に考えられることとして、長野支社管内の走行実績が挙げられます。

近年は決まったエリアのみを走行しており、「ホリデー快速ビューやまなし」についても近年は八王子支社管内の甲府運輸区が担当している列車です。筆者も年次ごとの担当運輸区の持ち替えまで正確に把握していませんが、少なくともここ7,8年程度は同様の体制だったと記憶しています。

一方で、甲府運輸区の北限は篠ノ井線松本駅までとなっており、松本〜長野駅間を運転できる乗務員は長野支社の長野総合運輸区・松本運輸区です。そのため、215系の運転経験がある乗務員が両区では皆無に近い状態であることが推測できます

日夜様々な車両が長野総合車両センターを出入りしていますが、普段乗り入れない形式は機関車牽引とされていたものの、近年徐々に自走回送が増やされている印象です。その都度長野総合車両センター構内で入場車両を活用した現車訓練や添乗などで対処していたのかもしれません。

今回も輸送が一部青森で実施されるため実施回数が僅少となることを加味して、必要な訓練を実施するよりは機関車牽引の方に軍配が上がったと考えることができそうです。

同時進行している185系が狭小トンネル対応編成は自走となっていることと対照的で、なかなか興味深い輸送と言えそうです。

目的地が異なっても“あわよくば”には期待できない?

さて、前回・前々回の輸送と解体が青森改造センターで実施されていることに対して、今回のNL-1編成の配給輸送が長野総合車両センターと異なる点はやはり気になるところです。

青森改造センターでは搬入直後から解体作業が実施されており、解体作業着手から現在までの1ヶ月で未だ3両目の途中となっています。

ファンからの推測としては、近隣が住宅街で大きな音が出る重機での解体が出来ないことが挙げられています。

現に解体されている215系は丁寧にバーナー等で焼き切っており、解体というよりは分解に近いような状態です。二階建て車両という特殊性があるものの、長野で実施中のE217系ではこのような作業はないため、やはり解体場所の都合と捉えることが出来そうです。

この事情を考えると、青森での解体はコストや手間が大きいことが予想でき、青森改造センターの作業量を確保する程度の最小限のものとすることが自然です。

長野総合車両センターについては2021年のE217系代替分の解体もある程度進行し、209系も解体しました。これ以降の長野での車両解体は215系・185系を中心に進められるものと考えられます

2021年度のダイヤ改正直後は離脱車両が多く、例年にないイレギュラーな動きが続きました。

先に配給輸送が実施されたNL-3編成・NL-4編成の動きや東京総合車両センターで解体されたE217系Y-45編成が異例であり、今回のNL-1編成は長野での解体作業や疎開措置のピークが過ぎたので従来通り……といったところでしょうか。

これらの時系列が主因と考えられることから、目的地が異なるからといって解体を免れたとは考えにくい動向です。特にNL-1編成は量産先行車で機器構成が若干異なり、解体が進行するNL-3編成を残さずこのNL-1編成を譲渡……とは考えにくいでしょう。今回のNL-1編成はトップナンバーを含むものの、JR東日本黎明期の車両も保存事例は209系900番台程度ですので、使い勝手の悪かった215系の保存もあまり期待は出来なさそうです。

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