JR日本最南端の駅「西大山」、そしてJR日本最南端の終着駅 「枕崎」到達【九州鉄道紀行⑤】 | 湘南軽便鉄道のブログ

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その他、5インチゲージ自家用乗用鉄道「湘南軽便鉄道」についても掲載。路線は湘南本線(ベランダ線・路程約0.01km)があったが現在廃止。新たな庭園鉄道敷設の構想中。

(前回記事の続き)

(JR指宿枕崎線 西大山駅と開聞岳)



★過去記事↓↓↓




JR九州一のローカル線 「吉都線」から、 錦江湾沿いを走る「指宿枕崎線」へ【九州鉄道紀行④】 






鹿児島中央駅12時02分発・JR指宿枕崎線普通列車(キハ47形気動車2両編成)に乗車。
JR最南端の終着駅 枕崎に向かう。
「JR最南端の路線」である指宿枕崎線は、鹿児島中央駅から枕崎駅まで87.8kmを結ぶ全線単線・非電化の路線。



生見(ぬくみ)駅を過ぎ、
薩摩今和泉(さつまいまいずみ)駅
上り特急列車と行き違いのため、少々停車。
枕崎方からキハ47 9098+キハ47 8077

薩摩今和泉は、NHK大河ドラマにもなった「篤姫」(江戸幕府13代将軍徳川家定の正室)の実家・今和泉島津家別邸(生家)があった地。今は建物はなく跡地となっている。

枕崎行きのサボ



上り特急「指宿のたまて箱4号」鹿児島中央行きが通過

乗車中の枕崎行き下り普通列車より6分早く鹿児島中央駅を発車した下り特急「指宿のたまて箱3号」は、
終点・指宿駅に到着後、折返しの上り特急「指宿のたまて箱4号」鹿児島中央行きとなり、薩摩今和泉駅で、乗車中の枕崎行き下り普通列車と行き違う。

キハ40,47形一般形気動車を改造した観光用特急列車「指宿のたまて箱」。車両デザインは水戸岡鋭治氏が手掛けた。



左前方に、台形の知林ヶ島(ちりんがしま)を望む。
春から秋にかけての大潮や中潮の干潮時には、島まで約800mの砂の道(砂州)が現れ、島へ歩いて渡ることができる。




宮ケ浜(みやがはま)駅




二月田(にがつでん)駅では、学生が大勢乗車。


13時18分、指宿(いぶすき)駅に到着。
指宿市の中心駅・砂蒸し風呂で有名な指宿温泉の最寄駅で、指宿枕崎線の拠点駅。鹿児島中央駅から45.7kmに位置する。
鹿児島中央駅方面から指宿駅及び山川駅止まりの列車も多く、観光特急「指宿のたまて箱」はここ指宿駅が終点であることから、指宿駅は「JR日本最南端の特急停車駅」でもある。
観光客はここ指宿駅で大半が下車したが、学生達はそのまま乗車。指宿駅を13時19分すぐに発車



指宿駅を過ぎると天然の良港・山川湾が見えてくる。
山川湾はマールと呼ばれるマグマ水蒸気爆発の火口跡。

対岸の山々は大隅半島。山川港から大隅半島・根占港までは、フェリー(所要50分)で結ばれている。


カツオの水揚げで有名な山川漁港が広がる。



山川(やまかわ)駅
山川駅は「JR日本最南端の有人駅(簡易委託駅)」で、鹿児島中央駅からの行程は50.0km。
鹿児島中央駅方面から山川駅折返しの列車も多い。鹿児島中央駅とを結ぶ快速「なのはな」は指宿駅又は山川駅止まり。
マールと呼ばれるマグマ水蒸気爆発跡にできた鰻湖(うなぎこ)や湖畔の鰻温泉も近い。


ここ、山川駅から先、枕崎までは列車本数が激減し、国鉄型一般気動車を使用したワンマン運転の普通列車だけが走るJR屈指のローカル区間に入る。山川〜枕崎間は、将来的に廃線が危惧されている区間。



山川駅を発車
山川駅から先は、全列車が国鉄型気動車(キハ40系列)。

山川港の横を通り過ぎる。

山川漁港の周りには、最高品質のかつお節を製造する水産加工場が多い。



薩摩半島を南下してきた指宿枕崎線は、山川駅を過ぎ、トンネルを抜けると、進行方向を西へ変え、枕崎方面へ向かう。
山の右側には、九州電力山川地熱発電所が見える。

奇岩の竹山(標高202m)を車窓左側に望む。



大山(おおやま)駅

畑が広がる台地を行く。





JR日本最南端の駅
西大山(にしおおやま)駅

駅は無人駅であるが、
JR日本最南端の駅であることから、駅が観光名所になっている。マイカーや観光バスで訪れる人が殆どで、ホームなどで記念撮影をしている。

海に近いが、数万年~10万年前の阿多火砕流の分厚い堆積物により形成された台地上にあり、西大山駅の海抜は64mある。


JR日本最南端の駅の記念碑。
現在は、法規上鉄道扱いとなる沖縄都市モノレール(ゆいレール)が九州のさらに南に位置する沖縄県に開業したため、ここ西大山駅は「JRで日本最南端の駅」を名乗るようになったが、普通鉄道(通常のレール上を走る鉄道)であれば日本最南端の駅に変わりはない。(※産業用トロッコを含めると、鹿児島県屋久島の安房森林軌道もあるが。)

開聞岳を望むJR日本最南端の駅


到着した列車も、乗客サービスのため、数分停車する。




西大山駅を発車

薩摩富士の異名を持つ開聞岳(かいもんだけ)。標高は924mで日本百名山の一つ。

この辺り一帯は、指宿火山群に位置し、開聞岳のほか、火口跡に出来た山川湾、池田湖、鰻湖、指宿温泉など、火山由来の名所が数多くある。

南九州・薩摩半島の長閑な風景の中を走る。





薩摩川尻(さつまかわしり)駅東開聞(ひがしかいもん)駅を過ぎ、列車は徐々に海抜を下げていく。

列車後方を望む。

か細い2本のレール
 
線路の両側には樹木が繁り、車体側面が、ぎっしり生い茂る樹木に擦れるたびに、車体がバリバリと音を立てながら走る。


開聞(かいもん)駅

薩摩半島最大のカルデラ湖・池田湖が近い。

開聞岳がだんだん後方に。



入野(いりの)駅



左側車窓に、東シナ海が見えてくる。空気が澄んでいれば、沖合に、鹿児島県三島村に属する、竹島黒島、そして噴煙を上げる活火山・硫黄島(薩摩硫黄島)などが見える。



頴娃(えい)駅




西頴娃(にしえい)駅

コンクリート造りの駅舎がある簡易委託駅。
南九州市の頴娃地区の中心駅で、指宿枕崎線の山川以西では一番利用客が多い駅。
二月田(にがつでん)駅から乗車中の学生の多くは、ここ西頴娃駅で下車していった。

上り指宿行き普通列車と行き違い。指宿枕崎線の山川〜枕崎間で唯一行き違いができる駅。

指宿枕崎線末端区間の数少ない列車



朝、西頴娃駅始発・終点の列車が僅かに設定されている。(下り︰指宿発西頴娃行き1本、上り︰西頴娃発山川行き1本・西頴娃発指宿行き1本)

西頴娃駅構内には、JR九州で一番最後まで腕木式信号機が残っていた駅。(今は門司港駅で展示保存されている。)

「枕崎→指宿→山川」の珍しいサボ
 
西頴娃駅を過ぎると、列車本数はさらに少なくなり、上下各6本のみ。


御領(ごりょう)駅

琺瑯製の古い駅名板


西頴娃駅を過ぎ、車内はガラガラに。



カバーがかかったまま扇風機が回る。





石垣(いしかき)駅



水成川(みずなりかわ)駅


小さな無人駅が続く。
頴娃大川(えいおおかわ)駅



松ケ浦(まつがうら)駅

両側からジャングルのように木々が迫り、車体側面にバリバリ音を立てて擦れる。



乗務員室


乗務員室内の運転台(後方)



薩摩塩屋(さつましおや)駅 



白沢(しらさわ)駅

付近にはかつて小さな枕崎飛行場があったが、今はヘリポートとして使用。

車窓には畑が広がる。

列車は、南の果ての終着駅を目指す。



薩摩板敷(さつまいたしき)駅




JR日本最南端の終着駅・枕崎
枕崎の街に入ると、間もなく終点



14時41分、終点・枕崎(まくらざき)駅に到着

下車したのは2名のみ。

鹿児島中央駅から87.8km。所要時間2時間39分。


かつては鹿児島交通枕崎線(元 南薩鉄道)の路線(49.3km)もあり、伊集院〜加世田〜枕崎を結んでいたが、1983年(昭和58年)6月の豪雨で被災し、1984年(昭和59年)3月17日付で廃止になってしまった。
鹿児島枕崎線交通廃止後も、鹿児島交通が所有していた木造の大きな枕崎駅舎は残り、指宿枕崎線の乗客に利用されていたが、2006年(平成18年)5月1日に無くなった。これに伴い、JR枕崎駅ホームを100m指宿方面に移設し、しばらく駅舎も無い終着駅になった。

現在のこじんまりした無人の駅舎は、2013年(平成25年)に、市民の寄付によりに建てられたもの。


カツオの遠洋漁業の街らしく、駅前にはカツオのオブジェ


行き止まりの終着駅



14時41分に枕崎駅に到着した列車は、折返し15時53分発の鹿児島中央行き普通列車になる。車両は枕崎駅で1時間12分の休憩。




枕崎駅時刻表。列車本数は一日6本のみ。朝7時台の列車の後、13時台まで6時間も列車が無い。



駅舎の手前には、かつお節行商の像がある。

本土最南端の始発・終着駅(※沖縄都市モノレールを除く)。
日本最北端の終着駅・稚内(北海道)から3099.5km延々続くJRの線路はここで終わる。





枕崎駅前

枕崎から鹿児島市中心部へは路線バスの方が利便性がよい。鹿児島中央駅まで、バスだと所要約1時間半、指宿枕崎線だと所要約2時間半。



枕崎駅に停車中のキハ47形気動車

カツオと焼酎の港町・枕崎

枕崎駅16時00分発の鹿児島交通の特急バスで鹿児島中央駅へ。鹿児島中央駅には17時31分着。
 
  

※2020年(令和2年)9月