【快適】津軽海峡フェリーを選ぶメリット5選と注意点(青森~函館)

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青森と函館を結んでいるのは北海道新幹線だけではありません。両都市を結ぶ海上交通も活躍しています。本記事では、青森と函館の間を運航する「津軽海峡フェリー」に焦点を当てて情報共有しています。新幹線ではなく、あえて津軽海峡フェリーを選ぶメリットとして、(1)安い、(2)時間がゆっくり流れる、(3)席のバリエーションが豊富、(4)船内で楽しめる設備がある、(5)景色がいい、などを挙げています。一方、時期や原油価格による運賃変動がある点や、フェリー乗り場への交通アクセスについて注意点もありますので、しっかり準備をしたうえで活用しましょう。

青函連絡船として、津軽海峡フェリーのほかに青函フェリーも運航しています。本記事では津軽海峡フェリーを取り上げております。

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津軽海峡フェリーとは

津軽海峡フェリーは「青森と函館を結ぶ」

本州の最北端青森と、北海道の陸路の玄関口函館の間には、津軽海峡という海が立ちはだかります。

人や物資を移動させるには、津軽海峡を越えなければなりませんが、同区間を海上で越えるのがフェリーです。

青森と函館を結ぶフェリーとして、(1)青函フェリー(2)津軽海峡フェリー(←今回取り上げます)の2大勢力が活躍しています。

かつては本州ー北海道の大動脈

本州と北海道を結ぶ交通手段として、フェリーは古くから活躍していました。

北海道を目指す乗客はもちろん、貨物も列車からフェリーに積み替えていたり、フェリーによっては線内まで線路が伸びていて、車両ごと運ぶことができたようです。

それでも「やっぱり(走行する)列車で北海道まで渡れたら便利だよね」ということで、海底トンネルの建設構想が生まれます。一方、多額な投資が必要となることから、建設を躊躇する声もありました。

そのさなか…

青函トンネルの開通へ

1954年9月26日、津軽海峡周辺を台風15号が襲いました。

大嵐が止み、台風が過ぎ去ったと判断した青函連絡船「洞爺丸」は函館を出港。

しかし、実際には過ぎ去ってはおらず、海に出るとたちまち強風に煽られ、車両搭載口から海水が侵入、浸水が進み、制御不能に。遠浅の砂浜への座礁を試みるも失敗し沈没。

その結果、残念ながら死者1000名以上となる痛ましい事故となってしまいました。

この事故を受け、「やっぱりこのままではだめだ」と、青函トンネルの建設が一気に進むこととなりました

1988年、青函トンネルが開通。乗客や貨物の主な輸送は鉄道に移りました。

今でも自動車はフェリーです

新幹線が開通した今でも、青函トンネル内を貨物列車が通過しています。

新幹線開業に向けた工事中、旅客列車は完全に運休となりましたが、貨物列車は合間を縫って運行を続けました。これだけ貨物需要が旺盛かつ必需であるということですね。

しかし、青函トンネルではどうしても運べないものってありますよね?

例えば個人が所有する「自動車」です。(※貨物としてであれば、自動車を青函トンネルで運ぶことは可能です)

マイカーやトラックなどが津軽海峡を渡る場合、完全に「フェリー」一択となります。

鉄道が開通し、新幹線も通れる規格にアップグレードされた今でも、フェリーの存在価値は十分高いのです。

北海道新幹線と津軽海峡フェリー

2016年、ついに北海道新幹線が開業しました。

仙台・東京方面から北海道まで、乗換なしでアクセスできるようになり、利便性の観点では大きく前進しました。

これで「ついにフェリー大ピンチか!?」などと思った人もいたようですが…実はこれ、フェリーにとって追い風になったみたいですね。

青函トンネルを通過する旅客列車が新幹線に格上げされたことで、青森ー函館間の鉄道が大幅に値上げとなりました。

青森ー函館間で比較すると…

  • 新幹線開業直前:5490円
  • 新幹線開業直後:7690円

しかも新幹線は函館駅には乗り入れず、新函館北斗止まり。函館まで行く場合は乗り換えが必要で、時間短縮も30分前後。青森から函館に向かう人にとって、新幹線開業によるメリットはわずかで、ほぼデメリットしかない

鉄道旅行者にとっても、特に青春18きっぷや北海道東日本パスといった普通列車専用の乗車券を使っている層には大打撃。青函トンネルを通過する際に特例で乗車できた特急列車も廃止になり、道内の並行在来線もJRから分離されたため、前述のパス類が使い物にならなくなってしまいました。正確には追加でオプション券を買えば到達可能なのですが、奥津軽いまべつ駅や木古内駅での接続も悪く、割に合わない出費は避けられません。

その結果、これまで鉄道を使っていた人が新幹線を避けてフェリーを選択する、ということも増えたようです。

…と、ここまで前置きが長くなりましたが、フェリーはこれからも大活躍。

青森ー函館間で津軽海峡フェリーに乗船したレポートを交えながら、フェリーを選ぶメリットや注意点をご紹介していきます。

津軽海峡フェリーを選ぶメリット5選

青森~函館間を安価に移動できる

フェリーを選ぶ最大のメリットは「低コストである」ことが挙げられます。

出典:国土地理院(こちら)

北海道新幹線が「新青森~新函館北斗間」で7,520円かかるのに対し、津軽海峡フェリーは「青森フェリーターミナル~函館フェリーターミナル」を2,860円~で結んでいます。

青函フェリーを選ぶともっと安く(2,200円~)なりますので、他の要素をすべて排除し、極限まで低コストにしようと考えたら青函フェリーが正解です。

時間がゆっくり流れる

北海道新幹線が最速57分で海峡を渡り切るのに対し、津軽海峡フェリーは3時間40分もかかります。

何かに追われがちな現代人。たまには船内でゆっくり流れる時間を楽しむのもアリですね。

なお、特にデジタルデトックスをしたい人に船旅は有効と言われていますが、残念ながら津軽海峡フェリーは陸地に近いところを通りますので、電波が届いてしまいます。

逆に言えば、スマホを使ったエンタメは船内でも楽しめます。

船内にWi-Fiが整備されています。速度は期待できませんが、必要に応じて活用しましょう。

席のバリエーションが豊富

船内に入ると、まずはメインデッキに出ます。ここには小さめの売店と飲食類の自動販売機などがありますが、まずは係員に指さされた先のホームポジションへ向かいます。

ここを抜けて、指定されたエリアに向かいます。船内の客室は…

  • スタンダード
  • ビューシート(指定席)(←今回利用)
  • コンフォート(少人数の個室)
  • スイート(ベッド付きの客室)

みたいな感じで分かれています。上から下に行く順に高くなります。

スタンダード

基本的にはスタンダードを選ぶことになります。いわゆる雑魚寝ですね。ここから外の様子を見ることができませんが、ここをベースキャンプにしてフリースペースに行くのがいいんじゃないかなと思います。

ビューシート

私が選んだのはビューシート。船の前方に設置されていて、窓から前面展望を楽しむことができます。明確に自分の居場所が得られることになりますので、フリースペースのような場所で過ごすのが苦手な人にもおすすめです。

ちなみにこの椅子はほぼフルフラットになりますので、仮眠もできます。

コンフォート・スイート

それ以外にも、階段の上には個室もあるようです。長距離フェリーではないのでゆっくりすることはできませんが、ソーシャルディスタンスを十分に確保したい人や、旅の途中に少しでも休みたいという人は個室を選ぶのかもしれませんね。

以下は津軽海峡フェリー公式サイトから拝借して記載します。スイートルームはこのようになっているようです。贅沢ですね~!

出典:津軽海峡フェリー(こちら)

船内にエンターテイメントあります

「カジュアルクルーズ」をコンセプトにしている津軽海峡フェリーは、船内でクルーズを楽しめるような設備が揃っています。

船内にはフリースペースが所々に配されていて、グループでの旅行でも楽しく過ごせそうです。

食事をとりたい人はこちらでご自由にどうぞ、という感じみたいですね。

一応キッズスペースもありますが、これであればスタンダードと変わらないかな…というのが正直のところ。子ども連れ優先のスタンダードもありますからね。ハイハイ真っ盛りの赤ちゃんにはこちらがいいかも。

シャワールームもあります。私が乗ったときは誰も使っていませんでしたが、深夜便で宿代わりに乗るのであれば重宝しますね。

バリアフリーですので、体が不自由な方でも安心してご利用いただけます。

景色がいい

津軽海峡フェリーに乗船すれば、海上ならではの景色も堪能できます。

青森ターミナルから出港するとき、手を振ってお見送りいただけます。

呑気に振り返していたのは私だけでしたが、たぶん見えていたのでしょう。途中から気持ち強めに振り返してくれました。

さて、私が出ているのは船の甲板というわけですが、乗客が立ち入ることができるのは船の後方になります。こんなベンチもあって、天気があればゆっくりできますね。

ずっとここにいてもいいくらいです。

青森の港が離れていくころ、岩木山がきれいに見えてきます。

このあと、しばらくは陸奥湾の中を進行し、穏やかな時間が流れます。

いまや新幹線であっという間に越えることができる津軽海峡ですが、こうやって海を渡るのもいいものです。

船は陸地から離れすぎることは無いため、周りを見ると何らかの山が見えます。絶海ではないからこそ、折々の景色を楽しめます。

やがて見えてくるのが函館山。

函館山はもともと火山の噴火によってできたもので、あとから北海道の本土と陸続きになったんですよね。だから函館市は特徴的な形をしているのですが、船から函館山を見ると、なるほど、これは隆起してできた山だな…というのが何となく伝わってきます。

街並みが見えてくると、ほどなくして函館港に到着。着岸後ただちに下船するよう、何度も放送されますので、ここまでの撮影が限界でした。

このように、陸地から離れすぎない航路であるからこそ楽しめる景色があります。

津軽海峡フェリーの注意点

時期による料金の変動があります

津軽海峡フェリーでは、需要に合わせた料金変動があります。

残り席数などによって動くものではなく、時期によって固定されています。

多くの人が利用する連休などでは、最も高いC運賃が適用されます。

幅があることを理解しておきましょう。

設備料金幅
スイート5,630~7,830円
コンフォート3,950~5,420円
ビューシート3,400~4,630円
スタンダード2,860~3,850円
※上記は2023年4月現在

原油価格による料金の変動があります

津軽海峡フェリーでは、原油価格に合わせた料金変動もあります。

原則として半年に1回程度見直されているようです。

昨今の情勢により原油価格が高騰しておりますので、この点も気を付けましょう。

ちなみに、私が乗船した2021年5月(C運賃)のビューシートは3,630円でした。今では当時と比較して1,000円の値上げが実施されていることになります。

※2021年5月は最も高い時期でビューシート3,630円でした(1,000円値上がりしています)

運休リスクがあります

天候によりフェリーが運休することがあります。

津軽海峡フェリーでは、運航率99.5%(2022年までの3年間)と発表されております。

重要な物流を担う航路ですから、可能な限りの運航が実施されてるようですが、悪天候時は念のため運休リスクに気を付けておきましょう。

船酔いリスクがあります

津軽海峡フェリーは、波が穏やかな湾内を進みます。

そのうえ、船にフィンスタビライザーという横揺れ防止装置が搭載されています。

そのため、よほどのことがない限り船酔いすることは無いでしょう。

…とはいえ。

陸奥湾を抜けて函館湾に向かう、津軽海峡の中心付近では揺れが強くなったのも事実です。

過度に心配する必要はないことは繰り返しお伝えしますが、それでも心配という人は酔い止めを用意しておきましょう。

船内や各ターミナルでも販売されているようですので、活用しましょう。(※酔ってからではなく、酔う前に予防的に飲んでおくことをオススメします)

各ターミナルへの交通手段は確認が必要

各フェリーターミナルと駅との間には距離があり、アクセスの手段を確認しておく必要があります。

この点は別の記事でアップしておりますので、ご心配であれば確認しておきましょう。

青森駅から青森ターミナルまでの行き方を解説した記事は下記です。

函館ターミナルから函館駅までの行き方を解説した記事は下記です。

まとめ

津軽海峡フェリーに乗船し、以下の知見を得ました。

  • 青森~函館間を安価に移動できる
  • 時間がゆっくり流れる
  • 席のバリエーションが豊富
  • 船内にエンターテイメントがある
  • 景色が良い
  • 運賃の変動に注意する必要がある
  • 運休リスクを受け入れる必要がある
  • 各ターミナルへのアクセス方法を確認する必要がある

津軽海峡フェリー
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快適なカジュアルクルーズを。

ではまた。

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