【215系を継承か】東海道貨物線でE257系2000番台を使用した乗務員訓練とみられる試運転

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東海道線では、2021年6月2日から4日にかけて、東海道貨物線経由の根府川駅までE257系2000番台9両を使用した試運転が連日運行されています。

これまでE257系では車両習熟を目的とした乗務員訓練が数多く設定されていましたが、今回は本格投入後の設定となっており、目的が異なるものと考えられます。

215系は乗務員の登竜門

乗務員訓練で頻繁に使用された215系(写真は別列車)

これまでの東海道線では年に複数回、215系を使用して日中時間帯に東海道貨物線を走行する試運転が実施されていました。踊り子号や普通列車などと並走するダイヤで実施されることも多く、沿線のファンにとっては珍しくない光景でした。

これらの試運転では、新たに東海道線・貨物線でハンドルを握ることとなる運転士の養成を目的としており、215系は新たに東海道線でハンドルを握る乗務員さんの“登竜門”となっていました。

宿泊勤務ではない“日勤”で設定する都合やダイヤ上余裕がある時間帯に設定する都合で、多くの事業者では平日の日中に運行される事例が見られます。

東海道線では、「湘南ライナー」で使用されていた215系が朝夕のみの稼働で走行距離も伸びにくいからか、215系を使用して実施される体制が何年も続けられていました

2021年3月のダイヤ改正で「湘南ライナー」運行終了とともに215系は定期運用を離脱しており、これ以降の訓練には他形式を充てることが考えられます。

6月から開始されている試運転では、品鶴線(横須賀線)・東海道貨物線を経由して東海道線根府川駅まで1往復するダイヤで運行されています。

乗務員訓練で富士川を渡ったE257系2500番台

E257系を使用した乗務員訓練とみられる試運転はこれまで幾度となく実施されており、2019年後半には2000番台を使用してJR東日本田町運転区・国府津運輸区・熱海運輸区、伊豆急行伊豆高原運輸区を対象に、2020年後半から2021年にかけて2000番台を使用してJR東日本新宿運輸区、2500番台を使用してJR東海静岡運輸区・沼津運輸区、伊豆箱根鉄道を対象に実施されました。

これらのデビュー前の乗務員訓練は、既にそれぞれの路線で運転経験がある乗務員を対象に、新たな車両について習熟するために実施されています。

一方で、2021年3月にE257系2000番台・2500番台が本格投入されており、今回はそれ以降で初の動きとなっており、従来とは目的が異なりそうです。

これらの事情を総合すると、今回の乗務員訓練は従来215系が担っていたように、新たな東海道線運転士の養成(異動を含む)が目的と考えることが出来そうです。

乗務員さんにとっても、ツーハンドルで界磁添加励磁制御の215系より、左手ワンハンドルマスコン・VVVFインバータ制御のE257系の方が実際の運転に近い環境で良さそうにも思えます。

E257系も朝夕の間合いで運行

今回使用されている車両は、湘南2号〜尾久〜東大宮(〜湘南21号)の運用間合いを活用して、尾久→根府川→東大宮操車場で運行されている模様です。

この運用は湘南2号で東京駅到着後は尾久車両センターに14時頃まで留まり、その後上野駅17番線経由で東大宮へ向かう運用です。ダイヤ改正以降しばらく、日によっては大宮駅南側の留置線に臨時回送する変運用が組まれた実績もありました(関連記事)。

田町運転区ベースでは行き帰りの便乗を加味しても9時ごろ〜17時ごろと比較的シンプルな勤務と考えることができ、定期回送も一部生かしたなかなか綺麗なダイヤとなっている印象です。

ファン目線では、E257系2000番台ではデビュー直前まで行き先表示器表示が準備されていなかった都合などもあり、「試運転」のヘッドマークの撮影はやや困難な印象がありました。

今後も同様の訓練が実施されることが考えられるほか、運用間合いという設定から使用編成も変化することとなりますので、なかなか興味深い設定と言えそうです。

末筆ながら、新たに訓練をされていた乗務員さんの今後の活躍を祈念申し上げます。

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